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LEGEND SPIRIT 〜後に伝説と呼ばれる者たち〜  作者: ゆに


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16話 そわそわなしゅかちゃん

こんにちはゆにです。


そわそわなしゅかちゃんです!

「骨折れたなこりゃ。どうしてくれんの?」


男は珠架しゅかを睨みつける。


「え、でも……ぶつかってきたの、そっちじゃ…。」

「そんなこと知ったこっちゃねーよ!

ほら金!金出せよ!」


珠架しゅかは一瞬、言葉が詰まった。


「お金は……ないです。」

「ふざけんじゃねえ!こっちは骨が折れてんだぞ!」

「ぶつかってきたのはそっちなのに、子供に病院代請求するのおかしいじゃないですか!」


男は一歩詰め寄る。

その状況は、周囲から注目を浴びていた。


「有り金全部よこせばいいの。なぁ、分かる?」

「……っ。」


胸が締め付けられる。


「だめ…。」


小さく呟いた。


せっかく、この日のために貯めてきたお金…。

絶対に渡すわけにはいかないって…。


でもーー


ぽろりと涙が溢れた。


「怖い……。」

「泣きたくないだろ?もっと怖い目にあいたくないだろ?」


男はニヤリと笑った。


「なら簡単だ。金を出せば済む。

それだけなんだよ。」


珠架しゅかは震える手で、封筒に触れた。


「私は……。」


ーー違う。みんななら。

ふっと、顔を上げる。


「……そっか。みんななら。」


封筒をチラリと見せる。


「何ですか?お金が欲しいんですか?」


男の目が光る。


「最初からそう言えよ!」


男が封筒を奪おうとしたその瞬間。

珠架しゅかは一歩下がった。


「あげませんよ。」

「くっそ、てめぇ!」


珠架しゅかか空を指差す


「あ、みてください。あの空。」


男が反射的に見上げると、太陽の光が視界を奪った。


「まっぶ……!」


その隙に、珠架しゅかは走り出した。


(挑発からの騙し……こんなのどこで覚えたんだか…。)


「待てこの!」


背後から足音が迫る。


(速い……でも!)


珠架しゅかはしゃがみ込む。

その瞬間、男を目掛けて石が飛んでいく。


「いてっ…!」

「心配したよ。」


落ち着いた声が聞こえた。

顔を上げると、そこには宮地悠尋みやちゆひろたち6人がいた。


「いつも集合時間より早く来るのに、今日は遅いからさ。」

「何だてめーらっ!!」


男が叫んだ。


「その子の友達。」


俊音しゅんが軽く肩を回す。


「悪いけどおっさんら。時間ないんで、そろそろいいっすか?」

「行かすかよ!」


男が珠架しゅかの腕を掴む。


「ねえ何してるのー?」


琉妃るきが気だるそうに言う。


「大人でしょー?

そんなに子供にムキになっちゃってさ。

そうはなりたくないよね将来。」

「こいつがぶつかってきたんだよ!

骨折れたんだ!」

「でもさっき走ってたじゃん。」


日和ひよりがあっさり言う。


「骨なんて折れてねーんじゃねーの?」

「なっ…この際お前でもいい!金を!」


男が拳を強く握った。


「やる気満々だね。」


琉妃るきが言った。


「さっきの石、痛かった?

次はどこに当てられたい?下の方?」

「やめろやめろ!想像しただけでもいてぇ!」

「兄貴!」

「くっそ……覚えてやがれ!」


男たちは捨て台詞を吐き、逃げていった。


「ふざけてんのはどっちだよ。」


俊音しゅんが鼻で笑う。

珠架しゅかは深く頭を下げた。


「ありがとう……助けてくれて。」

「いいよいいよ。」

「てかさ!」


日和ひよりが笑う。


「見てたけど、結構無茶してたね!

勇気あるじゃん!」

「そりゃあもう…。」


珠架しゅかは少し照れたように笑う。


「みんなを見てきたから。私も戦わないとって…。」

「すごかったよ。」


悠尋ゆひろが優しく言う。


「でも無理はしないこと。

怪我でもしたら大変だからね。」

「うん…ありがとう。」

「そろそろ行こうよ。」

「うん!」


――――――――――


カメラ屋

店内を歩きながら、商品を見渡す。


「んー、どうしようかな…。」

「電気屋ってワクワクするよな!」

「わくわくさん。やっぱり俊音しゅん説ver.2。」

「こらこら、馬鹿2人。静かにしなさい。」

「はーい。」

「俺暴れてない…。」


そんなやり取りをよそに、珠架しゅかはカメラを見つめる。


「んー、ここら辺が限界かな……。」

「それ、動きがある場面は、ブレやすいと思うよ。」


弘明ひろあきが隣に立つ。


「あとボタンの配置も、なしゅかに合っていない。」

「でも……これが限界なんだよね……。」

「こっちきて。」


手招きされる。


「これとかどう?」


珠架しゅかは金額を見て大きく目を見開いた。


「…25万!?むりむり!」


思わず後ずさる。


「そんなお金ないよ…!」

「ーーはい。」


封筒が差し出された。


「え……?」


中を見る。

封筒の中の金額を見て、言葉を失う。


「受け取れないよ、こんなの……!」

「いいんだ。」


弘明ひろあきは穏やかに言う。


「これは俺たちみんなからだよ。」


周りを見ると、全員が笑っていた。


「写真を撮りたいなしゅかと、撮ってもらいたい俺たち。Win-Winでしょ?」

「でも……私のわがままで……。」

「違う。」


悠尋ゆひろが言った。


「俺たちは、なしゅかを大切な仲間だと思ってる。」


弘明ひろあきが続ける。


「それに、もし将来カメラマンになりたいって思った時への投資。

スタートダッシュ、決めたいでしょ?」


珠架しゅかの目が揺れる。


「……いいのかな。」


小さく呟く。


「いいさ。」

「俺たちからの贈り物だ。」


珠架しゅかの目から、また涙が溢れた。

でも今度はーー


「ありがとう……!」


感謝の涙だった。

珠架しゅかは顔を上げる。


「絶対に、みんなの想いに応えてみせる!」

「さぁ、買ってきなよ。」

「うん!」


満面の笑みで、レジへ向かった。


――――――――――


帰り道


「なしゅか、そわそわしすぎ!」

「そわそわなしゅかちゃん。」

「もう!」


家の前で、珠架しゅかが振り返る。


「ねえ!みんなで写真を撮らない?

始まりの一枚!

ここから全部始まる!って感じで!」

「なるほどな。」

「確かにここが1番馴染みあるし。」

「要するに家だし。」

「じゃあ並んで!」


カメラを構える。


「……あれ、なしゅかは?」

「私はいいんだよ。」


少しだけ視線を逸らす。


「ほら琉妃るき君!前向いて!ピース!」

「…。」


小さくピース。


「いくよー!ハイッ、チーズ!」


カシャッ。


珠架しゅかは写真を見て微笑んだ。


(これで…

ちゃんとみんなの横に並べた気がする。)

そわそわなしゅかちゃん。嬉しそうですね。


次回『発明家』

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