10話 運
サブタイが思い浮かばない件
「「…」」
此処に来て約1年、今でも此処に連れてこられた時の事を鮮明に覚えている。
私は不意打ちで、俺は正面から、
互いは顔を見合わせる。
「それにしても凄いな、11歳で既に二つ名持ちの裏の人間って…」
「あ、そっち?」
最初は500人ぐらいいた灰色の部屋、けれども今は自分と彼しかいない。
そしたら必然と話すようになるわけで、互いの事を喋っていた。
「やっほ~二人とも元気にしている?」
扉を開けてマナがそんなことを言いながら入ってきた。
「お陰様でね、物理系魔法使い」
「……死ね」
二人でそんなことを言う。
「響くん、魔法使いは格闘もある程度出来るって何度も言っているよね?物理がメインじゃ無いからね。望ちゃんはせめて罵倒のレパートリー増やそう?『死ね』と『消えろ』と『黙れ』以外の言葉をほとんど聞いたことがないんだけど。」
なんてことを言って来るが、
「はいはいそうですね~」
「……」
はぁ…
マナがため息をついているが二人は気にしない。
「…何で此処に来たでしょう。」
「…ボッチ回避。」
「あり得るな、それ。こいつずっと一人そうだし。」
事実ではないが、何故かマナの心に刺さる。
(もう嫌だ。全然心を開いてくれない…要件をささっと言って連れ去ろ…)
「望、貴方の番よ。」
「「!?」」
二人が驚いている。まぁそうだろう。あの入り方だとただの雑談をしに来た用にしか思えないのだから。それに、私がこの部屋に来るのはこれで499回目。そのたびに子供を一人連れて行った。
「私…死ぬ?」
望が怯えながらそう言う。命が軽い裏社会で過ごしてきたとは言えまだ12歳、『死』が怖いのは当たり前だろう。
「死なない確率は9割9分9厘かしらね…」
「99.9%と言えよ…」
響が言ってくるが気にしない。
「私…死なない?」
「分からない…『アイツ』が止めるタイミングでは0.1%を引く可能性はある。」
今のマナにこれ以上言えることは無い。
「それじゃあ響くん、この子は貰って行くから。」
次の瞬間、望が床に崩れ落ちる。どうやら気を失っているようだ。
「!!何を…」
「これが魔法よ。それじゃあ5日後ね」
そう言い望をお姫様抱っこで抱え上げて部屋を出て行った。
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