表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人魚姫メルジーナは今世こそ平和に結婚したい  作者: 丹空 舞
第一章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/93

漁師ザシャの朝食


なんだよ、たったこれっぽちか?


……いや、悪かった。

ついイライラしちまってよ。


正直なところ最近どうにも不漁でな。


おい、ハンス、パンをボロボロ零すな。

アンナ、椅子の上に立つんじゃねぇ。

カール、お前今父ちゃんがアンナに言った話聞いてたか?

だめだ。テーブルの上に立つな。 


それにしてもこの酸っぱいパンはどうにかならねぇか?

本当言うとおれは塩とバターのきいた硬いパンが好みなんだ。

何、バターなんか無いって?

無駄口叩いてないでさっさと稼いで来いだ?

お前、言いやがったなこのやろう。


おれだって稼ぎたいのはやまやまだけどな、いくら漁に出たところでもう獲れねぇのさ。

ひと昔前までは海に剣を突き立てたって倒れねぇくれぇ獲れてたってのによう。


時代かねぇ。

何がいけねーのかしらねーが、もうあの大群にはお目にかかれねぇよ。


ん? ……いやあ、消えちまったわけじゃねぇさ。

仲間の漁師が言ってたんだ。

今までの場所じゃない、《もっと遠い海》にはあの大群以上の魚がいるってな。


じゃあ遠洋に出ろ?

サボってんじゃねぇタコ助?

……って誰がタコだ、このやろう。

おれがタコならお前はイカか?


……分かった、分かった。


おい、結婚する前はお前、蚊も殺せませんって顔してたのによう。

あー、分かった、すまん。

分かったからおれのチーズを持っていくのはやめてくれ。


お前な、ニシンがどんな魚か知ってんだろ。


どれだけ獲れたって、足がはやいんだよ。

何? 馬とどっちがはやいか?

ばかだなお前、あしがはやいってのはそういうことじゃ、

やめろおれのチーズを食うんじゃねぇそれはおれの唯一のおかずなんだって、

いやだから腐りやすいってことだよ。

それならそう言え?

……


今までだってギリギリだったんだ。

これ以上遠い距離を運ぶのも、売るのも無理さ。






――誰が腐った魚に金を払うってんだ?







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] え、シュールストレミング作るの? 縁談から更に遠ざかりそうだけどwww
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