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わたしは過去になりたい/
わたしは過去になりたい
それはきっと愚かなこと
しかし繰り返しではなく
広がり続けるこの乖離感と
囁きをやめない朝夕の帷に
季節の悲鳴が止まない
そうして人波は姿だけを留め
降り積もった時代の地層が
分厚くイミテーションを撒き散らす
身体という入れ物に詰められた何か
この牢獄に囚われた空虚
もう繰り返したくはない記憶
戻ること能わず
進むことに惑う
ありふれた戸惑いは
まるで転生者のそれのように
ff
いっそ憎めたならどれ程簡単だろうか。ただ虚しく過ぎるテールライトの列を見送る。やがてまた今年も終わる。