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初戦闘!


異世界といえばバトル。バトルとは即ち命懸けの殺し合い、というわけでは無いbattleという英単語の語源的には強く打つや叩くであり、本来の意味としては軍人同士の中規模程度の戦争である。今回のコレは小規模と中規模の間程度の規模だが、あくまでも単純極まりない殺し合いだ。

「「「ヘェアア!」」」

「っ!」

彼奴等の攻撃は高速回転からのスリケンめいた突進、魔力障壁への張り付きからの魔力吸収、動きとしてはコレくらいだが主にスリケン攻撃が激しすぎる。というか数が多すぎる。

手に持つ斧も大人用であり木を切ったり薪を割るための物、こいつらを断割するには威力は十分だが遅すぎる。いや、まぁ単純に俺の振りが遅いんだろう。なにせ前世でも今世でも生存をかけた闘争などという世界からかけ離れた場所で生きていたのだ。息は荒くなるし、体は硬直し震える。


唯一救いなのは魔力障壁による防御は万全であるということ、魔力が多少食われた程度では回復が追いつくということ、泥臭くジェシカさんを背後にしながらヒトデどもの攻撃を受け、張り付かせたところを釘で刺し殺すなんていう作戦で行こうと思ったが、明らかに数が多すぎる。防御は万全とか言ったがあれは強がりだ。刻々と増える擦り傷切り傷、魔力障壁がある程度緩和してくれるとはいえ衝撃による打撲、肉体強化によって治癒されるが、失った血や痛みは蓄積されていく。

あえて言おう!防戦一方であるとなっ!



30分が経過した。

「ヘァ!」

「ヘァヘァ!」

「トゥーヘァー!!」

たまにジェシカさんを襲おうとするヒトデを吹っ飛ばしたり、運良く斧を振った先に飛んできたヒトデを断割したりしていたが、そろそろ限界が近くなってきていた。よくよく考えれば斧に強化魔法をかけて殴るだけで多少マシだったり、魔力を拳に集めて…って、だめだ。思い出せ俺、魔石みたいな魔力の塊が外殻を破られたくらいであんな破壊力を持つんだ。拳に魔力を集めて殴るなんてしたら現実改変は絶対に破壊的な方向へいく。そうなれば最悪小屋ごと吹っ飛ぶからやらなかったんだろ!くそッ、ジェシカさんを守る事だけに注力しても数は減らないし、そもそもジェシカさんはさっきから起きては気絶して起きては気絶してを繰り返してるしっ!

「数だけ揃えやがって!」

「「「「「ヘァ!」」」」」

斧を振るうが最悪なことに血と汗で滑って放り投げてしまった。お陰で数十匹が死んだが、お替わりはいくらでもいる。どうやらピンゾロか96か、どちらでもよくは無いが今最悪なのはお陰で手持ちの武器がトンカチと釘しか無くなった。という事だ。

一か八か、この小屋がそもそも研究用に作られているので多少の爆発には耐えてくれると信じて手元にいるヒトデの死体から取った魔石を金平糖化してぶん投げようかとも思ったが、それは最後の手段にしておこう。気張れ俺、幼児とそれと同じくらいの大きさのおばけヒトデが互いの生存をかけた地で血を洗う争いをしているとかもはやシュールを超えて意味不明奇々怪々だが、小屋の外から響く音は減ってきている。

小屋の中のヒトデも多いことは多いが地に堕ちた死骸も多い、殺し切れるはずだ。俺に、その資格があるなら!



更に30分後…

「はぁ…はぁ…はぁぁぁ…」

とりあえず残りが数えられるほどにまで減った。今更だが、ほぼ駆除作業何だから石鹸水やらなんやらばら撒くとか…いや、陸棲なのだから外皮が発達して水棲だった時のような皮膚からの吸収力は弱まっているだろう。というかそろそろジェシカさんにも慣れてほしい、ここ1時間はずっと気絶と覚醒を繰り返しているが一向にまともに起き上がらない、というか今更だが俺はよくもまあ斧を投げ飛ばしてしまってからトンカチと釘だけでここまできたものだ。

いや、実は途中途中意識がなくなって気がつくと一部の床板がベキベキに踏み抜かれていたり周囲のリクヒトデがミンチになったりしていたが、それはコラテラルである。致し方ない犠牲だったのだ。

というかここまで壊したんだったらもう魔石使ってもいいでしょ、そう思い手近なヒトデから魔石を抜き取り親指ほどのそれに魔力を注いでいく。

その時気が抜けていたといえばきっとそうなのだろう。なにせ1時間だ。幼児の身体であるのもそうだが、木や薪のように動かないものを叩き続けたり、只者を引っ張ったりしていた訳ではなく。俺の今持つ魔力障壁や肉体強化、それらを総動員して生きて明確に此方を害そうとする生物を殺し続けていたのだ。

精神的な嫌悪感は見た目からか釣りをしていた俺からすればあまりなかったが、背後に守る者や無人に近い量が兎に角疲弊を強いて来た。

まぁ、言い訳である。残念なことに俺は凡人である。それがゆえに気が抜けてしまったのだ。

「ヘァ!」

「しまっ!」

ヒトデやろうは学習能力のある生物だ。俺が背後に彼女を守っているのをわかっていた、わかっていてやつは俺ではなく彼女にのみ当たるコースで突進してきた。肉体強化をしている俺だったらカバーが間に合うのだが、とにかく奴らは早い、魔石に魔力を込めるために一瞬でも意識が奴らから逸れた瞬間に飛び出したそいつに俺の手が届く可能性は肉体強化込みでもかなり低かった。踏み込みが一瞬遅れるそれだけで追いつけなくなるのだ。

だが、幸運の女神様か、ジェシカさんの悪運が強いのか、奇跡が起きた。

慌てて浮き出した右手に無意識に魔力が集中し魔石に一気に流れ込んだ。次の瞬間、激しい痛みとともに半実体の結晶が発生したかと思えばヒトデは真っ二つになった。その次の瞬間視界が真っ白になるような破壊的な魔力が爆発し、俺の意識は途絶えた。

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