ぽつりぽつり
初投稿です。よろしくお願いします。
僕が悲しんだり落ち込んだりすると、不思議と雨が降る。
降水確率0%のかんかん日照りでもお構いなし。神様がいるとしたら、慰めてくれているのか、揶揄われているのやら……。
最初は偶然だと思っていた。
けれど、お気に入りだったロボットのおもちゃが壊れてしまった時も、友達とくだらないことで喧嘩した時も、中学の卒業式の時も、飼っていた犬が死んだ時も必ず雨が降った。
初恋の女の子に告白して振られた瞬間なんて、記録的な豪雨を観測した。あまり記憶にないけど。
友人たちは「振られたくらいでゲリラ豪雨かよ」って涙が出るほど笑っていた。ふざけんな!
それからというもの、天気予報が外れるたびに僕が女の子に振られたという噂が囁かれるようになる。解せない。流石に全部が僕のせいではない。
ともかく、僕の心と雨は連動してるらしい。
高校生になってもこの体質が変わることはなかった。
自覚してからは、悲しんだり落ち込まないようにメンタルトレーニングに励んでみたが、努力虚しく度々訪れる予報外れの雨に対して僕にできたのは、鞄の底に折りたたみ傘を常備しておくことくらいだった。多感な時期というのも困りものである。
今日も最近気になってたクラスの女子が、学校でも1、2を争うイケメンの先輩と仲睦まじく下校している姿を見かけてしまった。
チクリとほんの小さな痛みが胸を突く。
とたんに、雨が降る前のあの特有な匂いが地面から香ってくる。あの笑顔と距離感は完全にカップルのそれで……あ、手を繋ごうとしてる!
初々しい青春の一ページを見せられて、鳩尾を殴られたような気分だ。そんなことを考えていると一つ、また一つと、地面に染みができはじめるのに時間は掛からなかった。
その場に立ち尽くし、二人が道の角へと消えると、ふぅ、と息を吐いた。
思っていたよりも落ち込んでいるみたいだ。
別に恋してたわけではない、と思う。
少し気になる程度のことだったのに。
雨が降るハードルが低いのか、僕自身の器が小さいのか、それはわからないけれど雨が降るたびになんだか情けなくて、惨めな気持ちになる。
失恋なんて平気さ、次があるさ。
そういう風に笑って強がる権利を奪われているみたいで、お前は落ち込んでいるのだと、自分の心をまざまざと見せつけられるようで。
他人に対しても自分自身に対しても、心が誤魔化せない。
昔は、この体質を気味悪がるやつもいた。嫌悪の目を向けられたことだって、一度や二度じゃない。
「あいつのせいで雨が降る」
なんて冗談半分に言われていた言葉も、子供の頃の僕には案外ちゃんと刺さっていた。
だから今みたいに、「なんか面白いことあるよな、お前」なんて笑いながら付き合ってくれるやつらに囲まれているのは、正直ありがたいと思っている。
ーーそれでも。
雨が降るたびに、どこかで「またか」と思ってしまう自分がいる。
申し訳なさとか、どうしようもない卑屈さとか。
そういうものが地面に染みが広がるように、じわじわと心に滲んでくる。
別に、誰かに責められているわけでもないのに。
勝手に、自分で自分を責めている。
だから
僕は雨が嫌いだ。




