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ゲーム攻略が拷問と化す世界 〜目覚めたら昔作った中二病全開の自作ゲーム内だった〜  作者: チームつちのこ
十章 北へ

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50/50

50話 番犬の山砦

「おじいさんは……シャドウちゃんを知っているんですね」

 モモがおじいさんの様子を見て問いかける。


「そうさな」

「こう見えてもクルミも昔やんちゃだったからのぉ」

 優しい顔をしながら遠目で懐かしむような喋りで話すカシューおじいさん。



 モゴモゴ


 そんなクルミはおじいさんのアルプスご飯に夢中の様子。



「最初この村に来た時、ここに来るまでによほど大変な事があったのか何も喋らない子じゃった」

「まぁ、クルミ自身も覚えておらんような小さき頃だがの」

「その後、この森で遊ぶ様になってからはそれはもうやんちゃでな」

「一人かくれんぼやら、一人鬼ごっこ」

「それに、影っ子を鳥にして飛び回ったりしてたものじゃ」

 そう言ってクルミを見ながら優しい目をする。



「一人鬼ごっこ?」

 リナが謎ワードに反応して軽くツッコむ。



「同じ年頃の子がおらんでの、影っ子と一緒に遊んでおったんじゃ」

 なるほど、クルミの独特な世界観はそこで培われたんですね。



「それに鳥になって飛び回ってたって、どゆこと?」

 リナがさらにツッコんでくる。


「影っ子がクルミを背に乗せれるぐらい大きい鳥になって飛び回ってたのぉ」

 孫の昔の武勇伝を語るおじいちゃんみたいになっているカシューおじいさん。



「シャドウってそんな事出来たんだ」

「そんな鳥になる技があるなら塔まで歩かなくても、飛んでいけたんじゃ?」

 リナがもっと鋭い所をツッコんでくる。



 モゴモゴ


「手で犬とか蟹とかやる影絵あるやろ、あれの応用や」

「しかもこの周辺の結界内だから目立たずに出来たことで、普通に飛ぶと悪目立ちするからアカンで〜」

 モゴモゴ食べてるクルミの代わりにちびシャドウちゃんが解説してくれる。



「まぁ、確かに……」

 クルミは一応隠密特殊部隊なので目立つことはしたくないのだろうとリナでも察した様だ。

 なによりシャドウバレしたのがつい最近なのでそんな技初めて聞いたのだろう。


 初めて聞いたと言えばこのメイジ村も北の塔までの中継地としての村、ぐらいの設定だった気がするのにカシューおじいさんやらクルミが小さい頃居たとか、製作者の僕も知らない辻褄合わせが起きている。


 まぁ、メインシナリオである北の塔攻略の流れは変わっていないのでそこは一安心といった所だ。



「それで、北の塔を目指しているそうじゃな」

 クルミの昔話も落ち着いて本題に入ろうか感を出しながらカシューおじいさんが口を開く。


「そうです、残るは北の塔です」

 モモもそれに乗っかり真面目な顔で答える。




「北の塔は……これまでの様には行かんかもしれんぞ」

 カシューおじいさんのシリアススイッチが入ったのか渋いボイスがさらに渋く喋る。



「と、言いますと?」

 モモも真面目な話に上手に相槌を打つ。



「北の塔は別名」

番犬の山砦(ドッグマウンテン)と呼ばれておるぐらいじゃからの」

 渋いボイスとキメ顔で仰々しい別名を説明するカシューおじいさん。



「そうね」

「北の守りの要所だから」

 今まで静かだったリナが会話に参加して来る。

 

「ここより北にある死の大地という場所は、魔族など様々な種族間での戦いが絶えず行われていて」

「その侵攻からこの国を守る北の防衛線の要として」

「北側諸国に睨みをきかせる、それが番犬の山砦(ドッグマウンテン)

