69話:消えた2人
雄康は、背後からやってきたタギーのカットラスを真剣で受け止める。雄康は、器用に真剣を持ち直し、タギーを向かい合った。2人はしばらく鍔迫り合いの状態になるが、相手のタギーが片足でキックをしてきた。雄康は蹴り飛ばされる。
「ぐっ!」
周囲の人々は突然の出来事に混乱し始めた。雄康が倒れていたところに、上からもう一人のタギーがカットラスを突き立ててきた。
「!」
雄康はなんとかタギーのカットラスをかわし、キックでタギーを蹴り飛ばした。
(2人か…!)
男たちは姿を消していた。
(こいつらは霧隠れだな…足音を聞くことで位置を知ることができるが…)
周囲は人々で喧喧囂囂としていた。足音を聞き出すことは難しい。
(…少し手荒にいくか…)
雄康は、オーラを真剣に纏わせ始めた。
そして、剣剣波を天に向けて放った。衝撃が天に向かっていく。人的・物的被害こそないものの、衝撃は人々を驚かせ、人々はその場を逃げようと走り去っていった。
(さあ、耳を澄ませろ…)
雄康は目をつむって集中した。しかし、足音が聞こえてくることはない。ぱっと目を開くと、目の前に一人のタギーがやってきていた。
「!」
男は雄康の顔にカットラスを突き刺そうとするが、雄康はそれをかわす。そして、男に隙ができている間に峰打ちで倒した。
(さすが殺し屋といったところか…足音を立てずに近づいてくるとは…)
雄康は、近くにあった街路樹に剣剣波をぶつけた。すると、葉っぱがひらひらと舞う。雄康は、ひらひらと舞う葉っぱの近くに立った。いずれ、全ての葉っぱが地面に落下した。
(…さあ、来い!…どこからでもな…)
―――
そのとき、周りに落ちていた葉っぱが消えた。
「…まさか!」
雄康は辺りを見回す。すると、伊里と七郎次が倒れているのを見つけた。
「伊里!…七郎次!…」
雄康は2人のもとに駆け寄る。どうやら気絶しているだけのようだ。
(よかった...俺だけを標的にしているようだ...)
雄康は立ち上がる。
(…これは…影を自由に出入りできる『影縫』の仕業だな…ここは影の世界…奴らは俺たちを、現実世界と影の世界に行き来させているんだ…)
影の世界では3人のタギーを確認し、そのうち2人は既に倒した。そのとき、雄康は何者かの気配を背後から感じた。3人目のタギーだ。雄康は真剣の柄を後ろに突き出した。
(兆能力は厄介だが…剣技は俺の方が上だ…!)
それは、タギーの腹部に命中し、その場で倒れこむ。すると、
―――
雄康たちはもとの世界に戻ることができた。伊里と七郎次もしっかりといた。
(倒れたことによって、兆能力が解除された…だが、少なくともまだ一人いる…霧隠れの男がな…)
雄康は再び葉っぱが落ちていたところに向かおうとする。しかし、先ほどまで散らばっていた葉っぱは、全て消えていた。
(…まさか、わざわざ片づけたのか?)
雄康が呆れていた瞬間、頭上からタギーが現れた。カットラスを突き刺そうとしている。
「!しまった!」
雄康が受け止めようとしたとき、衝撃波が飛んできた。その衝撃波は、タギーに命中する。タギーは吹き飛ばされながら、そのまま地面に落下した。雄康は、衝撃波が飛んできた方向を見る。そこには、青色のオーラを発しながら、七郎次が片足で立っていた。上げていたもう片方の足は、煙をあげている。
「…七郎次…助かった…!ありがとう...!」
「いいんだ。僕たちの方が助けられてる。」
雄康は七郎次の足をまじましと見る。
「...足技の攻撃力だけを高める兆能力『ハイレッグ』か...そして、あの衝撃波は...」
「足にオーラを纏わせることで衝撃波を発生させる、『蹴極足裂破』だ。君の剣剣波と同じタイプの技だよ。」
「...伊里はまだ目が覚めてないのか...」
雄康が伊里の方に寄ろうとする。しかし、
「伊里は大丈夫だよ。気絶しているだけだ。」
七郎次がそれを止めた。そんなとき、ようやく応援の首都警察官や救急車が駆けつけてきた。タギーらは激しく炎をたてて燃えており、首都警察官たちは困惑していた。雄康と七郎次は、救急車に運ばれた伊里に付き添い、病院に向かうのであった。
ところかわって、秀助の病室を後にした善俊とみつねも、病院のエントランスで待機していたメンバーと合流した。
「すまないね。待たせてしまって。」
五郎兵衛が即座に言った。
「いえ、構いません。大切な友人との時間は過ごせましたか。」
「うん。意識はまだ戻ってなかったけど…」
「すぐ目を覚ますさ!」
アダムスが大声を出す。善俊は口に指を当てて、静かにするように言う。善俊のグループは和気あいあいとしていた。
一方、みつねの方は…
「遅いぞ。三島みつね。寝ている奴に会うだけでそんなに時間かかるか?」
「ちょっと!何よ、その言い方!別にいいじゃない!」
少しギスギスしていた。みつねは2人の言い争いにあたふたする。
なんにせよ、2つのグループは病院を後にした。その様子を見ていた2人組がいる。一人は背がとても高く、もう一人は背がとても低い。まさに凸凹コンビだ。背が高く、少し不潔気味な男が言った。
「あの方々です。ペーターさん。No.4に頼まれた標的です。」
背が低く、モノクルを身につけた清潔な男も口を開く。
「そうだな、ニールス。どちらから殺ろうか?」
ニールスという男が即答した。
「目が髪で隠れている女性の方をやりましょう。ペーターさん。」
「わかった。それじゃあ、早速実行に移そう。ニールス、鉄は熱いうちに打たないとな。」




