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皇子様の独り言
リアがメルジーナを連れて出て行った後。
台風一過のような心持ちで、ジークフリートはソファに腰かけていた。
「あの子……なのだろうか?」
ジークフリートはほぼ確信していた。
なぜなら《彼女》は知っていた。
こちらから言うでもないのに――。
《桟橋》など行ったこともない。
《金髪》など、この国には幾らでもいる。
どちらもあの場にいなければ分からないことだ。
もしも彼女が《メルヒオール少年》だというのなら、話は変わってくる。
「男ならば、小姓に、あるいは家臣に取り立てようと思っていたが……」
女だった。
しかもあの魅惑的な瞳はそのままに。
「手元に置きたくならないわけがないな……」
ふふ、と口端をあげる。
ティモシーはとんだ置き土産を残していってくれたものだ。
目的のためには手段を選ばない、氷の皇子は微笑んで腕を組んだ。
さて、どう動こうか。




