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クリと勇者と選択肢 〜チート剣とトンデモ技で昔の自分が作った中二病全開のゲーム内異世界を攻略する〜  作者: チームつちのこ
十五章 はじまりの終わり

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84話 再び目覚めた時

 顔を洗い、歯を磨き、身支度をしながら考える。


 確か徹夜明けでフラフラになりながら自宅の賃貸アパートに戻った。

納期ギリギリのデスマーチで会社に何徹もしていて、ようやくメドが付き自宅に戻って来れたので、そのまま部屋の布団に倒れ込むように寝た覚えはある。


 そして今は月曜日の朝だ。

 休みの間ずっと寝ていた……のか?、アラームが鳴って気付いたら今と言う訳だ。




「夢か……」

 僕は静かにそう呟く。

 普通夢はすぐに忘れてしまうものだが……



「……夢だよね?」

 僕にはあの冒険の日々が、はっきり思い出せる。



 モモを助け、リナにツンデられ、クルミにクールに対応され、レナと出会う。

 各地の塔を解放して周り、魔王を討伐した大冒険。


 とても丸一日寝た程度の時間では、言い表せないほどの冒険の日々の記憶が残っている。




「……」

 ……それでも僕はこう叫ぶ。

「あれは……夢だ!」



 素早く着替え、朝日が差し込む窓を見ながら続けてこう言った。

「昔の僕の描いた夢なんだ!」


 そう、あの冒険は確かに僕が体験したものだ。



 昔の僕が作った自作ゲーム。

 それはまさに昔の僕が描いた夢そのもの。


 昔の僕が作り上げ、今の僕が紡ぎ出した、たった一つの物語。



「その夢を形にするのが……」

「クリエイターだろう!」

 儚く消える人の夢、それを形にし、創り上げる。

 それが僕の目指した夢、クリエイター。


 まるで自分に言い聞かせるように叫ぶ。


「だから……」

 玄関の扉に手をかけ、呟きながら開けると眩しい朝の光が差し込んでくる。


 そう僕は九里永太(くりえいた)、僕の夢は僕自身が創り上げるんだ。



 そう心のなかで叫び、僕は踏み出す。


 夢をカタチにする為に。









「……」

「ふぇ〜」

 夜更けに自宅の賃貸アパートに戻ってきた僕は、そう呟きながら玄関の扉を開ける。

 念願だったゲーム製作会社に入社できて、僕のアイデアか採用され製作を進めていた。


 なんとかメドが立ち、製作が落ち着いて来た筈だった。



 だけど結局、帰ってくるのは週末の深夜になっていた。


 いや、大筋では目処は立っていて、なんとかなる所まで持っていけていたんだけどね。



 というか、夢がなんちゃら……とかカッコつけて意気揚々と飛び出したのはいいが、本音を言うと……寂しかったし、悲しかった。



 あの冒険の日々が楽しすぎたんだ。

 だってあれは昔の僕が夢見た冒険の世界だったのだから。

 顔には出していなかったが、正直飛び上がりたいほど嬉しかったんだ。

 モモやリナ、レナにクルミ、僕の思い描いたキャラが、人が、生き生きと生活し、生きていた。


 それがたまらなく嬉しかった。



 だから……夢だったのはちょっぴりショックだった。


 なので僕は、その心の隙間を埋める為にとある事をしていた。


 今製作しているゲーム、そのゲーム内に隠しキャラ的にモモ達を登場させようと……奮闘していたのだ。


 当然工数が増えてしまい、帰れたのが週末の深夜となっしまった……と言う訳だ。


 まぁ、セルフデスマーチで自分の首を絞めるのは今に始まった事ではない。

 ついこの間も同じ様な事をした記憶もあるし。



「ふぃ〜」

 とは言ったものの、さすがにセルフデスマーチの疲労が溜まっている様で、僕は部屋の布団に倒れ込む。


 そうだ、ついこの間もこんな感じで布団に倒れ込んだ……記憶がある。


 なんて、考えている内に……



「スゥ……、スゥ……」

 僕は眠りに落ちた。










 チュンチュン


「……」


「……、」



 眩しい日差しに僕はゆっくり目を開ける。


「……朝?」


「もう朝になった……のかな?」

 そう思い起き上がろうとする、と


 カサッ


 手に布団とは違う感触に違和感を感じる。


 自分の手を見る。

 草。


 自分の周りを見る。

 草原。


「あれ、自宅に戻って布団で寝た……はずだよな」

 自分の服を見ると確かにヨレヨレのワイシャツを着ている。


 僕は立ち上がり周囲を見渡す。




 草原が広がっている。


 その場所は小高い丘になっており、遠くの景色が見える。


 遠くには見覚えのない建物や、知らない道路などがあり、明らかに自分の暮らしていた現代とは違う。

「……ここは?」


 そこで僕はふと気付く、

「まさか?」


 このデジャヴ感、もしかして……?

「また、来たのか!?」

「僕の自作ゲーム内!」


 そして、どこからか叫び声が聞こえてくる。

「きゃぁあ〜」


 この展開!すごく見覚えがありますよ!




「また、ゴブイチに襲われてるのか!?」

 そう呟きながら叫び声のする方向を見ると……



「きゃぁあぁぁぁぁ!」

 上空から何かに乗った女の子が、僕に向かって落ちて来た!




「ぅお、おおぉぉっと!」

 思わず落ちて来た女の子を受け止める。



 ドガァ!


 ズサササササッ……




「う〜ん、痛たたっ……」

 なんとか受け止めたものの、その衝撃で頭がフラフラしてる。



「ゴメンなさい、ゴメンなさい」

「あ、ありがとう御座います」

 落ちて来た女の子は、僕に馬乗りになった状態で平謝りしてる。




「あれ?」

 確か昔の僕が作った自作ゲーム、【エイタークエスト】の最初のイベントはモモが暗黒四天王(ダークフォース)のゴブイチに襲われる所から始まる筈だ。


 なのにこの展開は……?




「あの、大丈夫……ですか?」

 そう僕に声を掛けてくる女の子。


 ピンク色のロングヘアーに可愛らしい声の美少女。


 ……完全にモモである。



 ……いや、待て……この展開もなんだか記憶にある。

「まさか……」

 そう呟いた後、






「【エイタークエスト2】かよっ!!!」

 僕は声高らかに叫ぶ。


「かよっ……」


「っ……」



 そんな僕の叫び声が、空に向かって響き渡る。




 ……僕の冒険はまだまだ終わらないみたいだ。




 〜fin〜

ここまで読んで下さった方々、有り難うございました。


異世界ファンタジーを書いたのは初めてで、至らない点が多々あると思いますが、よろしければ評価をお願い致します。


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