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第44話:人喰いのサンドボア襲来

 ザッバァァァァアァァァアァ………………ン!!!!!


「うぉあっ……! さ、砂漠が揺れてるっ…………! な、何これ……?」

「サンドボアです。地面の僅かな揺れを検知して、私たちの存在を嗅ぎつけてきたのでしょう」


 ドドドドドドドドドドド…………!!!!

 ドドドドドドドドドドドドド………………!!!!!

 ドドドドドドドドドドドドドドドドド……………………!!!!!!!!


 うーん、違うな~~。私の知ってるイノシシじゃないよなー?

 こんな轟音を上げながら大地を揺らして人を殺しにかかるアレじゃないよな~~。



「ぎぃぇぇぇぇあぁぁあぁああぁぁあああぁああぁぁぁぁぁぁぁあぁぁァァァあぁあぁぁぁあああぁぁぁ!!!!!!」

「………………」


 こんな十五メートル大の巨大生物じゃなかったもんなー。

 だって、私が最初に狩ってたイノシシ、全長で二メートルなかったんだよ。

 こんな耳を塞がなきゃ鼓膜が破れるような叫び声を上げるような生物じゃなかったような気もするけどなー。


「ねえ、ルーミル。サンドボアってどこにいるのかなー? ちょっと目の前にいる大型モンスターのせいで、全然見えないやー」

「うふふ、何を言っているんですかリヌリラ。この世に『もんすたー』なんていう空想生物がいるわけないじゃないですか。もう、いい年してお茶目さんなんですから♪」


 ……そうきたかぁ。

 私って、実はお茶目さんなのかぁ。

 目の前に、絵本に書かれたような空想生物がいるっていうのに、お茶目なルーミルが、事の事態を重く見ないパターンかぁ……。


「ああ、リヌリラ。一つ注意なのですが……」

「……ん、なぁに?」

「サンドボアですが、好物は人間の腕です。特に利き腕の筋肉が引き締まって美味しいらしく、人を見つけたら、まず味見として腕を食いちぎってきますので注意してくださいね」


 ああ、どうりで私の右腕の付近をクンクンと入念に嗅いできているわけかぁ。

 吟味するなんて、まるで人間のようなこだわりを持っているのだね。


「……ねえ、ルーミル」

「はい、何でしょう?」

「私ね、さっきヤキュを倒したときに使った、抗強烈草を、鞄の中に余らせているんだ」

「たくさんありましたからねぇ」

「それでね、これを循環ポケットの中に入れてね、ほんの数秒待つんですよ」

「自然の素材は循環時間が短くて良いですね」


 ガルルルルルルルルル……

 ガウゥ…………!!!!


「そんでもって、私の目の前にいるサンドボアの下の前歯目がけてフィンガーガンを発射するんですわ」

「はい、エイムが苦手でも頑張るんですね」

「一生懸命頑張るんです」


 ガァァァァァァァァァァァ……………………


「するとね……虫歯になっている黒い部分に消毒の効果が現れてね……」

「……………………」

「……リヌリラ」

「…………分かってる」


「ぎぃぇぇあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「ほうら、虫歯が治療されていく。さっきくっさい口臭を我慢しながら口の中を見つめていたけど、こいつ、全然歯磨きしていないね」

「それは知りませんでした。サンドボアは意外とがさつな性格なのですね」


 超循環の素材を虫歯の部位に当てた影響で、大暴れしているサンドボア。

 歯のばい菌を治療しようと、抗強烈草が神経までくまなく刺激を与え、強烈な苦痛をサンドボアが受け続けている状況。

 私とルーミルはその結果を予測して、弾丸を発射したと同時に旅路花とらべるふらわーを使って大ジャンプし、上空三十メートル程の地点へと退避する。


 ドォォォォォン…………!!

 ズガァァァァァァァン!!!

 ドゴォォォォォォン!!!!!!!


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