 防衛線の要と言う事で騎士団の管轄なのか、珍しく説明役をして私は知ってますよアピール感を出すリナ。



「そうですね」

「北の塔を中心に砦が築かれ、要塞といった感じになってますから」

「一筋縄ではいかない、気がします」

 モモも北の塔の補足説明をして会話に参加して来る。



「……そうだね」

「せやな〜」

 ひとしきりご飯を食べ終えたクルミも相槌を打つ。



「ひとまず明日明るくなったら、北の塔の様子を伺いに行きましょう」

 モモがそう提案する。


「そうね」

「……うん」

 その案にリナとクルミも同意した。



「では、今日はここに泊まっていって下され」

 とことん優しいカシューおじいさんが提案して来る。



「いや、でもご飯をご馳走になった上にそんなことまで」

 と、モモが遠慮した辺りで……



「うん、わかった」

「私の部屋はこっち」

 食事後の片付けを済ませたクルミは実家に帰ってきた孫の様な手際の良さで即答し、部屋に案内してくれる様だ。


「まぁ、泊まる所無かったし」

「願ったり叶ったりよ」

「おじいさん、ありがとう」

 リナも乗り気でおじいさんにお礼を言う。


 そんな感じでモモとリナはクルミの部屋へ、僕はリビングにあったソファーを使わせて貰い一晩休むことになった。

 ソファーで寝るなんて野宿に比べれば天国みたいなものだ、などど思いつつ眠りにつく。




 翌朝もアルプス的なご飯、チーズトロ~りパンをごちそうになり、クルミも満足気な顔をしていた。


 その後、クルミの案内で北の塔へと向かう事となり山道を歩いていた所で、

「北の塔まではどのくらいなの?」

 昨日リナに聞いた質問を、今度は案内してくれているクルミに改めて聞いてみた。


「もう見えてる」

 クルミがそう言って指を差す方向を見てみると、木々の隙間に何か見える。


「あの村からこんなに近かったの?」

 リナがそう叫び、見えたのは塔とその周りに広がる砦だった。


「まだ少し距離はあるけれど、ここからなら砦の様子がわかる」

 クルミの言う通り、僕達はまだ山の中腹で尾根を伝って向こう側に北の塔、通称番犬の山砦(ドッグマウンテン)があるのが見える。

 まだもうちょっと歩かないといけない感じだが、確かにここからなら塔と砦の様子がわかりそうだ。


「ここは視力53万の私にまかせて!」

 リナが本気なのかギャグなのか、そう叫んで眉間にシワを寄せる。


「なにそのデタラメな数値……」

「宇宙人か何か?」

 リナの自称トンデモ視力に僕はやる気無くツッコミを入れる。



「宇宙人じゃ無いわよ!」

「見てなさい!見せてあげるわ!」

 リナが見てるのか見てないのか良くわからない乱暴な返答をする。



「どれどれ……」

 そう言って尾根の向こうに見える北の塔とその砦を覗き込むリナ。

 僕もそれに合わせて一緒に番犬の山砦(ドッグマウンテン)の様子を確認する。


 今まで解放してきた西の塔や南の塔にも多少の雑魚ゴブリンは居たけれど、この北の塔はそれよりも多く守りを固めている様に見える。


「これは……」

「いっぱいいるわね」

 リナが見たままの感想を素直に言う。

 まるで食リポで美味しさの詳細を言わずにおいしいと言うだけみたいな感想だ。



「……多分、残存戦力をここに集中している」

「……と思う」

 さすが隠密特殊部隊のクルミ、ちゃんと現状把握と状況判断が出来ている。

 食リポで感想を言い慣れているし、コメント上手だ。



「向こうもこちらもここが正念場、ということなんですね」

 モモもワイドショーのコメンテーターみたいに上手いこと話を合わせてくれる。

 確かに魔王軍本体は王城に封印されていて動かせないので、残り一人の暗黒四天王(ダークフォース)含め残存戦力をかき集めることで守り抜こうという感じなのだろう。



「なので正面突破は難しそうですね……」

「何か策を考えないと」

 モモが北の塔の様子を確認しながら僕達にそう呟く。


「……一度村に戻って」

「作戦会議」

 クルミもモモの案に同意する。



「わかったわ!」

 リナも同意……


「正面突破ね!」

 するかと思ったら、いつも通りだった。



「……まじか!」

 僕はリナの言葉にすかさずツッコむ。



「なによ!今までだってずっとそうだったじゃない」

 確かにリナはずっと正面突破だったが……



「さすがにあの数を正面から突破するのは無茶です」

「砦の城壁に加えて魔法障壁があるのを」

「リナも知っているでしょ?」

 モモが無謀なリナを制して止めてくれる。



「確かに……あの守りを突破するのは並大抵では無いわね」

「だからこそ燃えてくるのよ!」

 リナがまた変な事を言い始めた。


「いいから一旦戻りますよ!」

 珍しくモモがリナに強めに話す。


「ぁ、はい」

 そんなモモを見てリナも引き下がる。



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