70話:ニールス&ペーター
みつねのグループは、善俊のグループと別れ、首都警察本部に戻ろうとしていた。そのグループを、2人の殺し屋、ニールス&ペーターがつけている。
「厄介なことになりました。ペーターさん。奴ら、首都警察本部に戻ろうとしています。」
「馬鹿野郎、ニールス。俺たちは最強コンビ・ニールス&ペーターだ。たとえ、相手の本拠地でも、殺しを実行できるのが俺たちの凄さだ。」
ペーターが自信ありげに言った。
「ってことは、ペーターさん。何か案的なものでもあるのですか?」
「そうだ、ニールス。耳を貸せ。」
そう言って、ペーターはニールスにこしょこしょと何かを話していた。それを聞いていたニールスは、みるみる顔の表情を明るくさせていった。
「それは名案ですね。ペーターさん。やりましょう、そうしましょう。」
「それじゃあ、行くぞ。ニールス。」
みつねのグループは首都警察の本部に入っていた。2人も後を追うように入っていこうとする。もちろん、入口の警備に止められる。
「君たち!何をしている!」
ニールスがおどおどした。
「えーっとぉ。なんて言うんでしたっけねぇ。ペーターさん。確か…」
ペーターがニールスの体を叩いた。
「お前は黙ってろ!ニールス!いや、おまわりさんね、実は兆能力犯罪について重要なタレコミがありまして…」
「そうだったのか。それじゃあ、受付用紙に必要事項を記入して、受付に渡して。」
警備は2人を通した。
「さすがです。ペーターさん。」
「いいか。ニールス。首都警察と話すのは俺に任せろ。いいな。」
ニールスは受付用紙に必要事項を記入し、それを受付に渡した。
「どうも。兆能力犯罪のタレコミに来ました。こちら用紙です。」
受付はその用紙に目を通していた。
「それでは、個人情報の照合をさせていただきます。身分証明書を。」
再びニールスがおどおどした。
「あれぇ。ペーターさん。ありましたっけ、そんなもの。」
「あるよ!ニールス!すみませんねぇ。こいつ、忘れっぽい性格でして…こちらで。」
そう言って、ペーターは身分証明書を受付に渡した。それは確かに日本のものだった。
「はい。確かに確認しました。それでは、ご案内いたします。」
2人は控室に案内された。
「ペーターさんって日本人だったんですか?」
ニールスが尋ねた。
「馬鹿野郎!ニールス!俺たちはいろんな国の偽造身分証を持ってんだよ!」
「ああー!ペーターさんはすごいなぁ。」
「全く….ニールス…」
ニールスは控室の中をうろうろしていた。
「ペーターさん。この建物、オーラ感知機がありますよぉ。」
オーラ感知機、兆能力を発動させる際に発生するオーラを感知する機械である。無色オーラでさえ感知できる優れものである。
「ニールス、俺たちのモットーといえば、なんだ?」
「はい。ペーターさん。『兆能力を使うのは追い詰められてから』ですね?」
「そうだ。ニールス。俺たちは今まで数百もの仕事をこなしてきたが、未だ兆能力を使っていない。つまり、心配には及ばないってわけだ。」
ニールスがはっとした顔をした。
「言われてみればそうですね。ペーターさんの兆能力が何か、忘れましたぁ。」
そうしているうちに、2人は取調室に案内された。そこには、2人の首都警察官が立っていた。
「よくいらっしゃいました。私、首都巡査部長の丸山です。」
「首都巡査の酒井です。」
ペーターが口を開いた。
「これは、これは、首都巡査部長までいらっしゃるとは。」
丸山という人はペーターが受付に渡した用紙を見ながら言った。
「指名手配中の兆能力犯罪者を知っているとのことでしたね?」
「ええ。そうです。」
「それを、どこで知ったんですか?」
「飲み屋ですよ。」
「誰が言ってました?」
「チンピラです。」
「ほう。」
丸山はため息をついた。
「お疲れですか?首都巡査部長。」
ペーターが言った。丸山は首を横に振った。
「いえ、あなたがた、本当に知っているのですか?もしや、いたずらなんて言いませんよね?わかってますか?こんなこと、ただのいたずらですみませんよ!」
「確かにそうですね。なんせ、ただのいたずらじゃありませんから。」
そう言って、ペーターは謎のお香を取り出した。そしてすかさず、2人はガスマスクを着用した。
「こ、これは…!」
丸山と酒井はその場で倒れこんだ。いびきをかいて寝ていたのだ。
「さて、ニールス。この部屋から出るぞ。」
ガスマスクを外して、ペーターは言った。




