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ご褒美

この旅初めての村に着いた。

乾季は木材伐採者や買い付け商人などで活気があるとガイドブックには書いてあるが、今は閑散としている。

商店や食堂、宿泊所も休業している店が多い。


お湯が使える宿泊所は少し高いがクワンリも女の子、風呂付きの宿にチェックインする。

もちろんペットオッケーなのは言うまでも無い。

一角鹿の面倒も見てくれる。


クワンリに宿屋の主人に薬の販売について聞いてもらう。

これと言って許可はいらないらしい。


街には薬屋は何軒かあるのだが、あまり効く薬は無く、この時期は閉店している店が多いのだそうだ。

移動薬局だと言ってサンプルを少しずつ渡してあげ、その代わり薬が効いたなら宣伝してもらう様に交渉してもらった。


初日こそは暇でしょうがなかったが、二日目から大繁盛だった。

開店前から人が並んでいて住人から話しを聞くどころの騒ぎでは無い忙しさになっている。

クワンリは薬は症状を診てから調合しないと効きが悪いと言って作り置きをしない。

虫除けなどは問題ないので作り置き店頭販売をしているが、いちいち作っているので時間がかかる。

日が暮れて宿屋の主人が夕食の準備が出来たと呼びに来るまでクワンリは働き詰めだ。

人に喜ばれ頼られて張り切ってしまったようだ。

流石のクワンリもぐったりしている。

三日間限定で販売する事にしていたので、明日頑張ればのんびりできるから持ち堪える様にクワンリを励ます。

食事が終わり入浴を済ませたクワンリはベットに横になったと思ったら直ぐに眠ってしまった。

かまって欲しくて上に乗ったり顔を押してみても起きないので諦める。

仕方がない。

今日のクワンリは接客が苦手そうなのに頑張ったから、このまま寝かしておいてやろう。

お疲れ様でした。


おやすみなさい。



最終日の朝だ!


まだ寝てる、、、


心を鬼にして容赦なく鳩尾にダイブをかます。

「んにゃっ」


「ぐふぅ〜」


二人で変な声をあげる。


なぜか着地と共に声が漏れてしまう。


・・・飯食ったか?顔洗ったか?

準備はいいですか?

じゃっ行ってきなさい。


フラフラしているクワンリを送り出した。

今日はこの村の野良の集会にお呼ばれしている。

通常は夜中なのだが、俺の事情も考慮して昼間の開催にしてくれた。

クワンリがご挨拶にと干物を納屋に用意してくれている。


納屋が今日の会場となる。


野良が集まってきた、それぞれ鼻や身体を擦り合わせたり、匂いを嗅ぎ合ったりして親睦を深める。

落ち着いて来てそれぞれグルーミングを始めた頃を見て、

俺の主人からのご挨拶がわりの物だと木箱の蓋に爪をかけ開ける。


ミヤー

ニヤー

ワオオ

一斉にどよめきが起こる。


よし、これでこの村の情報収集は楽になる。




昨日の夕方、ヘロヘロになったクワンリが帰って来てこう言った。


・・・ノルよいつまでもお前に頼ってばかりでは情け無い。

明日は一人で買い物の練習をして見たい。

良いだろうか?

大丈夫だ!買いたいものは考えてある。余計なものは買わないぞ。


可愛い事言うので帰り道がわからなくなっても野良猫に助けを求めれば、ここまで連れて来てくれることを教えて了承した。


何を買ってくるのかちょっとだけ楽しみでもある。

どうせ碌でもない物を掴まされてくるのだろうけど。

それを見てみたいと思ってしまう。


今日は朝から雨が降っている。

仕事の時は起きないくせに、そそくさと起きてさっさと支度を済ませたクワンリは、宿屋の主人に合羽を借りて意気揚々と出ていった。

このテンションはちょっと心配だが楽しそうなので水を差すのはやめておいた。

そこまで野暮じゃない。

それに、野良達は交代でクワンリについて行く事になってるので心配ない、と自分に言い聞かせる。


どうやらクワンリの事が好きになってしまったらしい。

猫の身でありながらお恥ずかしい限りである。


雨降りなので宿屋の中をパトロールして過ごす。

途中ネズミを見つけたが見逃してやった。

人としての理性はまだ残っている様でなんとか止められた。

流石にネズミは咥えたくない。


昼寝をしているとクワンリが帰って来た。

おかえりのニャーで迎える。

寂しかったので、仰向けになって甘えてみると、クワンリはニヤニヤしながら目を細め撫ででくる。


買って来た物を見ると、皮の紐、釣り竿、旅の間の新鮮な川魚を捕まえるのか?

そしてよくわからないのがある。

派手な装飾の帽子だ。造花や羽がついている。

クワンリには似合いそうもないのだが、女の子なんだな。

可愛いと思って買って来たのだろう。

似合わないと言うのはやめておこう。


クワンリは鹿車の荷台で魔術具を作ると言って部屋から出ていった。


昼寝をしていると目の前に鳥の羽根が揺れている、目が離せない。

自分の周りに薄い膜が張っているみたいで、音も聞こえてこない。

羽根が揺れている、、、

揺れている、、、


我慢できなくなって飛び出す。

ひらりとかわされ左右に振れる。

追いかけて追いかけて追いかける。

くそぉ後ちょっとで取れるのに。

追いかける。

ジャンプする。


よし!爪に引っかかったぞ!

咥えるとお気に入りの場所であるベットの下に持って行く。


息が上がっているがものすごく楽しかった。

なんなんだこれは。


ベットの下から顔を出してみると、クワンリがいた。

クワンリは釣り竿を持っている。

釣り竿には革紐が付いていて紐の先はベットの下に続いている。


今ハッキリわかった。

猫じゃらしだ!


クワンリは今日買って来た物で猫じゃらしを作ったのだ。

あの帽子の装飾はこの羽根だったのだな。


・・・ノルよ、いつも世話になってるお礼だ。

気に入ったくれたか?

最近お前は太り気味だとは思わんか?

寝てばかりで運動が足りていないのじゃないかと思ってな、、、

て言うか、、、

私もお前と遊びたかったのでな。



クワンリさんありがとうございます。

良いね、ブックマーク、ご感想いただくとありがたいです。

よろしくお願いします。

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