41話 激突!蘭忌妃vs恋助
あ、そういえば、ここからが完全なる初公開ゾーンですね。
みなさんお楽しみください!
宮地家の前に、二人の少年が同時にたどり着いた。
ちょうどインターホンに手を伸ばそうとした瞬間。
「あ。」
「あ。」
二人の声が重なる。
蘭忌妃と恋助は、お互いの顔を見た。
もちろん、これが初対面だった。
「俺が先だ!」
蘭忌妃は勢いよくインターホンを連打する。
ピンポンピンポンピンポン――。
「残念でしたー!」
恋助が勝ち誇ったように笑う。
「俺は無許可で入りまーす!」
そう言うなり、勝手に玄関の扉を開けた。
「全くお前は、なんでいつもいつも勝手に入ってくるかな。」
呆れた声とともに現れたのは俊音だった。
「勝手じゃねーよ!」
恋助は胸を張る。
「なんかこいつより先に家に入りたかったからよ!」
そう言って蘭忌妃を指差した。
「理由になってないんだよなぁ……。」
俊音がため息をつく。
だが、その視線は蘭忌妃へ向いた。
「あれ、蘭忌妃じゃん。」
「よーっす! 琉妃はいるか?」
すると奥から顔を出した琉妃が苦笑する。
「いるいる。相変わらず声でかいね。」
「お?」
恋助が首を傾げた。
「何だ? お前もこいつらと知り合いか?」
「知り合いも何も大親友だっての。」
蘭忌妃は得意げに親指で自分を指した。
「は?」
恋助の眉が跳ね上がる。
「俺の方が親友だし! な!」
「な! って言われても。」
俊音が即答した。
「俺の方が親友だよな!」
蘭忌妃も負けじと琉妃へ向く。
「な! って言われても。」
琉妃も同じ反応だった。
「あれー?」
蘭忌妃が肩を落とす。
「俺のこともスルー?」
「ってかお前。」
恋助がじっと蘭忌妃を見る。
「今、俺のこと馬鹿って言ったよな?」
「あ、言ったが……。」
蘭忌妃が素直に認める。
すると恋助の口元がなぜか緩んだ。
「……いや、何で少し嬉しそうなの。」
「分かってないなぁ。」
恋助は得意げに言う。
「馬鹿ってのは最高の褒め言葉なんだぜい。」
「そうなの?」
「いや、知らんが。」
俊音が即座に否定した。
その時だった。
ガチャリ。
再び玄関の扉が開く。
「お、馬鹿四人が集まってんじゃねーか。」
我竜が当然のように家へ入ってきた。
「何でどいつもこいつもチャイム鳴らさんかなぁ……。」
俊音のツッコミはもう半分諦めの境地だった。
「それで、我竜は何しに来たの?」
琉妃が尋ねる。
「いや、なんか面白えもん見れるかなって思ってな。」
「いいの? 屋敷から抜け出して姫さん一人にして。」
「うちの姫さんはそんなに弱っちくねーよ。」
我竜は鼻を鳴らした。
恋助が我竜を見る。
「なー、こいつは?」
「我竜天聖。俺らの元仲間だ。」
俊音が紹介すると、我竜はニヤリと笑った。
「お前らそんなにいがみ合ってるなら、ちょうどいい。」
「?」
「勝負してみないか?」
「しょーぶ?」
「しょーぶ?」
二人の声がまた綺麗に重なる。
「そう。勝負だ。」
「何の勝負すんだよ。」
蘭忌妃が聞く。
我竜は懐から一組のトランプを取り出した。
「ババ抜きだ。」
沈黙。
「我竜さー。」
俊音が呆れ顔になる。
「そういうところお子ちゃまだよね。」
「は?」
我竜の眉がぴくりと動いた。
「トランプは大人の競技だろうがよ。」
「いや知らねーよ。」
「トランプだろうが何だろうが負けねーよ俺は!」
恋助が拳を握る。
「望むところだ!」
蘭忌妃も応戦した。
再び火花を散らす二人。
「相性良さそうなのにいがみ合ってる。」
琉妃がぽつりと言う。
「馬鹿だなやっぱり。」
俊音が頷いた。
「じゃ、俺が配るから。」
我竜はカードをシャッフルし始める。
「ちゃんと混ぜろよ。」
「イカサマしないでよ。」
「俺をなんだと思ってるんだよ。」
文句を言われながらも、我竜は均等にカードを配った。
「よし。」
全員に配り終える。
「じゃんけんして先攻決めろ。」
「おうよ!」
「おうよ!」
また声が重なった。
「じゃんけんぽん!」
「じゃんけんぽん!」
二人ともグー。
「あいこで……。」
「あいこで……。」
再びグー。
「あいこで……。」
「あいこで……。」
またあいこ。
またあいこ。
またあいこ。
五回。
十回。
十五回。
「やっぱり相性いいじゃん。」
琉妃が呟く。
「馬鹿だなやっぱり。」
俊音が頷く。
「はよ決めろよ。」
我竜は額を押さえた。
しかし二人は止まらない。
「あいこで!」
「あいこで!」
「きりがねー!」
我竜がついに叫んだ。
「俺がコイントスするわ! お前ら裏か表決めろ!」
「あ、それにはじゃんけんだな。」
俊音が何気なく言う。
琉妃がゆっくり振り向いた。
「ねえ俊音くん。」
「ん?」
「なんでじゃんけんやらせたの?」
俊音は満面の笑みだった。
「そりゃ裏か表か決めるためだろ。」
言い終わってから数秒。
俊音の表情が固まる。
「あ。」
真顔になった。
「じゃんけんやらせちゃダメだったわ。」
「だよね。」
琉妃が即答する。
「でもまあ。」
我竜が肩をすくめた。
「コイントスしてもオチは見えてるけどな。」
「?」
「何回投げてもコインが立つ。」
その光景を想像し、全員が少し黙った。
「あー……。」
琉妃が遠い目をする。
「なんかこの二人なら本当にそうなりそう。」
「先攻後攻決めるだけでこんな時間かかるんかよ……。」
俊音が頭を抱えた。
そして何かを思いつく。
「あ!」
全員が顔を上げる。
「じゃあ、じゃんけんで俺に勝ったやつが先攻な!」
「おう!」
「負けねーぜ!」
二人は即座に構えた。
その様子を見ていた琉妃は我竜に小声で言う。
「我竜くん。」
「ん?」
「俺さ。」
琉妃は真顔で続けた。
「この二人、多分勝負事になったら一生決着つかないんだわ。」




