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『学校一と呼ばれる三人の美少女は、今日も俺を諦めない。』  作者: 夜凪ロア


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第2話 気になる存在

始業式を終え、一時間目までの短い休み時間。


教室には自己紹介や雑談の声が飛び交っていた。


「奏汰、席替えじゃなくてよかったな」


朝比奈悠真が笑う。


「まあな」


窓際の後ろ寄り。


奏汰は一年生の頃から好きだったこの席に満足していた。


外を眺められるし、昼寝もしやすい。


目立たない。


それが一番だった。


「今年も放課後遊ぶ?」


「もちろん!」


「カラオケ行きたい!」


「いや、ボウリングだろ!」


友人グループは相変わらず賑やかだ。


その輪を見ていた女子が、小さく呟く。


「いいよね、あのグループ。」


「男女関係なく仲いいもん。」


「私も入りたいなぁ。」


自然に笑い合える空気。


無理に誰かが盛り上げるわけでもなく、誰かを仲間外れにすることもない。


だから周りから見ても楽しそうだった。


その頃。


教室の前では、担任がプリントを配っている。


「そうだ。今年は委員会も早めに決めるからな。」


その言葉に男子たちは顔をしかめた。


「面倒くせぇ……」


「誰かやってくれ。」


そんな空気の中。


「私生徒会長してますので、学級委員は遠慮します。」


澪が静かに言う。


担任が苦笑した。


それだけで教室は少しざわつく。


(やっぱり生徒会長ってすごい。)


(オーラが違う……。)


誰もがそう思う。


ただ一人を除いて。


「奏汰。」


悠真が肘でつつく。


「ん?」


「生徒会長だぞ?」


「知ってる。」


「それだけ?」


「それだけ。」


悠真は笑ってしまう。


「お前、本当に興味ないよな。」


「有名人だからって別世界の人だろ。」


奏汰はそう言って窓の外を見る。


その横顔を。


澪は見ていた。


(やっぱり……。)


去年もそうだった。


廊下ですれ違っても。


体育館で見かけても。


文化祭の準備で見かけても。


彼だけは一度も自分を特別扱いしなかった。


そのことが、ずっと心に残っている。


一方。


乃愛は女子たちに囲まれていた。


「乃愛ちゃんって本当に雑誌に出てるんだ!」


「うん。でも普通の高校生だよ?」


笑顔で答える。


誰とでもすぐ打ち解けられる。


だからこそ人気がある。


それでも。


視線だけは何度も奏汰へ向いていた。


(相変わらず気づかないなぁ。)


思わず頬が緩む。


そして陽葵。


陸上部の女子たちと話しながらも、


(今日も友達いっぱいなんだ。)


奏汰の周りにいる友人たちを見つめる。


楽しそうに笑う姿を見るだけで、


胸の奥が少し温かくなった。


そんな三人の視線に。


まだ誰も気づかない。


しかし――。


「なぁ。」


教室の後ろで男子が小声で言った。


「あいつ……。」


「榛原だろ?」


「なんかさっきから学校一の三人が見てないか?」


「気のせいじゃね?」


「いや、俺も思った。」


ほんの小さな違和感。


それはまだ噂にもならない。


けれど。


嫉妬という感情は、


気づかないうちに少しずつ芽を出し始めていた。


そのことを、


奏汰はまだ何も知らない。

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