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馬を門に併設された馬舎に預けて商店街を歩く。

露店には武器や防具が飾られている……ゴブリン達のレベルアップに伴い、粗悪品な武器では段々と誤魔化しが効かなくなって来ている……細かくヒビが入った武器ではゴブリン達の力に耐えられない……アレでは冒険者や傭兵などを雇った商人を襲うには不十分だろう……


通りの露店の商品を手に取り、刃先を確認する。

「おっ!兄さん!安くするよ!」

……どれも四流品以下だ……細かい傷が走っており、これではいつ折れても不思議ではない……せめて力一杯攻撃しても安心できる三流品は手に入れたいが……


「ダメだな……」

「なんでぇ!冷やかしか!」


……しかし数百揃えるとなると、それ相応の資金が必要だ……


特に防具に関してはさすがにゴブリンサイズは普通作っていない…必然的にオーダーメイドになるだろう……


残念ながら俺には武器を長く持たせる為の知識しかない……とても鍛冶屋の代わりになどは……


俺はいつもの不良商人の店に入った。

「ヒヒヒ……毎度!」

「よろしく頼む!」

商人はテーブルの貴金属を鑑定していた。


「そういや旦那、幅広くやってるみたいですねぇ……何時もより用心した方が良いですぜ?」

「む?」

「嫌ね、西の門から出た商人の行方不明の件数が多いって噂になってまさぁ……」

「そうなのか?」

「ええ、手口も普通の盗賊と違い、神隠しの様に全てが無くなるそうなんで……衛兵も困り果ててる様ですが、その異様さに危険視してる様ですぜ……ヒヒヒ……」

……これは、そろそろ潮時という事か?


「西門の向こうと取引のある商人達も……供託金で専属のボディガードを雇う思案をしてまさぁ……これまでの様に護衛の居ない商人の情報は減るかもしれやせん」


「それはどの程度の護衛なんだ?」

「今は80前後のパーティーを5チームほど雇うつもりみたいですねぇ」


「そうか……これからは護衛を雇ってる商人の情報も頼む……」

「ヒヒヒ……忙しくなりそうですねぇ!」

恐らくこの商人達を襲い続ければ、国の兵士達は本腰を入れて賊を討伐しようとするだろうな……引き際が肝心だ……


「そうだな」

「ヒヒヒ……今回は稼ぎましたねぇ245万ゴールドになります」

「おう!」

俺は商人から金を受け取る。


「今回武器はどうしやす?……ヒヒヒ」

「その件だが、良い鍛冶屋を知らんか?金さえもらえれば売る相手は悪人でもなんでも良いという人種のな……」

「そうですねぇ……心当たりがないわけじゃないですがね、その鍛冶屋が欲しいのは金じゃないんでさぁ」

「なに?」

「良質な鉄をぶっ叩きたい!ってドワーフなんですがねぇ……それだけなんで、商人達に食い物にされて破産でさぁ……それでも借金地獄に落ちてまで鉄を買い漁ってるんですから……狂ってますよ……ヒヒヒ!」


「借金地獄か……腕が悪いのか?」

「いいえ……悪いのは頭でさぁ……ヒヒヒ」


商人は一本の剣を俺に手渡した。

確認するとその剣にヒビはなく……鍛冶屋でない俺の目にも美しく感じられた。

「これが作品か?」

「完成度は一級品ですぜ……でもこれを買い手の言い値で売っちまうんですからねぇ……ヒヒヒ!」

「アホだな……」

「ですねぇ……完成した作品に興味はないらしいですぜ……」

「よし、会ってみよう」

俺はカウンターに10万ゴールドを置いた。


「そいつはスラム街東区のビアトールって名前の奴でさぁ」

「わかった……」


今のダンジョンにはピッタリの条件だ……

俺はビアトールを尋ねてみる事にした。

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