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ナナシのトヒ 〜ナチュラビスト〜  作者: 大地アキ
1章ヤマト(1)

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20/201

第20話 中央への道標

ヤマトに到着し、街の灯がちらほらと点り始めていた。

工場の煙突からは火花が散り、遠くで職人たちの槌音が響いている。


ノラは一人、紹介所の前に立っていた。

掲示板には新たな依頼が貼り出されている。

その中に、目を引く一文があった。


――「統一政府への納品依頼」

――「報告先:中央議事堂」


ノラは低く呟いた。

「……結局、行くことになるんだな。中央へ」


背後から足音。

振り向くと、クロがいた。制服の上着を肩に掛け、疲れを隠さない顔をしていノラに問う。

「決めたのか」


「決めたさ。シロの死の真実を知るために……そしてトヒの答えを探すために」

ノラは曇りなく答えた。

クロはしばし無言でノラを見つめた。

二人の間には、まだ埋まらぬ溝があった。

だが、その奥にある“同じ目的”を否定することはできない。


「……ならば俺も行く。司法警察の任務として、そして……弟として」


ノラは頷き、西の空へ視線を向けた。

ヤマトの外れから伸びる街道。

その先に広がるのは、大陸中央に位置する

統一政府の本拠地でナナシの中枢。


「クロ。俺たちの道は交わらないかもしれない。

 けど……同じ答えに辿り着けると信じたい」


クロは短く笑みを浮かべ、肩を並べた。

「答えが何であろうと、俺は最後まで見届ける」


夜空には満月が浮かび、街道を淡く照らしていた。

二人の影は並び、西へと伸びていく。


統一戦争から十年。

 再び世界が揺らぎ始めるその時代に、二つの信念を抱えた旅人が歩み出した。


その先に待つのは、統一政府。

そして、さらに深まる真実と影だった。

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