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兆兆発止  作者: ぱんろう
兆能力ファイトクラブ編
22/150

22話:新技

秀助はダストメイカーを発動し、どこからともなくゴミ箱を出現させた。

『しゅう君!どこからともなくゴミ箱を出現させる!』


「あれは!?」

みつねが驚く横で、善治が解説していた。

「ダストメイカーがレベル2になることで使用できる、四次元ゴミ箱か。あれがあれば、いつでもどこでも好きなゴミを取り出すことができる優れものだ。数に限りはあるがな。」


秀助は、そこからガラス片を取り出し、人形に向けて発射した。人形はそれを見事にかわした。

「ははは。俺の人形をなめるなよ!そんなもの容易に避けられる。」

一刻は相変わらず笑う。モニターを見ていた善治は呆れていた。

「どうやら、勝敗は決したらしいな。」

「えっ!」

みつねや善俊が、善治の意味深な発言に気を取られていた間に、人形はガラス片をくらっていた。そう、命中しなかったガラス片がそのまま戻ってきたのである。

『おっとぉ?どういうことだ?!ゴミがとんぼ返りしたぞぉ!』

『ゴミ箱が恋しくなったんでしょう。あの技は…』


「あれも、ダストメイカーがレベル2になることで使用できる技、ワンウェイ・リユースだ。一度だけだか放出したゴミを自身のもとに引き寄せることができる。この技も知らなかったあたり、あの人形野郎も三流だな。」


ガラス片をもろにくらった人形は、ついに動かなくなってしまった。

「なんだと!?」

さっきまで笑っていた一刻はさすがに焦り始めた。秀助は、改めて一刻に向かって走り出し、塵を一刻に向かって飛ばした。一刻は塵に埋もれて動けなくなった。


「そこまで!」


試合終了の合図がなされ、秀助の勝利が確定した。

『勝負がついたぞぉぉぉぉ!しゅう君の勝利だぁ!』

『見事、人形の首を切りました。』

五回戦では、秀助の奮闘により会場が少し盛り上がっている。

その裏で、運営捜査班が医務室に向かっていた。

「あの致命傷を速攻で治せるなんて、よっぽどの治癒能力だ。何者なのか、確かめる価値がある。」

「確かこの辺で心拍数の低い人たちを感じたわ。」

トレイシーが囁くように言った。辺りを見回すと、白衣を着た人が出入りする部屋を見つけた。その様子を見ていると、不穏に感じたのか白衣の一人が声をかけてきた。

「あのー、何か?」

十兵衛が咄嗟に仮病を装った。

「いや、実は食べすぎで腹を下してな。薬の一つでもと思ったんだ。」

「わかりました。様子を見ましょう。あとの人は?」

白衣が他の3人にも話しかける。

「ああ、付き添いだよ。」

3人も?と心の中では思っていただろう。しかし、白衣はそれを口にすることなく、十兵衛だけを医務室に入れた。

「しばらくそこで待っててくれ。」

十兵衛は、3人にこう言い放って医務室に入っていった。医務室の中に入ると、他にも体調を崩した人がいた。それを数人の白衣が治療している。薬の投与にとどまる者もいれば、兆能力での治療を施されている者もいる。しかし、ミスターYの重傷を治すことができそうな者を見つけることはできなかった。

「万に一つだが、大けがを負ったときもここに来ればいいのかな?」

十兵衛は怪しまれないように聞いた。

「いや、その場合は、別の場所で見てもらいます。」

「その場所を聞いておいても?」

「すみませんが、それはできません。大けがをしたときは近くのスタッフにお知らせください。」

結局、ミスターYを治療した人物を見つけ出すことはできなかった。薬を貰った十兵衛は医務室を後にする。

「ダメだ。ここではない。現時点では重傷者もいないし、今日のところはここで切り上げよう。なに、まだ数日ある。他に運営に近づく方法はあるさ。」

「そうですね。ですが、ミスターYを治療した人物がいる部屋はきっと運営に近づく最大のチャンスになるでしょう。トレイシー、今後ミスターYのような重傷者が出たら、その人物の脈を探ってください。」

「わかったわ。ただ、それも明日以降になりそうね。」


運営捜査班が部屋に戻る頃には秀助も戻っており、善治が試合のため退室していた。

「おう、戻ってきたのか。何か見つけられたか?」

「ダメだ。何も見つからないし、あまり派手に動くことができない。」

十兵衛がため息をついている中、モニターでは六回戦の決着がついていたのが映っていた。氷を繰り出す秋山氷河と炎を扱う無敵のマスクマンの対決だった。言うまでもなく秋山の分が悪く、すぐに決着がついた。

秀助は勝利したマスクマンをじっと見ていた。なぜなら、次に秀助が戦う相手であるからであった。そして、そのマスクマンはオーラを出さずに炎を繰り出していたのを、秀助は確かに見ていた。


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