32話 キラワレモノラシカラヌ(雪のキラワレモノ編)
今回で、雪のキラワレモノ編の最終話です!
「ありがとな。空介。」
小さくこぼれたその言葉の直後、静まり返っていた広場に、ガタゴトと不自然な音が響いた。
「やっぱりな。」
振り返ると、そこにはまだ“それ”が立っていた。
「……。」
沈黙のまま佇む敵に、霧雪はゆっくりと歩み寄る。
「あいつは強かっただろう。でもまだ締めが甘かったみたいだ。今度は俺が相手だ。」
わずかに揺れる敵の気配。
「……!」
「お前の正体は分かっている。俺が追い続けているものの、一つの駒だってことをな。」
視線が鋭くなる。
「お前をこの世に解き放したくないからな。とっととここで、シャットダウンしてもらうぜ!」
次の瞬間、敵の放つ光が一直線に霧雪へと襲いかかった。
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――雪の降る日だった。
白く染まる景色の中で、少年たちが戦っている。
「あぁ、あの子らが密かに話題の伝説……だっけ?」
隣から悠尋の声がする。
「どうしたんですか?」
「いや、あの子らが話題の伝説なのかなーって。」
「伝説……なのかはよく分かりませんけどね。でも、日本はあの子供たちが変えていきますよ。」
「君もあの子らの知り合いなのかい?」
「いえ、俺はただの子供ですよ。」
その答えに、霧雪はふっと笑った。
「そうか……俺が嫌われてなければ……もっとあの子らを近くで見たかったんだけどな。」
「見たらいいじゃないですか。あの子供たちはきっと、そうやって人を差別しませんよ。」
ちらりと視線を向け、もう一度笑う。
「そうかもしれないな。だけど世間の目だ。嫌われ者の俺が、今後日本を背負う子供たちのそばにいる。それは世間が許してくれないと思うんだ。」
空を見上げる。
「だから嫌われ者は嫌われ者らしく、遠くから見守っておくとするよ。」
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――現在。
「嫌われ者は嫌われ者らしく、か……。」
ぽつりと呟く。
「最初はそう思ってたんだけどな……。」
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――あの日。
「あの!」
呼び止める声に振り返る。
「げっ……!」
「さっきの見ました!すごく強かったですね!」
「さっきの……?何のことだ?」
「さっきのですよ!あなたが敵を倒して、少女を助け出したの。俺は見ました!」
わずかな沈黙。
「気のせいだ。」
「もしよければ……俺に剣術を教えてくれませんか!?」
「やめてくれ。気のせいなんだ。」
「気のせいではありません!俺……あなたにずっとついていきますから!」
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――現在。
「ほんのひとときだけでも……俺を幸せにしてくれてありがとな。」
静かに、言葉が落ちる。
「空介。」
次の瞬間、光が霧雪を包み込んだ。
その輪郭は、次第に薄れていく。
まるで、最初からそこにいなかったかのように――。
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一方、その頃。
「あ、雪だ。」
帰り道。
空介は足を止め、空を見上げた。
白いものが、静かに舞い降りてくる。
それはどこか、懐かしくて――そして、少しだけ温かかった。
次回 なしゅかフレンズ。




