プロローグ:引き裂かれた存在
ヴォルレスティアへようこそ。
ここは、人間、エルフ、ドワーフ、獣人、悪魔、そしてモンスター――
さまざまな種族が、同じ運命を背負う世界だ世界だ。
だが、その美しさの裏には――
この世界に足を踏み入れた者を分かつ、絶対的な境界線がある。
この世界には、大きく分けて二種類の存在がいる。
プレイヤー:
記憶も出自も持たぬまま目覚め、過去を失った異邦人としてヴォルレスティアに放り出された者たち。
NPC:
ヴォルレスティアの地で生まれ、育ち、そして老いていく、この世界の住人たち。
ここでの生活が、おとぎ話のように楽だと思ってはいけない。
この世界――ヴォルレスティアは、プレイヤーにとって過酷なサバイバルの舞台だ。
俺たちは、着ている服以外、何も持たずに放り込まれた。
生き延びるためには――
食料と、雨風をしのげる場所が必要になる。
そのためには二つ。
NPCのクエストでコインを稼ぐか。
命を賭けてモンスターを狩るか。
ここは弱肉強食の世界だ。
殺すか、殺されるか――それだけ。
プレイヤーにとって、死は救いじゃない。
命を奪われた瞬間、体は残らない。
空中でガラスのように砕け散り、これまでの戦利品だけが残る。
それを俺たちは、Game Overと呼ぶ。
セーブポイントはない。
一度死ねば、それで終わりだ。
すべての恐怖の中心にあるのは、200階層に及ぶ巨大ダンジョン。
各階層には異なる恐怖が棲みつき、深く潜るほど闇は濃くなる。
20階層ごとに、通常モンスターの10倍の力を持つフロアボスが立ちはだかる。
俺たちの勇気への報酬は、ダークストーン――滅びたモンスターの体からこぼれ落ちる黒い石――の中に閉じ込められている。
その大きさが、そのまま命の価値になる。
この狂気に立ち向かうため、多くのプレイヤーはパーティーを組む。
だが、全員がそれに頼るわけじゃない。
影を歩き、孤独の中で死に挑む者もいる。
奴らは俺を――ソロプレイヤーと呼ぶ。
お前には、ただのゲームに見えるかもしれない。
だが俺にとっては、違う。
これは血の現実だ。
これは単なる数字やステータスではない――生と死の闘いだ。




