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五話「ガブリエルママ、パートをはじめる!」

パート。


パートという言葉がございます。

以下にその意味を記述してみましょう。


「部分。区分」


例えばテレビ番組ではAパート、Bパートなど前後半で分ける際に、

特にアニメでよく使われる言葉です。

音楽においてもソプラノやアルトなどの区分でもこのパートが使われます。


そしてこのパート、お仕事の場でも使われる言葉です。

パートタイマーと言います。


その語源は「パッと時間割で働こう」から来ており、

パッとタイマーがパーッとタイマーとなまっていき……

最終的に現在のパートタイマー。


このように変化しました。


はい、今適当に作った話なので絶対に違います。

そもそも最初に意味説明してるのに、

パッとタイマーなわけないじゃないですか。

台本にこう書いてあるだけで、わたくしは悪くありません。


ちなみに英語圏ではパートタイムワーカーと言い、

パートタイマーだと微妙に通じたり通じなかったりするとか……

知らんけど。


ちなみにアルバイトはドイツ語なので英語圏では通じません。

これは本当です。


本当ですって。


さて、でっちあげ話のネタも尽きたので

今回はこのパートに関するお話です。


どうぞお楽しみください。


――――


時は5月23日、給料日前……

あなたはスマートフォン画面を見つめています。


ゲームをしている? いいえ、違います。

通帳アプリを開いているのです。


「1万3208円……」


それが、今のあなたの全財産です。

元々一人暮らしだったあなた。


決して悠々自適とはいかないものの、月2万程度の貯金はできており、

彼らとの同居前は20万ほどの蓄えがありました。

それが今や1割以下……まあ、ため息も出ます。


そこに大飯ぐらいの空飛ぶ破壊大魔王ことトリエルと、

ピピやおばけ達の日々のお線香代が加わり、あなたの給料を直撃。


しかし、ピピの努力もあってこれまでは耐えられました。

彼女は家計をしっかり管理して、あなたを支えていたからです。


その様はさながら専業主婦。

いえ、ホワイトデー以降、左手に指輪が光っているのですから、

もはや実質的には夫婦でしょう。


ピピはこれまであなたを献身的に支えました。


ですが、そんなピピの頑張りでも、どうにもならなくなってきました。


理由はガブリエルママが見参したことです。

これが致命傷になりました。


何故なら……


「ママの可愛い可愛いトリエルー! おやつですよー!」

このように、彼女はことある事にトリエルを甘やかし、

親鳥がひなに餌を与えるがごとく、おやつをあげまくるですからです。


これにはあなたもたまったものではありません。


あなたはガブリエルママに抗議をするのですが……


「あの、ガブリエルさん……もうお金が無いんですが」

ガブリエルは「そうですか」とまるで無関心です。


「聞いてます?」

「耳は付いてます」

聞いてませんね。


「聞けや!!!」

「お金が無いなら働けばよいではないですか?」

「おのれはマリーアントワネットか!!」


「ああ、彼女は気高く、そして気品に満ち溢れた、

それは素晴らしい女性でしたね。


ギロチン台へ向かう最後の日も、真っ直ぐに前を見つめ、

威風堂々としておりましたよ。


わたくしも彼女の気高さには一目を置いておりました。

今で言うなら推し……さしずめ、そんなところでしょうか」


さすが天使……生き証人か。

とあなたはガブリエルママのペースに完全に飲まれております。

中世末期のフランスですものねー。


ツッコミにマジレスで返され、

さすがのツッコミ王のあなたも言葉を失います。


「ともかく、あんたのせいでもう金がないんじゃい!!」

「わたくしに働けと命ずる気ですか……?」


ガブリエルママはスッと立ち上がるとあなたを睨みつけます。

黒メガネが不気味に光り、あなたは息を飲みますが……


ポカ!


トリエルが後ろから可愛いチョップを

ガブリエルママの頭にキメます。


「ガブリエルママ! 

