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ⅡⅩⅡ 仕方ない。
朝、起きると、外は一面真っ白だった。
「未夢、おはよう。ごはんもうすぐだからね。」
ママは私に声をかけた。
朝の七時なのに、パパもお兄ちゃんもいない。
二人は朝早くに出て行って、夜遅くに帰ってくる。
休日も何かしら理由をつけて家にいなかった。
たまに会っても二人とも私には何も言わない。
もう、パパもお兄ちゃんも私のこと家族だと思ってない。
私が幼稚園生のころは、みんなで朝ごはん食べて、同じ時間に家を出て、夜ご飯は家族そろっていつも食べていた。
私が中学生になっても、朝ごはんだけはみんなで食べてた。
時間が合えば、外食に行ったりもした。
でも仕方ない。自分でそのリスクもふまえたうえで産むって言ったんだから。
「あと、二か月ね。」
ママがカレンダー見て私に言った。
「うん。」
おなかに手を当てて、微笑んだ。
寂しがっちゃいけない。
春哉と会いたくても、話したくても、お兄ちゃんやパパとまた笑いあって過ごしたくても、人生がそう簡単にすすむわけないんだ。
それに塾に行った日、誓った。
「元気な子を産んでみせる」と。
読んでいただいてありがとうございます。
次回もお楽しみに。




