期末試験
サブタイトルは期末試験ですが、内容はほぼ魔の森調査の続きです。
二学期の期末試験は、王子が一位だった。
今回、王子に一位を譲ってしまった大きな理由は、世界史が私の最も苦手とする分野だったからだろう。
私の最も苦手とするもの。それは・・・・・・人名だ。
特に、王侯貴族等。長い上に、似たような名前が多い。
英雄だとか、発明家だとか、後世に多大な影響を与えた人物の名前ならば長くても覚えることに苦は無い。
しかし、同盟のために集まった各国の王の名前をフルネームで覚えるのは私には無理だった。ファーストネームだけなら大丈夫だったんだけどね。
試験の準備期間が短くなってしまったことも痛い。
短くなってしまった原因は、魔の森で遺跡を発見してしまったことなのだが。
遺跡を発見した翌日は、朝から調査だった。
クロード先生とベルさんは遺跡内部に残された資料の調査を。
レオンハルトさんと兵士さん達は、広場の周囲を詳しく調査することになっていた。
私は、冒険者としての興味から、レオンハルトさんに付いて行くことにした。
先ずは森の奥に向って進む。
進むにつれ、徐徐に霧が濃くなっていき、数メートル先を認識できないくなった場所で、“透明な壁”に行く手を阻まれた。
ガラスのような物を想像していたのだが、違っていた。
魔力とは異質の“力”によって押し返されている感じがする。
レオンハルトさんが前日に魔法で壊そうと試みたらしいが、放った攻撃が壁に吸い込まれる様に消えてしまったそうだ。視界を遮っている霧も、全く変化が無かったそう。
私も試しに風の魔法で霧を晴らそうとしてみたが、効果は無かった。
ここで時間と魔力を消費してしまうのももったいないので、霧で少々視界は悪いが“透明な壁”が右側になるよう、壁に沿って調査することにした。
生えている木々は森の入口付近と大して変わりなく、時々現れる生き物は臆病な性質らしく、私達の気配を感じると、すぐに逃げて行った。
しばらく歩くと、霧の影響が無い場所に辿り着いた。多分、森の入口側、前日に私達が通ってきた場所だろう。
前日に魔法で簡単に作った道を見つけたので、今後の事を考えて道幅を広げることにした。
兵士さん達は、道の両側に生えている木の邪魔な枝を切ったり、目印になるように幹に傷を付けている。
そんな中、レオンハルトさんは・・・・・・。
「うぉりゃー!!見つけたぞー!!」
はるか彼方に獲物を見つけたようで、すごい勢いで木々の間に消えて行き、数分後、何事も無かったかのように獲物を担いで戻って来たのだった。
結局、調査などを終え、砦に戻ったのは夕方だった。
当然、王都への出発は翌日。
往路が強行軍だったこともあって、復路は休憩時間を十分に取った一般的な行程ではあった。馬車の速度が標準より少し速かったが。
王都までは、二日半。昼過ぎには到着したので、このまま学園に戻れば明日の週明けの授業に間に合うのだが、
「明日、遺跡について御前報告をすることになったので、アイリスちゃんも第一発見者として出席するように」
と、ベルさんから恐ろしいことを伝えられてしまった。
「平民で礼儀作法など未熟な私がそのような大層な場に出席など無理です!それに、私、学生なので、出席日数とかが・・・」
と、一応言ってはみたものの、
「礼儀作法は気にすることないわよ~。遺跡に関しては極秘事項だから、礼儀作法が~なんて言ってたら話が進まないから。それに、貴女には是非出席するようにって。学園のほうには連絡済みよ。先週の分も含めて公欠扱いだから」
ベルさんはニッコリと微笑みながら、“強制参加”であると伝えてくれたのだった。
翌日の御前報告。
謁見の間で国王夫妻を前に行われた。
私は、服装が学園の制服だという事もあって、大きいレオンハルトさんの後ろに隠れる様に立っておくつもりだったのだが、レオンハルトさんとベルさんに両脇を挟まれる形で、国王夫妻の真正面に立つことになってしまった。
報告自体は、レオンハルトさんとベルさん、それにクロード先生がやってくれたので、私は挨拶と自己紹介以外に話すことは無かったのだが、国王夫妻、特に王妃様からずっと観察されているようだった。
よく考えたら、この方達、王子のご両親だった。
学園での事はたぶん報告されているだろうから、目の前にいる息子の同級生が気になって仕方が無いと思うことで、この場を乗り切ることにした。
学園に戻れたのは御前報告の翌日。
二日も余計に学園を休むことになってしまった。
私が二日も余計に休んだことで、王子がかなり心配していたようだが、休んだ理由が極秘扱いとなったため、適当に誤魔化すことしか出来なかった。
ちなみに、私が休んでいる間の授業は、他のクラスよりも先に進んでいることから、ほぼ自習だったらしい。
予定外の事で試験の準備期間が短くなってしまったとはいえ、苦手意識から覚えることを後回しにしてしまったことが今回の試験の結果であって、反省しなければ・・・。そう、思っている横には、
「く・・・・・・。アイリスが休みの間、あれだけがんばったのに、僅差でしか勝てなかったとは・・・」
「アーサー。君はまだいい。勝てたから。僕達なんて、まだまだだよ・・・。少しは近付くことは出来たが・・・」
私に勝てたのに悔しがっている王子と、それを慰めているカーティス。そして、カーティスの言葉に頷いているブライアンとクリフがいた。
年明け早々、インフルエンザにかかってしまいました。
その後、家族にも感染してしまい、更新が遅くなってしまいました。
遅くなってしまいましたが、今年もよろしくお願いします。




