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第1話 転生拒否

 ああ、こんなにあっさり、私、死んじゃうの? ずっと、聖女として清く正しく生きてきたのに……人の病気にかまけて、自分の病気を見落とすなんて……女神さまぁ……私は本当はもっと元気で自由に、色々したかった……ああ、魂が、流転していく……


『……フェリエ……あなたは本当に、素晴らしい聖女でした……だから、少しだけ……わがままを聞いてあげます。次は自由に生きてください……【次の世代(じのせだい)】に行く前に、健康な身体で……自由に生きて……』


 え? 今の、もしかして、本当に女神さま!? ああ、魂が……引き込まれていく……あれが、私の新しい……


 ………………ん? ちょ、ちょっと待って! 待って、待って、待ってぇ~!


『ど、どうしたのですか? フェリエ?』


 えーと、女神さま。私の魂が……あの身体に入ろうとしているんですけど。


『ええ、今はちょうど、アレしかなくて……でも、魂は消滅してしまいましたが、身体は本当に頑丈で健康ですよ!』


 い、いや、あの……せっかくなんですけど、ちょっと辞退します……


『ええ!? なんでっ??』


 いや、あの、私が元気で自由に謳歌したかったことは…………せっかく超絶美少女に生まれたんだから、素敵な殿方とのがたとイチャイチャしたかったってことなのぉ!!

 

 失礼を承知の上で……大変申し訳ないけど! あの冴えないおっさんの身体で生き返っても、私のしたかったことは、ぜぇんぜん、できないからぁーー! やだぁー! 元の身体がいい!!


 うおぉぉぉー!

 高めろ魂力、高めろ魂力、高めろ魂力ぅ!

 気合いだ、気合いだ、気合いだぁ!

 元の身体に戻るんだぁー!!

 いっけぇ! ——【魂還の詩(アニマ・リサルクス)】!!


『えぇ!? 神聖魔法系の最高位蘇生術!?』


 ————え? やったぁ! 成功したの!? 魂が元の身体に戻って行く……ああ、今度こそ、自由に、好きに生きて……


『……すごい。さすがは“神託の乙女”、“黎明の聖女”とまで言われた逸材——あっ! でも待って! ごめんっ! あなたの身体、朽ちるのが惜しかったから、すでに“強き魂”を——行っちゃった。ま、いっか。あの調子ならうまくやるでしょ……』


 ◇


 ……もう、皆、退却したか? 血を流し過ぎた……もう、動けそうもない。ああ、せっかく聖騎士になれたのになぁ。もっと神聖魔法の素質があれば……もっと回復して戦えたのに……って、これじゃ、本当に戦闘狂じゃないか……? 本当はもっと女の子らしいこと……


「ここにいたぞ! 『狂剣』だ! ……へっへ、もう死んでんじゃねぇか?」

「油断するな、囲んで矢を射ろ!」

「えー、もったいねぇ! 見た目はすげー美少女じゃねぇか! 生かして楽しもうぜ!」

「おお! そうしようぜー、隊長! 本隊が来る前に俺らだけでさぁ~」


 ああ、なんで最後まで、こんなクズみたいな男としか縁がないんだ……もっと、私より強くて、素敵な殿方とのがたと……ま、まぁ、強くはなくていいけど、誠実で優しい素敵な方と……


「————イチャイチャしたかったんだぁーー!! 貴様らじゃない!!」


 ……もう血飛沫しか見えない。身体が勝手に動いていく……え? やめてよ、今さら命乞いとか。

 ——ズサッ、スパンッ、ズサッ!


 もう、誰もいないか……イテッ! あれ、いつの間に倒れちゃったの? ダメだ、最後の女神さまへの祈りを……


「……女神さま、リヴィア・サンクレイドはもうこれ以上、あなた様のために剣を振るえそうにありません。私にもっと神聖魔法の素質があれば、聖女様みたいに、どんな怪我でも一瞬で治せる魔法が使えれば……もっと剣が振るえたのに」


 ……あと、せっかく可愛いって言われる容姿に生まれたんだから、もっと殿方と……

 

『……聖騎士リヴィアよ。私のために剣を振るいたいという、その純粋な信仰心……見事です。だから、少しだけ……わがままを聞いてあげます。次は思う存分、神聖魔法を極めてください……【次の世代(じのせだい)】に行く前に、神聖魔法に適した身体で……』


 え? まさか、本当に女神さまですか!? ——ああ、魂が引き込まれていく……


 あ、あれなの? あんなに美しくて可憐で神々しい御身体に、私の魂が——ああ、なんという神聖に満ちた美しい神威オーラ……こんなに美しく神々しい身体に生まれ変われるなんて……ぜったい——素敵な殿方とのがたと!


『ち、ちょぉ~と、まったぁ~~!! 私、まだ死んでないからぁ~!』



お読みいただきありがとうございます。

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