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家畜の気持ち

三日目の昼に雨季でぬかるんだ道に車輪を取られた子供の髭山羊を数頭運んでいる魔道荷車に出会った。

鹿車を降りて魔道車の御者と共に車輪の前後を掘り石を敷き詰める。

助手と私と二人で魔導車を押す。

身体強化を使う

伊達に馬鹿力女と呼ばれている私ではない。

前後に揺らし勢いをつけて脱出成功だ。

皆泥だらけになりながら喜び合った。

御者はここから少し脇道に入った所にある牧場主だと言って、汚れを落としに、と風呂に招待してくれた。

そろそろ風呂に入りたくなっていたのでありがたく受ける。


牧場に付くと牧場主は、お礼の品だと言って木箱と小さい樽を持ってきた。

髭山羊の乳は栄養価が高く高級品で手に入りずらい。

お礼にと乳と干し肉や乳製品を頂く。

最近旅の疲れでばてているノルにミルク粥を作ってやれる。

ミルクは日持ちがしないので、旅では出発して初日に使い切る。

寒い乾季なら三日は持つのだろうが、、、


寝室と夕食まで用意すると言ってきてくれたので、何か手伝えることは無いかと聞いた。

明日朝一番に髭山羊を潰すから手伝いがいると助かるとの事でお手伝いを引き受けた。


風呂に入ってサッパリした後夕食の時間になった。

ここで食べる肉料理はとても美味しくエグ味が無い。

処理の仕方が上手いのだと感心する。

ノルに肉を切り分け細かくして皿に置いてやる。

二人で美味い肉の処理方法を思念で推測し合っていると。


「なんだ、お嬢さんも動物と話ができるのかい?」

と牧場主が問いかけて来た。


ノルと二人でびっくりして顔を向けると、満面の笑みで牧場主がパンを持って近づいてくる。


「そこの黒猫は随分と頭が良いみたいだね、そして二人はとても仲が良いみたいだな」


「私はこの猫以外とは意思の疎通はできないのだ」

と返す。

話しても良いのかとノルが目配せをしてきたので許可を出してやる。

驚きの目をしたがすぐに楽しそうに尻尾をピコピコ振っている。

私以外の人型と話をするのが嬉しい様だ。

ノルに牧場主の話の聞き役を任せる。

なんでも、牧場主は物心ついたくらいから家畜と意思の疎通が出来たのだと言う。

ある日親にその事を伝えると、自分だけの能力だと言われ、誰にも明かしてはならないとキツく言われた今日まで誰にも言えないでいたのだと言う。

家畜の病気やストレスがわかるので早い処置が出来るので、健康に育てる事が出来るのだが、親の代の屠殺方法にはいつも耳を塞ぎたくなる状況だったと辛そうに言う。

嫌がる家畜を無理矢理屠殺場に連れて行き、怖がり泣き叫ぶ家畜の処理をするのが嫌で堪らなかったらしい。

自分の代になり試行錯誤の上で考え出した方法が、定期的に屠殺場で大好物の薬草を食べさせてまた返す。それを繰り返していると屠殺場が怖いところではなく、ご馳走が貰える場所となり、喜んで自ら行く所になる。

出荷する時は一頭づつ連れて行き撫でながら薬草をたらふく食べさせながら、謝り感謝をして首の神経が集まる部分に刃を入れてなるべく痛みが少なくなる様にするのだと。

すると、加工製品や肉そのものの味が上がり売れ行きも良くなり、今では遠くの街から買い付けにやって来る行商人が多く訪れる様になったと言う。

ただ、まだ今も断末魔の叫びは何頭かに一頭はいるらしく、悩みの種なのだとこぼしている。


私たちの故郷では魔術具で痛覚を麻痺させて行う事をノルに伝えさせると、牧場主は是非その魔術具を手に入れたいと相談、懇願された。

魔性石は残り少ないが、作れないわけでは無いので、快く了承する、この様な優しい人間がいた事に嬉しくなったので、ノルにお人好しだと笑われるがとびきりの魔術具を作ろうと約束した。


自室に向かい制作を始める、ノルと牧場主は夜がふけるまで、男同士語り合っていた様だ。


月のない夜、早く人型に戻らせてやりたいと思いながら魔術具を作っている。

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