第15話 冒険者になる2
翌朝、二人は着替えと朝食を済ませると、早速、冒険者ギルドに向かった。
目的はヴァレリアの冒険者登録と3年間で集めた一部素材の売却、そして死の森で回収した冒険者の装備の受け渡しだった。
メイも冒険者ギルドや登録手続きなどに興味があり、知識として知っておくためにヴァレリアに同行することにした。
冒険者ギルドに到着し、扉を開けると思っていた通り奇異な目や何かを勘ぐるような視線など様々なものを向けられた。
ヴァレリアは一瞬それらを警戒するが、まだ屋敷に居た頃を思い出し、こんなものだったなと思いながら受付へ向かう。
「ようこそ冒険者ギルド、アラナン支部へ」
受付嬢が笑顔で二人を出迎えてくれた。
これはどこも変わらないんだなと、ヴァレリアはどこか安心感のようなものを感じた。
「冒険者登録と持ってる魔物素材の売却がしたい。あとギルドマスターに報告したいことがある」
「申し訳ありません。ギルドマスターは多忙のため、ご予約がない面会は致しかねます」
「なら、人目がないところで代理の人と話すことは可能? 人目に触れていい内容か判断しかねてるから」
「少々お待ちください」
それだけ言い残して受付嬢は受付の裏方に行き、しばらくして戻ってきた。
「応接室の準備はできましたが、念のためご用件を伺ってもよろしいですか?」
「ちょっと待って」
ヴァレリアがマジックポーチに手を入れると、一人分の冒険者カードと遺品を一つ取り出した。
「死んでいた冒険者の遺品。家族の元に返してあげて」
「こ、これは!? か、かしこまりました。ギルドマスターに話をつけてきます。少々お待ちください」
それだけ言うと受付嬢は慌てた様子で、受付裏に向かってしまった。
やることがなくなり、メイと話して待っている大柄で筋肉質の男が、ヴァレリアの肩に手を置いてきた。
「やめとけやめとけ。お前みたいなガキが冒険者なんざなれるわけねーよ」
「それを決めるのはあなたじゃない」
「はん、生意気なガキだな! 少しお仕置きが必要な――!? う、動けねー」
ヴァレリアは相手の方を見ることなく、左手に装備している糸で男を拘束した。
そして手を握るにつれてその拘束は強くなっていき、糸が男の体にゆっくりと食い込んでいく。
「わたしに何かするのは構わないけど、メイが巻き添えになりかねないことはやめてね」
ヴァレリアが人差し指を動かすと、男の左腕が曲がってはいけない方向へ曲がるのと同時に、何かが折れる音がした。
「綺麗に折ったからポーションか回復魔法ですぐ治すといいよ」
そういうとヴァレリアは、糸を自身の体に巻き付けて外付けの筋肉として筋力を強化すると、そのまま振り返りながら腕全体を使い、遠心力を利用して男を放り投げた。
その姿に周りの冒険者がざわつき始めた。
まさかあいつがあっさりと負けるなんて、という声も聞こえてくる。
ヴァレリアがやりすぎたかと考えていると、受付嬢が戻ってきた。
状況を見て受付嬢はすぐに何があったのかを悟り、こめかみを押さえる。
「申し訳ありません。あとはこちらで対処しておきます」
受付嬢がどこか不服そうな雰囲気を漏らしながら、ヴァレリアに頭を下げた。
その姿に「そこまでしなくても」とは思ったが、口にはしなかった。
「応接室の準備まで時間が掛かるので、先に冒険者登録を済ませてしまいましょう。大変言いにくいのですが、規定年齢以下の方は実技試験を受けて頂くことになります。大丈夫でしょうか?」
「問題ない。それとメイを観戦させても大丈夫?」
「はい、ご同伴者用の席がありますのでご安心ください。では、会場まで案内しますね」
そうして二人は地下の訓練場へ案内されるのだった。
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