シャボン玉
あれから無理やりバスルームに押し込まれて、気がつけば恭介の姿はもう部屋には無かった
「恭介…、帰ったんだ」
部屋の空気が、がらっと変わる
これで全てが終わったと思うと、最後は苦味の効いた別れ方だったけど寂しく感じた
落ちついたからかな、今なら冷静に考えて恭介に腹が立ってきた
私は、あんたみたいに道徳に反して浮気なんかしてない
それなのに、最終的に私が悪女みたいな扱い方されて終わるなんて
「むかつく」
勢いにまかせて近くにあったミネラルウォーターを口にした
「花さ、俺のせいでごめんな」
別に早瀬が謝る事じゃないのに
私とは目も合わせ様とはしない早瀬
「俺さ、出過ぎたマネし過ぎた
ちょっとした知り合いの知り合いだったからさ
花には知らないふりして」
正直その言葉にはビックリした。
という事は紹介する以前から面識はないにしても早瀬は恭介のこと知ってたんだ
「それは、早瀬の優しさだったんでしょ」
さーっと、夕方の香りのする風が窓から吹き抜ける
もう、今は冷静なれてるから
「まぁ、人は噂にはよらにとか思ってたんだけど」
さっきまで、普通に話せてたのに今の私と早瀬には重い沈黙が流れる
「知ってて見守ってくれたんでしょ
まぁ、今どうこう言ってもね」
「花、、、」
「ずっと浮気って相手が悪いって思ってた
でも、違うかなーって今回の事で感じてきちゃってシャワー浴びて確信して
私は、自分って物を押しつけてしまってただけかもしれない
今まで恭介が押さえてくれてたのも奇跡で」
誰よりも幼くて、誰よりも世間を知らなかった私が全部招いた事
「安い女」に、今私はなってるのかなーって思う
もちろん口にはプライドが邪魔して言えないけど
もっと早く気がつけばよかったのかな
「時間でしょ、すぐ準備するから待ってて」
もともと竹を割った様なさっぱりした性格ではない私は、揺れるカーテンの裾を掴んだ
ずいぶん時間が空いてしまいましたが…
結末も見えてきた事ですし、どんどん更新していきます