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幕間:歯車
ぎちぎちと動く音が聞こえた。
それは人の命の音で、歯車の音でもある。
私は寝転び、懐中時計を見ていた。
真鍮の肌理細やかに細工された時計は、ローマ表記の数字で時間を記されていた。
とても儚く見えるこの懐中時計はもう十六年と三ヵ月も動いている。それは直径たったの三センチしかないバネのおかげである。
たった二回捻るだけで、それはもう半永久的に止まる事を知らない。
私がその懐中時計のバネを回した所為で、人は道を辿る事になった。
二人の少年と少女。
その二人はまるでプレートにいる長針と短針。
会えるのは一日にたった二回だけのその酷過ぎる現実は、誰が見ても涙を流すに違いない。
悪いのは私なのだ。
私はその懐中時計を優しく抱き締めた。
小さな、美しくも儚い時計。
その時計は今何を示しているのだろうか?
それは私にも分からなかった。




