プロローグ
男が一人の少女から逃げていた。
ピンクの長髪の可愛らしい少女が、三メートル程ある人形の肩に乗って男を追跡する。
少女の傍らには、三体の人形が追従していた。
それぞれ装備が異なり、二刀流の人形、大盾と片手剣の人形、そして射撃武器を装備した人形だ。
全員が二メートル程の大きさでかなり素早く動き回っている。
「なんでなんで俺がこんな目に!!」
男はここらでは有名な盗賊の首領だった。
今回はほんの少し稼げればと、小さな村を襲撃したのが運の尽きだった。
「聞いてねーぞ。なんでこんな辺鄙なところに人形愛好家がいるんだよ」
可愛い見た目に可愛い服、そして平均よりやや小さい身長。
見た目だけならば男が逃げるような相手ではない。
しかし少女の冒険者ランクは最高のSランク。
そして一度補足されれば、疲れ知らずの人形に永遠に追い回される。
表情がなく、そして仮面をつけた人形が相手の恐怖心を煽り立てる。
音もなく近づくそれは、下手な魔物よりも怖い。
「降参して。あなたに逃げ場はないよ」
少女が何本かの針を投げつけた。
「どこを狙ってんだ! バーカ!!」
恐怖を誤魔化すために男が声を荒げる。
少女が指を動かした瞬間、男の両脚と左肩がなくなって、盛大に転んだ男は状況が理解できずに、目を白黒させながら後ろを振り返る。
すると何もないところに血が滴っているのに気が付いた。
「い、糸だと……!?」
あとから襲ってくる痛みに男が絶叫し、追いついた少女が大型の人形から男を見下ろしていた。
「わたしから逃げるなら最低でも魔導具を使わないと。これでお終い。さようなら」
「やめろ! やめてください!! 助け――」
男の周りに仕掛けられた針を起点にして、球状に広がった糸が一気に収縮して男を細切れにした。
そして他の人形が盗賊の死骸や首を持って少女の元に戻ってきた。
「これで依頼達成。戻ろうか」
討伐証明を人形に回収させて、少女はその場をあとにするのだった。
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第1話は18時に投稿します。
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