脳筋は3歩歩いたら忘れる
跳んでいったガライの着地と発見。ドローン飛ばしたら、こんな感じなんだろうか。
PV35000、ユニーク7100超えました。
お越し下さり有り難うございます。
ジャガルドがお礼に蒲焼きを作ってくれそうです。(なお、何の肉かは明言していない)
ふかふかの土は、上空からの衝撃を見事に受け止めた。
ぼふんぼふんと続けて二回上がった土埃。地上で出迎えた3人はそれをパタパタと手で扇ぎ払う。
幼子の魔法は、おにいさんの言った通り行使された。自分の腰くらい(本人曰く『アニキ足の半分』。新しい単位が出来ていた)までの深さで地面を柔らかくしていた。
そこに落ちてきた筋肉ダルマ。
地面が柔らかいと思っていなかったガライは、まず足をふくらはぎ辺りまで土に埋めた。
……埋まったのである。
1回目のぼふんだ。
それに驚いたムキムキは態勢を崩した。
両足を拘束され、バランスを崩した者がどうなるか。
2回目のぼふんの正体である。
現在、体をへの字に曲げ頭から柔らかい土にヘッドバットを食らわしたまま固まっている。その背中からは困惑した気配がビシビシ伝わってくる。
やがて、黙ったまま持っていた何かを側に置き、腕に力を込め、ずぼっと地面から顔を引き抜く。
「たっだいまー。すっごいの見つけた! あと、これ、お土産!」
珍しい出来事に反応できず真顔で一部始終を見ていた従者たちに放った、まだ地面に埋もれているガライのわざとらしい一言目がこれだった。
さっき引き抜いた所は柔らかい土だったため、ガライの型がくっきりと残っている。
それを見て言う事を思い出したのだろう。ジャガルドが彼に詰め寄った。
「ただいま、じゃねぇ! 急に行動するな!団体行動の基本中の基本だろうがっ! 今度やったら全身埋めるぞっ!!」
勢い良く埋まったため、ふかふかの土からなかなか足が抜けない筋肉ダルマに、さっきから我慢していた小言をぶちまける護衛。
一部カタギではなさそうな恐喝が混ざっているような気がする。
騎兵団団長譲りのやや強面から出るそれは、慣れない者だと知り合いでも震え上がるだろう。
そんな幼馴染みの小言に対して、笑いながら「ごめんごめん」と全く反省していない声色で謝る男、ガライ。慣れである。
足の片方をようやく引き抜いて地上へと着地させる。
……水で穴が掘れない訳ではないが、自分の手で掘った方が早そうだ。そこに水を混ぜた土を入れて水分を抜けば……。
ジャガルドはその幼馴染みの男の態度を見ながら埋めるための算段を心にメモっておいた。
実現するかは、相手次第である。
『また不穏な事を考えてますわね』と、その横にいたキャロラインは、それを察知して苦笑する。
この幼馴染みとも、それなりに長い付き合いだ。何となく考えている事が判る。
きっと先程言った事の実現方法を考えているのだろう。
ただ、自分が判るという事は、ガライも察しているという事なのだが。
きっと彼を嵌めるのは厳しい。
まあ、今回、ガライが土に埋まった直接の原因は、スプリングルの上でキョトンとしているウサミミフードなのだけれど。
こうして埋まる事は、今後ラジーが協力したとしても無さそうである。
おあいにく様と心の中で十字を切りながら、原因の男を眺める。
と、いうよりはその手元を。
「アニキ、とりさん?」
キャロラインが口を開く前に、スプリングルに跨がった子供がムキムキに尋ねた。
その通り、ガライの手には先程頭を抜く際に横に置いていた鳥らしきものが3つ握られている。
「うん。上で襲ってきたから返り討ちにしたんだ」
ガライは何て事ないように言っているが、滞空中に襲われるという事は動きが制限され、いい的にされるはずだ。
それを返り討ち。
流石、動きがおかしいと評判のムキムキ。
「恐らく、フレスタータでしょう。中型の鳥型の魔物で獲物を見つけると一直線に向かっていく性質がある、と本に書いてありましたわ」
びろーんと羽根を広げられたそれに、感想はともかく、令嬢は知りたいであろう情報を先に伝える。
「確かに森から飛び出たら、こっちに脇目も振らず来てたな。刺さるかと思った」
「無茶しないで下さいまし、ガライ」
ただ、先に情報を開示したが、心配していないとは言っていない。キャロラインはその心内を空気の塊と共に吐き出す。
