情熱の赤! ただし、刺激物の場合あり
な、何かあっという間にPV6000超えた……だと……!
ユニークも1800!?
有り難う御座います!
ネタを切らさないように頑張ります。
ついでにラジーが凄くリアルなお城の氷像作ってくれそうです。
雑貨屋を出ていこうとするキャロライン。彼女は迷子になってしまうのか……!
そして令嬢がドアノブに手を伸ばす……と同時にドアが開いた。
「いやぁ、遅くなってすまん。……お、キャロ、出迎えか?」
カラコロと鳴るドアベルと共に入ってきたのは待ち人だった。
後ろから入ってきたジャガルドが店内を見て肩を竦める。おおよその彼女の行動の予測がついているのだろう。
「ガライ!待ちくたびれましたわ!」
不服を訴えるように腰に手をあてたキャロラインが言うと、笑いながら「ごめんって。登録に時間がかかって」と手に持っていた紙袋から何かを摘まみ出し、そのまま彼女の口に入れる。
「小腹が空いたから買い食いしてた」
その様子を見ながら口をモゴモゴしているキャロライン。
その間にランツ少年に「食べ差しだけど、お礼」と言ってその袋を渡している。
ガライもまた令嬢がしようとしていた事を判っていたから。そして、それを止めようとしてくれた少年の事も。
「まんまるカステーリャですわね」と食べ終わった後に令嬢は言った。
袋の中身を見てみると確かに焼きたてホカホカの丸い茶色が半分以上入っていた。
甘い匂いが袋の口から漂ってくる。
「いいのあったか?」
「愚問ではありませんか」
「そりゃそうか」
ガライの問いにキャロラインが当然のように返すと、彼は1つ頷いた。
こういう時の彼女の判断を信じているらしい。
そこでようやく、やり取りを見ていたパティに向き直る。
「パティ、さっきも会ったけど数日ぶり」
「先程は失礼しました。ええっと……、ガライさんって呼んでも?」
「お好きなように」
その後ろで「ギルド証はガラムってなっているんだぜ」「何ですか、それは。聞きたい」という会話があった。
何それ、聞きたい。
「三つ目熊の爪、まだギルドに出していないんだってな」
そんな会話も気にせず、ガライは先程ギルドで聞いた話をする。
「実は、見せてほしいっていう人が多くて」
そうしてスッと窓際の棚を指差す少女。
「それに商品と一緒に置いていると、客の入りが多くなるので」
「なるほど、商売上手だな」
別にあげた爪がどういう扱いを受けようが問題ないガライは感心したような声を上げた。
何か目玉があれば客の入りも違うのだろう。
逆にキャロラインにそこを突かれた、ともいう。
「そんな商売上手に1つ欲しい物があるんだけど」
ガライはそれ以上の熊の話は避け、別の用件に話を移す。
三つ目熊はパティにとって、たった数日前に命を狙われた相手だ。平気そうに見えても、あまり好ましい話題ではないだろう。
「実はさ、ギルドカードって穴開けて紐通すのダメって言われちゃって。何かいい入れ物、ない?」
そう言って差し出したギルド証には『ガラム』と記されていた。
……偽名じゃなくてニックネーム的なものと思えばいいんじゃないかしら。パティはそう折り合いを付けた。
「そうだったら、そっちの棚にあるカードケースは如何でしょうか。魔物の素材で作られた物もありますよ」
その言葉に新人冒険者はその棚を見た。
そういう要望が割りと挙がるものなのか、色、形、首から提げるもの、ベルトに付けられるもの、様々な形態のケースが用意されていた。
……ただ、職人が凝り性なだけなのかもしれないが。
「じゃ、パティが選んで。サービスサービス」
ニッコリ笑ってガライは店の娘に、ある意味丸投げした。
「あ、はい。いいですけど」
虚を突かれたが、そう答え、パティは改めて目の前の前王弟殿下を見た。
見上げる程の高さにある赤銅色の髪は遠くからでも結構目立つ。
その下にある黄金色の目は髪色とのコントラストによって目立たなくなるはずが、1度目が合えば離せなくなるような印象だ。
そして全身を被う筋肉の鎧。固いイメージなのに仕草は柔らかさを含んでいて。
そういえば、あの胸で大号泣したんだっけ。
芋蔓式にそう思い出してしまい、パティの顔がボンッと音を立てるかのように赤くなった。
見ず知らずの男の人に何て事を……! しかも王族だし!!
