エピローグ
ピンポーン
「はーーーい!」
時本さんだ。いつもの白衣姿。最初は怪しいオジサンだったけど、いつしか凛々しさを醸し出してきた時本さん。
「斉藤様、タイムマシンの引き取りに上がりました。タイムマシンの時間旅行、お疲れ様でした。」
「時本さん、こちらこそありがとうございました。」
何も変わらなかったけど、それはそれで楽しかった。
「あたし、現代に住んでいる自分がすっごく嫌で、過去を変えたい!って思って時本さんからタイムマシンをお借りしたんです。でも、過去に行ったことで、改めて、どんなに足掻いても過去は変えることはできない!って感じました。そして、未来なら変えることができる!とも学びました。
未来を変えることができるのは、現代の自分しかいない!と感じて、現代に帰ってきたんです。
このタイムマシン、ほんっとーーうに楽しかった!ありがとうございました。」
「そうでしたか。私も実はこの試作品『time001』は過去を変えるための道具として製作したんです。でも、斉藤様のモニタリングを見させていただいて、
タイムマシンをもってしても過去を変えられないことに気づかされました。」
え?監視してたの??それって………ストーカーじゃん…
ま、でも時本さんならいっか(笑)
どうやらこのタイムマシン、遠隔監視機能がついていたとのこと。それを知らずに乗ってた私って…
「それで、やはり過去へ行く機能をやめて、未來へ行ける機能を搭載して、実用化を目指そうと思っています!」
時本さんの目がいつになくキラキラしていた。それは池袋で出会った怪しげな目ではなく、
第一線で活躍する研究者の目であった。
「それ、いいですね!」
私も同意した。
「それでは、私はこれで。タイムマシンのご利用ありがとうございました。」
時本さんとはもう逢うことはないのかな…そう思うと、なんとなく寂しさも感じてしまった。
3ヶ月後。
私はイベントプロモーション会社への転職が決まった。
学生時代にバンドをやっていたのが、ようやく今になって活かされるようになった。
ライブハウスのブッキングや設営、所属アーティストのマネージメントなど裏方の仕事だけど、
前居た会社よりは数倍充実した日々を送っている。
オシャレにも気を使うようになってきたし、もう毎日が楽しくてしょうがない。
「お疲れ様でしたー」
仕事の帰り道に、またしてもあの怪しい看板を発見した
タイムマシンに乗ってみませんか?
周りはこの看板を見てクスクスと嘲笑っていたが、私はすぐに時本さんだと分かった。
「時本さん!お久しぶりです。」
「おや、斉藤様!こちらこそお久しぶりです。」
「おかげさまで、転職先が決まりました!もう毎日が楽しくて楽しくて…」
「それはよかったですね。」
「未来に行けるタイムマシン、できたんですか?」
「いえいえ。これは以前、斉藤様が乗られたのと同型です。ですが、未来へ行けるタイムマシンの開発は順調ですよ!」
「もしできたら、あたしも乗せてくださいね(笑)」
「ふふふ(笑)考えておきます。」
「実用化されたら、ノーベル賞間違いなしですよね?頑張って下さいね。」
「斉藤様もお仕事頑張って下さい!」
久しぶりに時本さんに逢って、まるで親友と話してるかのように話が弾んだ。
未来を知れたのも時本さんのおかげ。そして過去に向き合えたのも時本さんのおかげ。
私はまた希望の未来に向けて、現代で楽しく生きていく!!