この人をいじめるなら、大嫌いになるよ!」


大嫌い……という言葉が、彼女の耳にループされ、

この瞬間、ガブリエルママのライフポイントは一気に0になりました。


ピピピピピピピ……ピー!


「ヤダヤダヤダヤダ!! 嫌いヤダー!

やっぱりしゃがみ込んでわんわんと大泣き。


一応ご柱様のために、再三申し上げておきますが、

彼女は天界序列三位の大天使様で、

天界では主に天使の統制と指示系統の伝達を担当しておりました。


その仕事ぶりは真面目、

ウリエル様も「普段の」彼女は高く評価しています。


本当に度々申し上げますが、

彼女はとても仕事熱心で優秀な天使様なのです……本来は。


そう、彼女の場合はただ、トリエルという、

超バカデカ爆弾があるだけなのです。


そしてそれにより、トリエルが関わると

精神年齢が一気に低下するだけなのです。


優先順位がトリエル>>>>>>越えられない壁>>>>>>他。

こうなるだけです。


なのでトリエルさえ関わらなければ、彼女は普通に出来る人……もとい、出来る柱です。


…………


――――


ここは、ガブリエルママの脳内会議室です。


左右八の字に広がるテーブルに、

それぞれ喜怒哀楽のママABCDが座り、

中央の大きな椅子に良心と理性を司る議長ママが腰掛けています。


「只今より、ガブリエルママが働くか、

否かを決める脳内会議を行います(議長ママ)」


ここで議員ママAが挙手します。


「どうぞ、ママA」

「それは誰のためですか? そこは重要です」


「この目の前にいる人間のためです」

「話になりませんね。却下で」


「他の皆さんも同様ですか?」

議長ママの問いに他の議員ママもうなずきます。


「愚にもつきませんね」

「馬鹿馬鹿しい」

「放っておきましょう」


「ですが、この人間は可愛い可愛い可愛い(以下略)

トリエルの守護対象です(議長ママ)」


「……死ななければよいでしょう」

「確かに。ママAに賛同します」

「右に同じく」

「同じく」


「この人間は金欠で困っているそうですが(議長ママ)」


「それがどうかしましたか?」

「(羽をいじる)」

「(寝る)」

「それがなんですか? 天界は困りません」


「この人間は現状手一杯だそうですが(議長ママ)」


「だから? それがなにか?」

「知りません」

「興味がありません」

「どうでもいいです」


「この人いじめるならママ大嫌い!!」

(ここで議長ママ、トリエルの音声再生)


!!??


「ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダー!!!!!」

「嫌いヤダ嫌いヤダ嫌いヤダ嫌いヤダ嫌いヤダ!!!!」

「やだよー!!」

「えーーーん!! えーーーーん!!!」


「この人間を困らせることは、

即ち “ママ嫌い” に直結します(議長ママ)」


「助けましょう!!!!(満場一致)」


この間わずか2秒。


――――


「仕方ありませんね……人間界で働きましょう」


そう言うとガブリエルママはスッと立ち上がり、

メガネをくいっと上げます。


「切り替え早」


ガララ。


やる気十分となったガブリエルママは、シュッと窓から出ようとします。

天使あるあるなんですかね?


「待てや!! ちゃんと玄関から行け!! 飛ぶな!!」

「わたくしに指図を……(トリエルがじー)ふーん」


ガブリエルママはトコトコと歩いて玄関へ向かい、

歩いてスーパーへ向かいましたとさ。


――――


「パート募集……ここが良さそうですね」

ガブリエルママは真っ直ぐ

スーパーのカスタマーセンターへ直行します。


「はい。どうされましたか?」

「パート募集の貼り紙を見ました」

「パート希望の方ですねー! お待ちくださーい!」


…………


しばらくし、店長らしき人物が現れ

バックヤードの事務所へ案内されます。


「パート希望の方とか」

「ええ。今日からでも良いですよ」


「ま、まずは履歴書を……」

ここでガブリエルママは沈黙します。


「履歴書? ありませんが?」

これには店長はいー? です。


「……え? ないの?」

「ええ」

「……はあ……お引き取りを」

店長がそう言った時です。


「チッ……」

そう言ってガブリエルママは

黒メガネを外すとハローが出現し、翼も現れます。


「ひ、ひぇ!?」

「わたくしをここに置きますね……?」

「は、はい!!!」


と、ここでハローを出したためか、

ガブリエルママの権能である「繁栄」が発動!


