第二十一話
「お待たせしました、キース様」
リリアがマイケルの言っていた朝食の残りのソーセージを挟んだパンを二つ暖めて持ってきたのだった。
キースの前にその皿を置く。今まで見たことないパンに興味深々のキースは上から横から観察するのだった。
「パンにソーセージが突っ込んである」
あれこれ観察して見たままをリリアに報告するように言うキースにリリアは笑いそうになる。
「雑な言い方だと思いますが、その通りです。正確に言うとソーセージにパンを巻き付けて焼いてあります。どうぞお召し上がりください」
パンを手に取り、食べたい気持ちが先走り無言で食べ始めるキース。一口食べて、動きが固まり、目を大きく見開いた。
「ソーセージにトマトソースが付けてある。うまい。うまいがこれは想像していない見た目過ぎて、マイケルの説明では理解できなかったが、食べてみれば納得だな。これはうまい!!」
そこからは喋ることなく無言で食べ続けるキースに四人はわかってもらえてうれしかったようで微笑むのだった。
ソーセージの入ったパンを食べ終わったキースはリリアを改めて見る。
「リリア、申し訳ないが、白いパンだけでも少し持って帰らせてもらえないか?」
リリアは自分の作ったものを持って帰りたいと言うキースの発言に驚く。過去にいろいろやらかした自分の作ったものを持って帰りたいと言うとは思っていなかったからだ。
「キース様、お土産ですか?余るとは思いますが、余りものでいいのですか?」
キースは大丈夫だと言わんばかりにうなずく。
「十分だ。領都の屋敷にいるライオネルとエドモンドにも食べさせたい」
キースがリリアの作ったものをライオネルとエドモンドに食べさせたいと言ったことに驚きを隠せない。
「私の作ったものをお二人に食べさせてもいいのでしょうか?」
キースは良いのだと言わんばかりにうなずき笑いかけてくる。
「これ程のものを一人で食べたと知れたら後が怖い。頼む」
キースはリリアに向かって頭を下げるのだった。頭を下げられたことにリリアは困惑の表情を浮かべる。
「キース様、頭を上げてください。新たに焼く時間もないかと思うので、これで宜しければどうぞお持ち帰りください」
「ありがとう」
キースは嬉しそうに礼をした。
昼食が終わり、キースが領都へ戻る時間がやってきた。キースが土産も持って帰るのを四人で見送るのだった。キースが帰って、ホッとする四人だった。
「リリア様お疲れ様でした」
マリーが疲れたであろうリリアを労う。リリアは首を横に振るのだった。
「ううん。みんなこそありがとう。キース様が嬉しそうに帰られて良かったわ」
マイケルが呆れた表情を見せる。
「何やかんや言ってしっかりパンを食べて、持って帰ったなぁ」
ニールも賛同せんとばかりにうなずく。
「さすが、キース様。ちゃっかりしてる」
リリアはキースがパンを気に入ったのが嬉しかったようだった。
「気に入ってくださったなら嬉しいわ。言えないぐらい迷惑かけてるから……」
自分の過去の行いの数々を思い出して、しょげ返るリリア。そんな落ち込んでいるリリアを三人は励まそうとする。
「リリア様、過ぎたことを言ってもしゃあないわ」
とマイケルが慰めと取れないことを励ましのつもりで言い、
「そうそう。これからが大事ですよ」
とニールは未来志向でリリアを励まし、
「これから迷惑をかけないように気を付けたらいいんですよ」
とマリーは優しくどうすればいいのか心の持ちようを含めて励ますのだった。
「みんなありがとう」
三人三様の励ましの言葉に嬉しそうに微笑むリリア。三人はこれからもリリアを暖かく見守ろうと心に誓ったのだった。




