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狂者達の物語  作者: 下南
一章 始まりそして脱走
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5話 風呂にて

「遠っ!!」


かれこれ5分ほど歩いてようやく廊下の端が見えてきた。

ってかこの施設広すぎじゃない?

けれどゴールが見えたなら体力を温存する必要はない。


全力疾走!!


一刻も早くお風呂に入りたいのだ。

長時間血まみれだと色々と問題も起こるはずだ。


「到着!!」


時間にして3分。ずっとトップスピードってマジ?

自身の身体能力の上がり具合に驚く。

悪魔の持久走3000メートル5分切れるんじゃない?


「あいつは私の体にどんだけの事をやったのか…」


まあ失敗してあんなのが出来るぐらいにはやっているんだろうな…

そんなこと考える。何気に人型を留めていたのは最後の一体だけである。


「とにかくお風呂!!」


扉を開ける。

どうやら脱衣場らしい。いきなり浴場でも困るが…


真っ赤に染まった服を脱ぎ……捨て浴場に入る。

なお間があった理由は畳む必要があるかを考えたからである。

染まっていたから脱ぎ捨てる選択肢を取ったのである。


「大浴場…」


入って真っ先に出た感想である。

広い。とにかく広い。銭湯並みに広い。

ここまで広くする必要があったのだろうか…


「まあいっか。」


髪と体をよく洗ってから浴槽に浸かる。

そうして壁をボーっと眺める。

窓はなくただの白い壁。完全な閉鎖空間。

まずこの施設に来てから一度も窓を見たことがない。


「外界との完全な隔離か…」


そう言いながら一人の友達の事を思い出す。


美奈みなちゃんは大丈夫かな…」


黒髪のボブカットの髪の少女。自分と髪色が反対だからという理由で仲良くなった子だ。

まだ実験の餌食になっていなかったらまだ無事のはずである。


「考えるだけ無駄かな…この手で殺めるかもしれないし…」


そうして考えるのをやめた。

しばらくボーっとしていたら


チャポン


誰かが隣に入ってきた。


「!?!?」


一瞬で距離を取る。


「あらあら、驚かせっちゃったかしら?」

「…(コクコク)」


この女、音も気配もなく近づいて来ていた。

ステルス性能が高い…


「ごめんなさいね、咲希ちゃん」

「何で私の名前を?」


当然の質問である。答えは予想できてはいるが…


「それは私が実験の協力者みたいなものだからよ。」


ちょっと違っていた。


「てっきり主犯格の一人かと…」

「う~ん。まぁそれに近くはあるかな。」


彼女は少し考えてからそう言った。


「あぁ、まだ自己紹介していなかったね。私の名前はマナ・カルマ。あいつに無理矢理この世界に連れてこられた哀れな異世界人よ。」


なんか凄く重要なことをいているが、彼女の体を観察していたから後半はほとんど聞いていない。

彼女の髪は濃い黒色で腰ぐらいまである。

目はアメジストでできているのかと思うほどの鮮やかな紫。

体はモデル体系で、更に胸がデカいときた。

そして自分の胸を見る。そして悲しくなったのであった。


「あぁ…確か今は14歳だったわよね。」


彼女が私の視線に気づいてそういってきた。


「多分…」


正直なところ自分が何歳かが分からない。日にちを確認する手段がなかったのだ。


「子供たちが此処に連れて来られてから382日だから合ってると思うわよ。」

「かなり正確ですね。」

「カレンダーがあるからね~貴方は…二年後ぐらいには大きくなるよ!!」


なんか励まされた…


「そういえばさっき異世界人って言っていたけど、どういう事?」


取り合えず話を戻そうとする。話を変えたのは自分であるが…


「急に戻したね…どういう事って言われてもそのまんまなんだよね。此処とは違う世界から連れてこられたの」

「無理やりって言ってたけど…」

「そうよ。アイツを私が生まれ育った世界に呼んだんだけど…魔王討伐をトンズラされてね…もう一度この世界から召喚しようとしたら、ひょこっと現れて私を掴んで魔法陣に入ったんだよね。そしたらこのありさまってわけ。」


無理やりと言うよりも利用されて此処にいるのでは?


「魔王って…なんか異世界らしい。」

「そうよ多分まだ倒されてないけど」

「!?それヤバくないですか?」

「ヤバいわよ…しかも私達の国が滅んだら人類の負けになるしね」


大分ヤバかった。ってか呼ぶ手段を返す手段があるなら行くこともできるでしょ。


「なんで帰らないんですか?」


気になるから一応聞く。


「帰るだけの魔力を封じられているのよ。そして解放条件は『2年間アイツに協力する』なのよ」

「なるほど?」

「まぁあと342日は気にしなくても良いわよ。」


そう言い彼女は湯船に浸かった。


「それまで何人残るか…」


ボソッと彼女はそう言った。


「何か言いました?」

「いいえ何も…」

「「……」」


無言が続く。気まずい…


「あぁ、そうだ。服綺麗にしといてあげたよ。」

「そうなんですか?ありがとうございます。」


方法は?と思ったがどうせ魔法だろう。

それが最後の会話でありここから30分間は一切しゃべらなかった。


「それじゃあ先に上がりますね。」

「分かったわ」


そうして私は浴場を出た。

服は近くの台に畳まれて置かれている。


「ご丁寧にどうもって所かな…」


そうしてのんびりと着替えて、髪を乾かし(ドライヤーがあった)脱衣所を出る。

読んでくれてありがとうございます。

良ければ感想、評価をしてくれると嬉しいです。

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