そういえば、汗臭くなかったなぁ、むしろいい匂いしたし、と更に思考が混線していくパティの顔をガライがひょいっと覗く。
「ん?どうした? やっぱり選べない?」
「ひゃあ!」
思わず声を上げた少女に、後ろで話をしていた面々がこちらを振り返る。そして、約2名がその状態を見て「あぁー」と言いたげな顔をして同じ動作で幼馴染みを一瞥した。
「またやっていますわ」
「慣れだろ、あんなもん」
呆れたようにコメント。
慣れる程、遭遇したくないのですが……!と少女は思った。
「いえ、選んできます!」
そう言い残し、パティは棚へと逃げた。
「何なんだよ、それ。いつも言ってるけどさ、俺、普通にしてるじゃん」
幼馴染み2人のコメントに言い返すガライ。
「普通の動作なんだけど、コンボが凶悪って感じ?」
「それだ!」
それを傍観していた少年が感想を述べると、思わず2人は納得した。
すごく、納得した。
「えぇー……」と話題の本人は肩を落とす。そんなの注意のしようが無い。
「あの!これはどうでしょうか!?」
何か、やけに気合いの入った声と共にパティが帰ってきた。その手に持ってきたのは、赤い皮のパスケース。
「それはサラマンダーの皮で作られた物です。その色は染色ではなく天然物の色で、丈夫ですし、火属性にも耐性があります」
そう商品の説明をしたのは、今まで成り行きを見守っていた店主だった。
娘がどんな商品を選ぶか気になっていたようだ。
「ええっと、お守りにもなりますし!」
前王弟の噂を調べたのだろう。
その過程で魔法が使えないという事を知ったはずだ。
その事実をとっくに受け入れているガライは気にしていないが、パティはどうにかしたいと思ったのかもしれない。
「いいんじゃねぇ? 待望の赤だぞ」
それに半笑いで言ったのは、ギルドでの発言を聞いていたジャガルドだった。
「でもサラマンダーの皮なんて高いのでは?」
キャロラインはその価値を頭から引っ張り出した。
確か、火山地帯に生息するトカゲのような魔物で、自身も火を纏っていると聞いた事がある。
それを討伐しようとすると手間も費用もかかるはずだ。
その皮はそれこそ、大棚の鍛冶屋とか王宮の厨房などに行かないと見られないような高級品。
「こちらは別の物を作った際に出た端切れで作っておりますので、素材の割りに価格が抑えられています」
店主がそう伝える声に畏れのようなものが混じっている。……この令嬢はどんな価格交渉をしたのであろうか。
伝えられた金額は普通のカバンが買えそうな数字であったが、買えない訳ではない価格だった。
「よし、買いです」
それにキャロラインが脊髄反射のように言い、
「うん、選んでもらったしな」
とガライが品物を受け取る。
彼は幼馴染みが値段だけで判断したのではない事を知っている。
パティが言った通り、お守りという意味合いが強い。
王族というのは用心し過ぎても、し過ぎる事はないと彼らは身を持って学んだ。だからこそだろう。
料金より少し多めの金額を店主の娘に渡す。
「ありがとうございます!」
パティは勢いよく頭を下げた。
「いや、良い買い物だと思ったから。本当に」
その勢いよく下げられた頭がいい位置にあったのか撫でたガライを、後ろから呆れた目線が貫く。
その主はもちろん、ほらぁ、またぁ……、と言いたげな2人。
そんな3人に軽く咳払いをして、室内にいる最年長が声をかける。
「ガライ殿、そろそろ行きませんと、チヤが帰ってしまいますよ」
その言葉に、結構時間が経っていた事を思い出した面々。
そういえばランツ少年にあげた、まんまるカステーリャが、すでに食べ終えられて袋だけ彼によって弄ばれている。
「チヤも良い買い物出来たかな?」
「彼女の事です。むしろ無かったらハシゴでも怒鳴り込みでもするでしょう」
怒鳴り込みをするのか、とステンは思った。
チヤの料理への情熱を見ていると、それもあるか、と納得する。
実際には怒鳴り込みなどしない。
あくまでもイメージ、である。
「じゃあ、行こう。長々とお邪魔しました。パティ、また来るな」
「オレもまた来るから」
ガライが辞意を示すと、扉から出ようとしたランツ少年も同じ様に言いながら手を振る。
そして何の憂いもないといったように彼らはあっさりと出ていった。前回の撤収の時のように。
店主のバンズは、嵐が去った後で力尽きたかのようにポツリと呟いた。
「また、来るのか……」
「チヤ!いいもの買えた?」
「ガライ、遅いから心配したよ。キャロも良い買い物が出来たみたいだね。あたしの方はソイソイ豆があったから買ってきたよ。後はこれさ」
「何、これ。茶色いペースト?タギネーマのじゃ無さそう?」
「これはソイソイ豆を発酵させたミルソーさ。これも体にいいんだよ」
「へー」
ガライは サラマンダーのパスケース を
そうびした。
松露焼きってやたら並んでいる店あるよね、とか、バンズさん、お疲れ様です……、と思った方は、ブックマークや評価、いいね!をポチッとお願いします。




