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いもけんぴ  作者: 十奥海
12/13

アホ息子アホ親父

 理事長室

 コンコンガチャン

 俺は、ノックをして応答を待たずに一拍も待たずに理事長室のドアを開いた。

「扉のHPは0だった。扉は音を立てて開いてしまった。あ~、ノックしただけで扉があいちゃったよー。入るぜ親父~」

 ノックするのも面倒、親父にノックもせずにだのなんだの言われるのも面倒なので、訳のわからん理由をつけて扉をあける。

 親父は、「何を言っているんだこの息子は」と言いたそうな顔をして一瞬硬直していた。

 その隣には、「何を言ってるんだこの生徒は」と言いたそうな顔をした白帆先生が硬直している。

「何か反応してくれよ。俺がアホの子みたいじゃねえか」

「「いや、アホの子だと思う」」

 別にはもってまで俺の渾身の言葉を否定しなくてもいいじゃないか。

「別にアホの子でもいいから聞きたいことがあってちょっときたんだよ」

「なんだ、アホの息子」

 この親父、俺の心を折ろうとしてやがる。負けてなるものかと無駄に敵対心を燃やしてみる俺。

「後夜祭がなくなるとかそんな話があるらしいな」

 すると、驚いた様子で

「な、なんのことだ。今はその話は協議中だ。一般生徒が口を出せるような事情はない。貴様は後夜祭のことを忘れたくなーる」

 なにやら、奇妙な腕の動きをして俺に向かって「忘れたくなーる、忘れたくなーる」とアホの子(大人)全開で言い続ける親父。それを、「なるほど、これが親子か」と納得して欲しくはないことを納得したご様子の白帆先生。

 校長室の窓を見ると開きっぱなしになっているのが見えた。今は冬だというのに、窓を開けて換気でもしていたのかと不思議に思うが、よく見ると換気扇は別の場所にちゃんとあった。

「なんで、窓なんて開けてんだ?」

「ん?ああ!いや!ちょっと、外の空気がおいしいなと思ってな!」

「たっだいま戻ったぜー」

 そこに、ちょうど良く入ってくる硝さん。

 硝さんの入ってくるスペースを確保していたのなら、そうだと言えばいいものを隠そうとするからなんだか勘ぐりたくなる。言動もさっきからアホの子(大人)っぽいし、何か隠し事をされている気がする。

 すると、硝さんは俺が居ることにまだ気づいていない様子で

「いやぁ~、大路は上に居なかったから後夜祭の企画の話ができなかったぜ・・・ん?」 言葉を発してからこちらに気づく硝さん、キョロキョロと親父と白帆先生の様子をうかがっている。その両者は「この駄猫が」と蔑む様な瞳で猫を見やる。

 俺もなんだか理解ができた気がする。

 あの駄猫は『企画』と言った。それはつまり、今後夜祭について何らかの進行予定があると言うことだ。だが、俺には後夜祭の中止があるかもしれないという矛盾を言う。

 こんな矛盾が起こる場合は、今までの記憶だと親父がろくな事を考えていない時だ。

「どういうことかな?」

 顔を引きつらせて状況の説明を求める。

 駄猫が、と蔑んでいた二人も俺の質問を前にたじろいでしまい冷や汗をかいている。

 三人がアイコンタクトをとって何やら、こりゃやばい、と言った雰囲気をかもし出している。

 すると、白帆先生が白を切らして

「はぁ~理事長。これはもう、強行突破するしかないんじゃないんすか?」

 「むぅ~」と考え込んでしまい。脳内で悪い考えが親父の中で飛び交っているのが簡単に読み取れる。早く結論を出さなければ、またひどい案が出てきて俺はそれに巻き込まれる羽目になる。

「おい、親父」

「うむ!しょうがない!ならば、強行突破か!何を隠そう今回の後夜祭を中止企画を立てて、大路には後夜祭復興企画を立ててもらおうと思ったのだが、ばれてしまったら強行突破だ!ワシを納得させられる後夜祭復興方法を考えて来い大路!」

 思い切ったなこの親父。

 そもそも、おれ自身は後夜祭にそこまで思い入れがあるわけでも・・・・

 いや、文歌の事を思うとちょっとぐらい思い入れがあるのか。

 だが、納得させる方法など簡単だ。

「生徒が納得しません。そして、生徒が納得できないのなら親御さんも納得させられません。さらに、予算なら別に余るほどあるのでしょうから中止にする案は通りません。以上」

「お前・・・・いつの間にそんな饒舌になったんだ!」

 知るかボケ。親はなくとも子は育つ。そんなもんだろ。

 親父は、指をこちらに向けて子供みたいに駄々をこねている。

 ふと、硝さんの所為にしようと思ったのか、振り返ってみると

「おい、硝さ・・・」

 開いた窓は風通しが良さそうにひゅーひゅーと空気を通していた。その先で学校の隣の家に飛び乗って消え去る硝さん。

 逃げたな。

「んじゃ、後夜祭は続行ということで俺は、第三理科室で待ってます。白帆先生も親父の変な計画に付き合ってないで早く来てくださいよ」

 そう言い残し俺は理事長室を後にした。

 過子の助言がなかったら、危うくあの計画に俺は乗せられていたのだろうか?そう思うと、過子に今度町のクレープでもおごってやるぐらいはしてやろうかと思えた。


親父初登場!

理事長のくせしてアホキャラですね


と言うか、この親子関係がアホなだけですねw

ここで理事長の目論見を切り捨てたから

理事長の出番少なくなっちゃうけどあとで、ブワッといきなり出てくるんで驚いてあげてくださいw

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