なんかいきなり電話が鳴りまくり!!

「是非おたくのスーパーの出資させてください!!」

相手は大手銀行のようです。


これには店長ポカーン!

さらになんかお客さんがドドドドドド……と押し寄せてきます。


その数、パッと見で数百…もはや入り切らず、

パートの皆さんが入場管理しております


「ここのスーパーなんかいいらしいわよー」

「きゃーーーーー」

「ネットでバズってたさー」

「スゲー!! なんも知らんけどなんか買おうぜ」


ドカドカ……


「押すなよ!!」

「ちかーん!!」

「まだ入れないのー?」


もう現場は中も外も阿鼻叫喚!!

お巡りさんまで出動する騒ぎが起きて、大混乱!!


「困るんですよー。もっとちゃんと整理してー」

これには店員さんも、もう帰りたい……と涙目です。


これにも店長ポカーン!


「……よくよく考えてみれば、これでいいではないですか。

何故わたくしが汗水垂らす必要があったのですか……」


どうやらガブリエルママ、気付いたみたいです。


「人間」

「はい!!!!!」


「働きなさい」

「はい!!!!」


ガブリエルママ、一瞬でスーパーを掌握しました。


「あと給金は現金でこの日に渡すように」

「はい!!!!」


…………


一時間後。


「疲れました。可愛い可愛い娘の顔が見たいので帰ります」

「お疲れ様でした!! 本日分です!!」

「よろしい」


そう言ってガブリエルママは

現金10万円を受け取るとスーパーを後にします。


……一時間座ってるだけで時給10万って凄いですね……


はーい、ガブリエルママが退店したことで、権能終了でーす!


「ん? なんでここにいるんだ…?」

「帰ろ帰ろー」


お客さんもゾロゾロと帰っていきましたとさ。

嵐が去り、スーパーの中はお客さんも品物もガラーン!


店員さんポカーン!

店長もポカーン!


ガブリエルママだけが

「ガブリエルママすっごーい! トリエルママ大好きー!」

なシーンを想像してニコニコでした。


…………


バタン!


玄関の扉が勢いよく開け放たれ、

ガブリエルママがダッシュで帰宅です!


「トリエルー!!!! ママ頑張ったよー!!!!」

ガブリエルママはトリエルにぎゅー!

トリエルはコーラをぐびぐび。


「おかえりー」とガブリエルママを軽くなでなで。

これにはガブリエルママもうっとりー!


「ママ幸せ!!!!」

もう涙目でガブリエルママ大喜び!


「で、どうだったんですか?」とあなたが様子を伺うと。

「受け取りなさい」


ガブリエルママは10万円の束をブオン! とあなたの顔面にドスーン!!


あなたドテーン!!


おばけ達はケラケラー!

|アンポンタン《アッチ、ポンポ、タンタ》も現れお札ビンタをしてきます。


ペチペチ……ぶーーーーっ!! ちーーーー!!


