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俺はしばらく睨み合っていたが、脳裏に不安が過った……このままここで時間をかけて、街から新たな商人団が来たら目撃されてしまう……
俺は走り、冒険者は剣を振り上げた。
「ハハハ!どっ!せーい!」
冒険者は剣を振り下ろし、俺はそれを受け流す。
受け流された剣は地面を軽々割ってしまう。
「ほう?中々どうして……やるじゃないか!」
「ガインッ……ミシ……」
冒険者の剣を両手斧で受けたが、嫌な音だ……そんなに長くは持たないな……
二度、三度と打ち合うが、お互い決定打は決められない。
打ち込んだ感じは同程度のレベルの様だ……たが、獲物の違いで劣勢を強いられる。
「フンッ!」
「ガインッ!」
冒険者の振り下ろす、強烈な一撃が斧のはを叩き割った。
「ウォォォォォ!リャア!」
冒険者は剣を即座に横振りし、それを剣で受けた俺は後方に飛ばされた。
「くっ!」
「ガハハハ!所詮は賊よ!我が剣に見合うだけの武器を持てるわけもない!どうした?その曲がった剣で勝てるというのか?」
「フンッ!」
俺は衝撃で破損した剣を投げ捨て、片手斧を構えた。
「ほほぉ?……まだやる気か、未熟だな!」
冒険者は走り、俺は待ち構える。
……冒険者は半分勝ちを確信した様だが、甘い……
「武器がどうの言ってたが……それはどうかな?」
「フンッ!そんな手斧で!我を倒せるか!」
冒険者は俺の挑発に乗り、血走っている……周りがよく見えていない様だな……
「ピィー!」
「なっ!ガキガキガキン!」
俺の合図で左右のゴブリン達が手斧を冒険者に力一杯投げつけ、冒険者はその大きな剣で対応に追われている。
左右に意識が散漫した冒険者の隙をついて投擲するのは容易いことだ!
「俺の武器は剣や斧じゃない!……」
俺は大きく振りかぶり、力一杯踏み込む。
「ちょっ!まっ!」
「バカンッ!」
俺の斧が冒険者の頭を叩き割り、余った勢いで後方にあった馬車を揺らす。
「俺の武器はゴブリン達だ!……まぁ理想を言えば、今のワンマンの気を取り除きたいがな……」
俺は冒険者の亡骸に捨て台詞を吐いてゴブリンに指示をする。
「よぉし!一班、ニ班、三班は馬車を持ち上げ、森の中へ一時移動しろ!四班は死体の回収!五班は引き続き、周囲の警戒を怠るな!」
ゴブリン達はせわしなく作業を続け、5分程で大体片付いた……
「ピピー!」
見張りのゴブリンからの合図だ……もう次の商人が来たか……
「よし!撤収!」
俺は手で合図し、ゴブリンを引き連れてダンジョンに戻った。
「よし!お前ら、今日は良くやったな!肉はタップリとあるぞ!」
馬肉をゴブリン達に振る舞う……
商人達は当然水や食料も積んでいた……これで3日は持つだろう……
「コア!5名やられたから補充だ!」
『わかった……だが、私の中で殺してもらわないと困るぞ?』
「わかってる……だが今回は生け捕りにして連れてくる余裕はなかった……辛抱してくれ」
人とゴブリンの死体はダンジョン内に埋めさせた……ゴブリン達に人間の味を覚えさせると不必要に食い気が出ると思ったからだ。
共喰いや食人は最終手段だ……
今回みたいな護衛が付いていることは稀だ……明日からは毎日、盗賊稼業に勤しむぞ……
俺はその日から2日に1回……時には1日2回……商人を襲い続けた。
ーーーーー30日後
襲った商人は全て情報通り、護衛を雇っていなかった為、ゴブリン達の被害もなく食糧は50日分は備蓄出来た。
商人などを時折、拉致してゴブリンに殺させていた為、ゴブリン達は上は40.下は20まで成長していた。
リーダーゴブリン(lv40)で【20人チーム】が【10班】出来上がっている。
ダンジョン内は小綺麗に掃除し、
生きた馬を殺して食べるだけでは勿体無いので、移動手段として馬舎を作らせた。
『いくのか?』
「ああ!多少拡張したとは言え、戦利品でダンジョンが手狭だからな……一度売りに行かんとな……」
馬舎から一頭選び、サイドバックを付けて、大量の戦利品を積む……
「よし、お前らに留守は任すぞ?」
「ゴブッ!」
ゴブリン達はダンジョンの扉を押し開いていく。
冒険者から奪った剣を背負って、俺は馬に跨り、再び街へ向かった。