全くだ、とその横で頷いているジャガルド。主の自由を阻害するつもりはないから、余計に護衛は大変である。
「で、どうすんだ、それ」
「丸焼き?」
「食べられるのですか?」
ジャガルドの問いに首を傾げつつ即答する筋肉ダルマ。それにキャロラインが当然の疑問をぶつける。
毒とかあったら洒落にならない。
「ラジー、たべたことある、かも?」
大人3人の会話に、ウサミミをピョコリと動かしながらラジーが口を挟み、うーんと思い出そうとする。
「おとうさん、よくもってかえってきてた、と思う」
森に溶け込む緑の体躯、羽の先だけが黒い。そんな特徴ある鳥を幼子は何とか覚えていたらしい。
「食べれるんなら血抜きしなきゃ!」
その情報で嬉しそうに声を上げたのは、やはりガライだった。
襲撃者であろうが、美味しく食べられるのなら有効活用したい、といったところか。
「……で、さっき言っていた『すっごいの』とは何なのですか?」
フレスタータを木にぶら下げ、その下に穴を掘り、血抜きをしている傍ら、キャロラインは主のもう一つ言っていた言葉を掘り返した。
地上に帰ってきたガライが確かに言っていた。
「すっごいの見つけた!」と。
それに思い出したように、あぁ!と声を上げるムキムキ。鳥にかまけて、伝えるのを忘れるところだった。
「そうそう!この先に、すっごい裂け目があったんだ!」
「裂け目、ですか」
キャロラインがメガネを光らせ、ジャガルドが振り返る。
「多分、距離的には時間ギリギリ。巨大なドラゴンが引っ掻いたみたいな裂け目、というより渓谷っていうのかな?が、森の中にぽっかりと存在する」
緑の森の中、そこだけが岩肌を日に曝し、立ち入りを阻むように異様であった。
「何か……、いや、これはいいや」
何かを追加で告げようとしたガライだったが、すぐに取り止めた。
「何です、ここまで来たら言っておきなさい」
令嬢が促すが、彼は首を振った。
「間違っていたら怒られそうだからなぁ」
誰に、とは言わない。しかし彼に怒れる人物など限られている。
それに気付いた彼女は、その東の方を向いた。
「では、行ってみますか?そちらに」
「だから、そっちは南南西だ。こっちだっつーの」
体の向きをジャガルドに変えられる。
方角については、いつも格好のつかないご令嬢である。
「うん、行く。多分、行かなきゃいけない。……あ」
そんな幼馴染み2人を見ながら彼はこくりと頷き、何かに気付いたように背後を見やる。
「でも、鳥の羽も毟っときたい」
そして主もマイペースなのであった。
フレスタータの下処理がきっちり終わってから、彼らは再び移動を始めた。キャロラインの常に携帯している磁石を目印にして。
……お察しであろうが、この磁石は常に『携帯』はされているが、彼女に活用された事のない可哀想なアイテムである。
可哀想がすぎて、こうして度々幼馴染みの男2人に強奪され利用されている。
それを興味津々で覗き込むウサミミフード。
水に浮くようにされた石がゆっくりと動く様は、何だか見ているだけで楽しい。
どうしてそうなるか説明されても、まだよく判らない。何なら、この石の先から魔法が出てて、ぐるぐる回っているんだと思っている。
そんなラジーをだっこしていたガライが「うん?」と声を上げた。
「どうした?」
指標があれば方角を間違える事が無い令嬢に磁石を任せているジャガルドが聞いた。
「いや、何か来そうな気がする」
マルゴールの民であるラジーの危機回避能力は凄いの一言に尽きる。魔物蔓延る森の中で、どうしても回避できない数度しか魔物に出会わない程度には。
そんな中でのガライの言葉。
ジャガルドは警戒レベルを引き上げ、周りに集中した。
ラジーの反応は無いが、幼馴染みの勘の良さは折り紙付きだ。恐らく、すぐに接敵する事になるだろう。
でも、どこから来る……?
「した」
中途半端に終わっています。
申し訳無いです。
切りのいいところまでって思っていたら、5000文字超えても終らなさそうだったので。
ジャガルド、気持ち判るわぁ……とか、磁石さん、出番あってよかったね(ほろり)とか思った方は、ブックマークや評価、いいね!をポチッとお願いします。