あー、ぷーして鼻をちーてタンタがあなたにお札を渡しましたね。

お金は大事にしましょうね……


「お、おのれ……すぐに抹消(海に案内)してくれる……」

ガク……遠のく意識の中、ピピの膝枕の感覚だけがありました。


…………


夕食前18時、あなたはお肉が焼かれるいい匂いで目を覚まします。


「クソ……あいつらめ……」

「目が覚めましたか」


くすりと笑うピピが出来たての食事をテーブルへ運びます。

今日はハンバーグみたいですね。

あなたは頬をポリポリとかくと、妙に頬が冷たいことに気が付きます。


ピピの方をふと眺めると、

彼女は顔を季節外れの桜色に染め上げて、

キッチンの方へ消えていきます。


カーテンの奥からあなたを見守るその姿に、

あなたの胸も熱くなります。


……と、すかさず。


「よ! 色男!」

「あなたーん!」

「ピピーん!」

「ぶちゅーん!」


早速おばけ達が悪ノリしますが、

あなたは拳を握りながらお線香を彼らに叩きつけます。


…………


「はい……あーーーーん…………」


という声が小さなテーブルを挟んでハモリます。

方やガブリエルママがトリエルにハンバーグを、方やピピがあなたの口に。


先日から何かといがみ合うピピとガブリエルママですが、

この瞬間だけは平和です。


あなたは普段もこうだっらいいのに……

などと心の中で願いますが、やっぱりそんなものは叶うはずもなく……


「ごちそうさまー! あそぼー!」とトリエルが押し入れで何かをゴソゴソ探しています。


そして……


「今日はこれ使おー!」そう言って取り出したのは

(ピピに隠してた)美少女フィギュア。


あなたの顔が凍りつきます。


「……いつ買ったんですか……」

恐る恐る声の聞こえる、その方向を見ると

ピピの目は大きく開かれ、彼女の目は青から赤へと変貌し、


背中からは黒いオーラが、

まるで鉄板の蒸気のように上がってきます。


「いや……これは……」

「まさか……キャストオフ機能なんて付いてませんよね……?」

「あ……う……」

「そうですか……なるほど……人がお金を管理してやりくりをしている中で、

あなたはお金が無いと言いながら、浮気ですか……そうですか」


「ピ、ピピ……」

「トリエルさん、この浮気者()が遊んで欲しいみたいですよ……そこのお人形()で」


「はーい!」


ここでトリエル(破壊神)がシルクハットぽーい! 


天使の輪(ハロー)が「Hello(ハロー)」とピカー!



ゴゴゴゴゴゴゴ……



さあ……浮気をした代償(天使の権能発動)だ。


すると美少女フィギュアは等身大の少女へなり、ギロリとあなたを睨みます。

するとどこからともなく……


デデデ デデデ デデデ デデデ

デーデデテー デデテー デッテー

デーデデテー デデテー デッテー

デッデッテーン


というBGMまで聞こえてきました。


「あなた……どっちを取るんですか?」とあなたに迫り、

ピピも「そうです。決めてください」と詰め寄ります。


「いや……もちろんピピ」とあなたは即答しますが、

これに美少女フィギュアは大激怒。


「この浮気者ーーーーー!!!! 

まじ俺の嫁とか言っておきながらーーーー!!!!」


ドカーン!!


美少女フィギュアのドロップキックが炸裂!!

あなたピュー!

そこにロープとなったアッチがあなたを跳ね返す!


ぐにーーーーーん……びゅーーーーん!


「オラァァァ!!!!」


美少女フィギュアのラリアットがさくれーーーーつ!!

あなたどてーーん!!!


ついでにポンポもボディプレス!


「ぐえーーーー!!」


おばけ達はケラケラ、ガブリエルママは「フッ!!」

ピピは「…………」


トリエルもニッコニコ!!


実家(製造工場)に帰らせていただきまあああああす!!!!」


美少女フィギュアはグルングルンとジャイアントスウィンーーーーーーグ!!!


ドシャーーーン!!!

あなたは家具に大げきとーつ!!


カンカンカン!!


ここでゴングがなり試合終了!!

美少女フィギュアは本当に帰っていきました。


「もうフィぎゃはこりごりじゃ……ガク」


「女王様とお呼び!!」

最後はタンタの尻尾ペチペチを顔に食らってブラックアウト。


…………


その夜。


目が覚めるとピピがベッドの上で膝枕をしてくれてます。

「……もう、あんなフィギュア買っちゃダメですからね」


ピピはそう言うとあなたの頭を起こし、そっとおでこにキスをしました。

正妻は大事にしましょうね。



…………



――――



次回!


「ウリエル様、疲労でボイコットをする!!」


……これ天界、大丈夫ですか?

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