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獣人との遭遇

朝起きると小屋の周りに生き物の気配がしている。

複数の気配だ。

クワンリの顔に猫パンチをしてみる、

起きない。

しかたないので

腹に軽くジャンプしたらやっと起きた。


・・・ノルよ、もう少し優しく起こしてはくれないだろうか、、、、


・・・それどころじゃないよ、小屋の周りが何者かに囲まれている様だよ。


直ぐに襲って来ないのはこちらを伺っているからなのだろうか?

それとも敵意は無くご挨拶しに来ただけなのか?

イヤイヤ甘いぞ俺

ここは異世界だ。


床下に潜り通気口から外を伺う、小屋は石造りのため侵入できないのか周りをウロウロする布をまとった猿人の様な生き物が5体確認できた。

クワンリにそれを報告すると獣人だと言う。

なんてこった。

獣人と言えば猫耳、犬耳の可愛い女の子って相場は決まっているんじゃ無いのか!

がっかりだ。

知能の高い猿が獣人?

異世界での楽しみはここで打ちひしがれた。

まあ魔族がお人好しって事自体、前世の異世界情報とは異なるのだが。


クワンリによると獣人は交戦的では無く大人しい種族だと言う。

話を聞いてやってはどうかと言ってきた。

そもそも害意のあるものは近づけない結界を張っているので慌てなくても大丈夫なのだと。

早く言って下さい。


クワンリは鬼人の時もそうだが獣人にも俺を交渉役にさせる。

なぜかと聞くと獣落ちした魔族は人型の魔族より警戒されないのだそうだ。


そう言う事なら仕方がない、俺のネゴシエイターとしての実力を見せつけてやろうではないか。



彼らは獣人の青年で人族の農場に働きに行きたいのだそうだ。

いつも来る奴隷商人とは違うので様子を窺っていたのだと言う。

雨季の時期にここら辺に来るのは獣人を探しに来る奴隷商人ぐらいしかいないらしい。


自ら奴隷になりたがるってどう言う事なのだろう。

今までも希望者が選抜されて奴隷商人が連れて行く。

と、言うことが続いているらしい。

詳しく話を聞くと獣人の生活は飢えとの戦いらしい。

狩猟採取の生活を山を移動しながら続けていたが、

森の伐採やら魔性石の採掘場やらで食料確保が難しくなってきた。

そんな時獣人語を操る奴隷商人が訪れ食事と寝床、そして安全を提供する。との申し入れに応じた獣人は人族の農場に働きに出るようになったのだと言う。


マッチポンプですね。完全なマッチポンプです。


先に行った獣人達は時々帰って来る、そして貰った給金で魔道具を買ってきて実家に設置する。

生活が便利になる。

人族の文化と共に、美味しい食べ物も獣人達の暮らしに入ってきた。


人の文化と食事、安定した生活は獣人達に受け入れられる。奴隷として働きに出ることが獣人の若者の目標になっているらしい。


日本でも似たような時代があった様な、、?

「金の卵」とか言うやつだったな。


獣人達は奴隷の意味を理解していない。

文明の遅れた自分たちの社会より便利で美味しい食べ物がある人族の生活に憧れを抱く。


嫌な記憶が蘇る、居留地とか職業訓練施設とか、外国人研修生制度とか。

自由を奪われて収容所の様な所に押し込められて、低賃金で働かされる。

奴隷としてなんの疑問もなく次々と文明の利器を買う様に仕向けられ流行に踊らされる。

そんな獣人達の未来が見えて来る。


こんな事クワンリには言えない。

あいつはまた何かやらかしそうだからだ。

そしてこの問題は奥が深い、一長一短で解決できるものでは無い。

そもそも獣人達は喜んでいるのだから、なお面倒だと思う。


農場に着いたら君たちの事は伝えておくと言いくるめ寝ぐらに帰ってもらった。

悔しいが、今は何もしてやることができない。

同じ人族だった事が恥ずかしくて獣人達を直視する事ができなかった。

心の中で申し訳ないと謝る。


無力感に打ちひしがれていると、クワンリが首の後ろを撫でてきた。

お礼のニャーをして頬を擦り寄せる、足元に絡みつく様に動き回る。

膝の上に乗り顎を撫でてもらいようやく落ち着いてきた。


・・・ノルよ、人族とは狡猾な手を使うのだな、、、


クワンリもわかっていた。

顔を上げてクワンリを見ると泣いていた。

背伸びをして鼻の先を舐めてやったら抱きしめられた。

苦しいけど落ち着く。

正義一直線のこの魔族には少しキツイ出来事だった様だ。

優しいヤツだ。

人間社会に喧嘩売っているわけではありませんよ!本当ですよ。

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