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ラブレターふぉーユー 01

 手紙が下駄箱に入っていました。

 基本的にこのパターンって愛情があるよね、プラスかマイナスかわからないけど。

 カミソリレターなんて時代錯誤なことは無いと思いつつ、カッターであけるのは、物悲しい学習だ。

「何?」

「お手紙」

 千里が気になるようで近づいてくる。

『前略 会田文さんへ 好きです。』

 以上。

「以上。宛名無し、ならこれでおしまい」

 私は他に封筒の中になにかないかを確認してからそれをカバンの中にしまう。

「見せてー」

「だめだよ、千里。品が無い」

 まぁ、言葉で表現できるだけマシだよな。

 行動も伴う小向先輩もいることだし。

「ストーカーフラグ?」

「……千里、前科はあるけど。手紙の人にまだ罪は無い」

「フラグのままで終わればいいけど。文のストーカーはうざい、めんどい、危ない」

 千里に釘をさされるぐらい事実だ。

 上は60越えのご老体から、下はえーっと5歳?

 いやでも、5歳の少年はおねえちゃんって呼んでいい?ってぐらいだからな、ノーカウントで。

 大小様々なケースがあるのだけど、複合化した時がややこしい。

「私いくつ同時にストークされたっけ。」

「知ってるのは6つ同時。ゆうちゃんはあの時ストーカーというより追っかけで被害者だけど。6人同時は私も師匠も頭抱えてた。篠原さんも悩んでた。なんだそのストーカー寄って来い体質」

 知らないよ。

 その6つのときも半数は私は顔も知らない人だったぞ。

「千里だってストーカー来たことあるじゃない」

「あんなの一蹴りですむ」

 たくましく育ったよ千里。

 湯本さんが嬉しいのか悲しいのかわからないと愚痴こぼしたのは心の秘密にしておくよ。

「何話してんだ」

「文のストーカー来る体質について」

 久星がそれを聞いてゲラゲラ笑う。

 こいつは私のこと女だと思ってないからな。

「少なくてもこのクラスの奴は文と付き合おうとおもわねぇ」

「失礼な」

「だって大月風に言えば残念美人だし」

 むかついた。ちょっとむかついた。

 主にプライドが傷ついた。

「そこまで言うなら、協力して久星。しばらく偽装交際して」

「いいぜ。俺なら小向先輩にも理解してもらいやすいから?」

「それもあるが、あんたならちょっと血が抜けてちょうどいい」

「流血前提だ」

 千里が久星に対して、手を合わせたのは彼は見えない。


「馬鹿じゃないのー」

 檜がぼそりと呟いて久星にお弁当を渡す。

 今日は3人同じ弁当らしい。

「馬鹿ですよ、久星は。前しか見ていませんから」

 ふたを開けた大月がそれに返す。

「何でさ」

「偽装交際は会長ともしていません。それを貴方がするとなると、明らかな嫉妬の炎が見えませんか」

「だね」

 自分で提案しておきながら我ながらひどいと思う。

「ひどいなぁ、本当に俺の愛しい人は」

 お弁当を持って、先輩登場。

 あ、笑ってるけど笑ってない。

「まぁ、久星君に、どうしてもって、会田さんが頼んだなら断るほうがだめだよねぇ」

「こ、小向先輩落ち着いてください」

 お昼ごはんに登場するぐらいご立腹のようだ。

「はい、久星」

 彼と私のお弁当を取り替える。

「え」

「私が作ったから食べてほしいな。今日のそぼろは自信作なんだよ?」

 笑顔でそう彼に伝える。

「きもちわっる」

「ひどいなぁ」

 ああ、でもぶれない久星が偽装交際相手でよかったよ。

 多少鼻のつく演技しても笑ってすますからな。

「あ、でも美味い」

「よかった、失敗したご飯久星君に食べさせたくないもの」

「……女の人って」

 違うな、女の人は恋をすると身を正すだけだよ。


 どこで引っ付けてきたストーカーなのかわからないので、デートを放課後に続ける。

「んで、どうするの」

 二人で自転車をこいでる間に作戦を練る。

「あぶりだしかな。だいたいアクション出すとそのままフェードアウトするか更に押してくるか分かれるの。フェードアウトならそれでいい。押し出してくる奴は排除する」

「予定は?」

「一緒におやつ食べよう。ジャンクフードでいい?」

 駅前で二人で買い食いをする。

 ポテト一つを二人で仲良く食べる。

「……視線がいてぇ」

「姿一つで騙される男が世の中にどれほど多いかわかるね」

 小さく呟いて久星の頬に手をのばす。

「な、なに?」

「ついてるよ。ケチャップ」

 指で軽く彼の頬をなぞって、そのままケチャップのついた指を口にする。

「とれたよ」

「ん、ありがとう」

 穏やかな顔をなるべくしておく。

 人間はリラックスすると表情がゆるむ。

「なんか、バカップルぽいな」

「いやだな、恋人でしょ?」

「ああそうだった、つい」

「やだな久星あんまりいじめないで。恋人じゃないとかちょっと悲しいな」

 演技演技、口元引きつらせるな久星。

 いつもの行動範囲で、その後にゲームセンターへ行く。

 ただしいつもと違うのは、彼と手をつないでいることだ。

「何する?」

 会話はいつもどおりに、微妙に変える行動やしぐさ。

 二人で音ゲーやダーツをして、時間はすぎる。

「そろそろ、帰るか」

「ん。……」

「どうした?」

「あのさ、久星。一緒にプリクラ最後に撮ろうよ」

 恋人とプリクラは押さえておくところだと思うんだ。

 二人で入って、小声で久星が呟いてくる。

「おまえ、馬鹿だろ」

「馬鹿じゃないよ。猫かぶってるだけですよ」

「視線が痛いったらありゃしないぞ」

「自分でもいつも不思議で仕方が無い。いつもならそんなに視線こないのにね」

 大事なのはかもし出すオーラとか雰囲気なのだ。

 千里で二人で遊ぶとナンパが引く手あまたなのはもう慣れた。

 余所余所しい彼をぐいと自分のほうへ引き寄せる。

「ちょ、会田」

「やるからには徹せ」

 久星の胸に体をうずめて笑う。

 目線はカメラのほうへ。

 密着プリクラ。

 分けた後、途中まで送ってもらった。

 さて、明日が楽しみだ。


 来たね、ラブレターその2。

 形式も同じだし、同一人物だと思われる。

『前略 会田文さんへ 好きです。』

 昨日と同じだ。

 ってことは被害が出たのは、あっちか。

「おはよ」

「おはよう、反省した?」

 険しい顔した久星が登校してくる。

「した。ってか複数犯だ。3人に襲われた」

 よく無傷で、タイミングがよかったか。

「ごめん、ありがとうの間違いだ」

 そういって彼の手をとる。

「謎の手助けが入ってな」

「強いでしょう?」

「ああ」

「文、久星おはよう」

 手助けもとい、面白ければ首をつっこむ千里が声をかけてくる。

「どうだった?」

「その前にまず久星の手から手を離したら?」

 無視して次の言葉を待つ。

「逃げられた、強い奴が一人」

 あらら、それは怖い。千里から逃げるやつか。

 頬杖を久星の手でつきながら、愉快な話になりそうな入り口でプランを練る。

 どうやったら自分と周りが傷つかないように遊べるか。

 デートの時ともいつもの時とも違う笑顔を浮かべる瞬間が今だ。

 

ストーカーさんいらっしゃい

今回のパートナーは久星のようです

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