世界~で一番~難し~い言語
「連絡、有難うございま~す。
まさ~かこんな所に隠されていたなん~て……本当に驚きまし~たぁ。
間違いありませぇ~ん。これは本物の契約の箱で~す!
準備が整いました~ら、受け取りに伺いま~す。
それま~で、こちら~で預かっておい~て頂けま~すかぁ?」
と、イスラエルからはるばるやってきた極秘要人が、変なイントネーションの日本語で聞いた。
「わかりました。こちらで預からせていただきます」
と、義也が丁寧に答えた。
薫子とその祖父・堅造と執事の林もその後ろでうなずいている。
「あと、こ~の件~はくれぐれ~も内密~にお願いいたしまぁ~す。
契約~の箱に~は神様~の不思議~な力~があるの~で、取り扱いに~は引き続~き十分~に注意し~てくださぁ~い。
我々~は鈴木財閥~の再興~と、皆様~の祝福~をお祈~りいたし~ておりまぁ~す」
と、要人は明るい笑顔で言いながら、イスラエルへ帰って行った。
帰り際にこんな言葉を残して。
「日本語~は世界~で一番~難し~い言語だ~と思いまぁ~す。
大学~で日本語~を専攻し~て非常~に苦労しまし~た。
ひらが~な、カタカ~ナ、漢字~が入り混じってい~て……非常~に難しかったでぇ~す。
です~が、私~は日本を愛し~ていまぁ~す。
天と地~とすべて~を造られ~た真実~の神様~も、日本~をとて~も愛しておられまぁ~す!」
それを聞いて、義也が
「本当にありがとうございます。
でも、僕は日本語よりヘブル語のほうが難しいと思います。
シャローム!」
と、感謝と本音を伝え、最後にヘブル語で挨拶をした。
要人を乗せた鈴木財閥所有の自家用ジェットが、緩やかな曲線を描きながらブルーとオレンジのグラデーションが描かれている空に飛び立ってゆく。
あとに残る飛行機雲と、夕暮れに光り始めた飛行機の点滅ランプの赤い輝きが、義也にとってはまるで義の道へと導く『雲の柱』と『火の柱』のように思えたのだった。
※本文中の『雲の柱』と『火の柱』は、以下の聖書箇所から引用しました。
『主は彼らの前に立たれ、昼は雲の柱によって導かれ、夜は火の柱によって彼らを照らし続けられた』
現代訳聖書 13章 21節




