101.わーいお花畑だぁ!(通りすがりの翼竜視点)
僕の名前は青嵐竜。風を操る翼竜さ。通り名はブルーストーム。って、僕しか使ってない呼び名だけどね。みんな名前には無頓着だし。
ぴっちぴちの2431歳。憧れの桜花竜先輩と戦いたくて、ランキング上げをギリギリまで頑張った。今回なんとか92位で滑り込み。
400年に一度の百竜大戦に初参戦! めっちゃテンション上がるなぁ! って、思ってたんだけど――
開始直前の編隊飛行の中に、先輩いなかったんだよね。しょんぼり。
お祭り大会だから出場辞退しちゃったのかなぁ。
けどけど、ピンクのドラゴンが一番最後に飛び込んできたんだ!
可愛いお嬢さんって感じ。フフフ……この戦いに生き残れるかな?
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第一収縮終わりまで、僕はクールにかっこよく三匹のドラゴンを撃破した。
スピードで敵を翻弄。
隙あらば旋空烈風破。翼から青い竜巻を打ち出し相手を空へと跳ね飛ばす必殺技だ。
打ち上げられた相手は青藍の風の檻に閉じ込められて、身じろぎ一つできずに空を舞う。
最後は竜巻ごと急旋回。地面に叩きつけられてジ・エンド。
どこに水晶片を隠していても、衝撃でパリン! って、寸法なんだよね。
わざわざ相手の弱点を探る必要無いし、僕って天才。やったー! すごーい!
で――
次のバトルフィールドを求めて、僕はピンクの花が咲き乱れる美しい自然の花園の真ん中に赴いた。
フローラルな甘い蜜の香りがする。灰色の廃墟群は埃っぽい。心まで渇ききってしまいそうだ。
花ごとに色んな香りが楽しめる。戦いの真っ最中でも……いや、むしろだからこそ、癒やしは必要だよね。
花園の真ん中に小さな山があった。
とっても綺麗なお花さんたちが、まるで花束みたいに咲き乱れている。
わぁ! とっても綺麗!
どんな香りがするんだろう。近づいていって鼻先を近づけると――
『かかったにゃ! アホめえええええ!』
突然、花の小山が立ち上がって僕の綺麗な顔をぶん殴った。
ちょ! なに! 花の精霊!?
みれば小山じゃなくて、身をかがめていたピンクの……ドラゴンちゃん?
『ちょ、ちょっと待って! なんで全身にお花生えてんの!?』
『チッ……仕留めそこなったか……』
桃竜ちゃんは僕をにらみつける。どうやったのか、全身の鱗を隠すほどのお花がピンクちゃんの全身を覆っていた。
その足下に黒い小さな何かがにょっきり生える。
「ドラミちゃん。もっとぶん殴って」
『うん! まかしてお兄ちゃん!』
僕があっけにとられていると、ピンドラちゃんは向かってきた。
それにしても……お花で飾られてて……可愛いな。
つい見とれちゃった。そしたら二発、三発と顔面を前足で殴打された。
なんでだろう。胸が熱くなる。キュンってしてくる。
可愛い女の子にボコボコに殴られてるのに……どうして!? 僕!? どうなっちゃったの!?
「よくわからんが無抵抗だ。転ばせて上から組み敷いていけ」
『やっちゃうよおおお!』
ピンドラちゃんは僕の胸に抱きついてそのまま押し倒し、馬乗りになった。
こ、興奮する! すごく興奮するよ! 女の子に上から乗られて僕、変態さんになっちゃったかも!
『も、もっと上』
『なんか言った?』
『もっとこう、顔の上にお尻をのっける感じで……お願いできるかい?』
『お兄ちゃんどうしよう!?』
黒くて小さいのが僕の脇にやってきた。人間さん……かな? 腕組みすると――
「いい目をしているな。こいつ……ドラミちゃんご褒美に……じゃない、トドメを刺してあげなさい」
『うん! そりゃああああああ! ていッ!』
ピンドラちゃんは一度ジャンプすると、僕の顔の上にぷりっぷりのおけつをハンマーフォールしてくれた。
ああ、し あ わ せ――
衝撃とともに僕の頭はお花畑に埋まり、意識が遠のく。ほっぺたに感じるピンドラちゃんのお尻の感触だけは、どうか……記憶に……残ります……よう……に……。
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『お兄ちゃんこいつ何がしたかったの?』
「男には色々あるんだ」
『はぁ? 全然わかんなーい!』
意識を失った青い翼竜。左の翼の付け根に隠された水晶の板が、ドラミちゃんのヒップアタックの衝撃でパリンと爆ぜた。
お尻で翼竜の顔面をぐりぐり大地にこすりつけて、ピンドラは立ち上がる。
『けどけど、即席だったけど迷彩ドッキリ大作戦は上手くいったねお兄ちゃん!』
「うむ。休めたのも大きいな」
花畑のような平野に出たところで、私は妹ちゃんに花の種を蒔いて発芽成長を促した。
腹ばいになったピンドラが花畑に屈むと、ほとんど風景の一部である。
匂いも花の香りに紛れて探知されにくいというおまけ付きだ。
第二収縮が始まるまで体力を温存の予定だったんだけど――
昇天(?)した青い翼竜に合掌。




