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気が付くと俺はダンジョンの広場で光る玉の前に立たされていた。
「何が起こったんだ?」
『私が復活させたのだ』
俺の前にある光る玉が喋り出す。
「はぁ?あんた誰だよ」
『私は……そうだなぁ、お前にとっては神だ』
何を言っているのかさっぱりわからないが、生き返らせてくれたのは正直ありがたかった。
「まぁいいや、で?あんたは誰だ?」
『私はゴブリンダンジョン……お前が毎日侵入して荒らされていたダンジョンのコアだ』
たしかに親分の話でもコアの事は聴いていたが……
俺が黙っているとコアは続けて言った。
『毎日毎日、お前はよく私を荒らしてくれたな?』
「ああ、悪かったな」
『お陰でDPが枯渇して困っていたんだ……まぁそれは良い、結果的にはお前を手に入れることが出来たんだからな……お前は私の一部になったのだ』
「はぁ……」
『こう言えば良いか?……私のDPで復活したお前は私と運命を共にする事になった、私が破壊されればお前も消滅する』
「それはそれは……で?目的は何だ?」
『私の使命は、私自身を強くする事……それ以外には無い』
へぇ……それは面白いなぁ……てか、こいつが死んだら終わりなら俺の目標にもなるな……
『長い付き合いだ……お前にはわかってると思うが、残念ながら私は非力だ』
確かに……こいつはゴブリンを召喚してだだけだった……
「あっ!でもさぁ、地震起こしてたじゃん?」
『あれは偶然だ……地震が起きて脆かった私が少し壊れ……お前が丁度下にいた……それだけだ』
「ふぅーん……」
まぁこうなったのも何かの縁だ……俺はダンジョンのモンスターらしく、コアを育てる事に注力しよう。
「今出来る事を整理しよう」
『そうだな、まず……』
コアにできる事を確認した……
ダンジョンにはDPと言うものがあり、それを使って増築や減築、そしてモンスターの配置を行う……それが基本らしい。
コアの消滅の条件はダンジョンにモンスターが居ない状態がある程度続くかコアを破壊される事だ。
DPはダンジョン内で侵入者を殺すか、時間で収集するらしい。
現状は1日50DPの収入がある。
産めるモンスターはゴブリンのみ……
1DPでlv1のゴブリンを一匹産むことが出来るらしいが、今の貯蓄は0DP……使い切ってしまっている。
「おかしく無いか?10匹程度しかゴブリンは沸いてなかったぞ?」
『ダンジョンを拡張したのもあるが、ゴブリン達は知能が低い……生産した途端、リーダーを決める為に共喰いを始めてしまう……その分、lv8程度には成長するがな……それに、お前で入手したDPと貯蓄していた分はお前に全て使ってしまった』
「そうなのか……」
50匹産んでも、すぐに喧嘩して数を減らしてしまうらしい……確かに連携している所は殆ど見た事が無い……何て使いづらい種族なんだ……
「大体わかった……作戦を考えるから今日は帰る……俺が死んでからどれくらいだ?」
『1時間程度だな』
俺は広場に突然空いた通路から落石のあった部屋へと戻った。
ゴブリン達の魔石を拾い、アジトへ戻る。
「おう!バッドボーイ!帰ったか!」
俺は何時ものように魔石を親分に渡して食事をとった。
盗賊達は何時ものように宴を開いて馬鹿騒ぎしている。
……ダンジョン内で殺すと手に入る……か……
「ギャハハ!飲め飲め!バッドボーイ」
「おう!……」
俺はグビッと酒を飲む。