一話「イタズラ好きの天使は神様を怒らせて、恐怖の人間界へ堕天します」
おぼろげな景色とあせた色合いの儚い世界――夢。
この夢の主は寝かされているのでしょう。
視界に広がるのは、飾り気のない白熱蛍光灯と、無機質な白い天井。
古い新聞紙の様なくすんだ世界に、夢の主はいます。
その端には一人の女性の影。
輪郭さえもわからないその姿、しかして「彼女だ」とわかります。
何故でしょうか。
彼女はポロポロと泣いているようです。
姿もわからぬはずなのに、涙だけは認識出来る。
きっとその矛盾は、胸の痛み。
この張り裂けるような悲しみにより「視認」出来るのでしょう。
夢の主は、この女性の笑顔が見たかったはずです。
彼女が見せてくれる笑顔が大好きだったはずです。
しかし――
今、彼女は泣いています。
「……で……な……こと……くの……?
は……は……ん……だ……ら……る……ら」
「天国なんて……必要……ない……でしょ……?」
ここでまぶたの裏が赤くなり、夢の主は目を覚ましたようです。
――――
ここは、雲の上の小さな楽園、またの名を「天界」
ここに、一柱のとある天使が生まれました。
ピンク色の髪に、《《赤》》と《《茶色》》の「オッドアイ」
この特徴的な見た目は他の天使達の目を惹き、彼女「⬛︎⬛︎エル」は大変可愛がられました。
けれど、成長するにつれて、⬛︎⬛︎エルは他の天使達とは違うことが分かってきました。
「さあ、みんな。今日もお仕事ですよ」
人々のお祈りの力の結晶である「光の粒」
これは天界には欠かせないものです。
天使はこれを毎日懸命に集め、愚かな人間共に、
「おいコラぁ! オメエらもっと信仰しろ!」と優しいお願いをしているのですが……
彼女だけがその光の粒を丸めて、
「ほらー! ピンポン球みたいでしょー?」
こんな調子で、隣の天使に投げて遊んでいました。
「ダメよ! ⬛︎⬛︎エル! これは幸せのエネルギーなの!」
「えー! さっき他の天使の子笑ってくれたよー? 笑顔が一番大事だよー!」
(なんで? さっきの子は笑ってくれたのに……)
⬛︎⬛︎エルはこの時、そう考えていました。
誰もが笑顔でいる時が一番なのだと。
なのにその笑顔を作る行動が怒られて、ちょっぴり不満げです。
「わたし、悪くないのに……」
なんで笑顔が否定されるのか、⬛︎⬛︎エルにはわかりません。
…………
そんな日々が続いていた頃です。
「⬛︎⬛︎エル」
この名は、神様が直々に付けてくれた大変価値のある天使名です。
しかし、その名に危機が訪れます。
あまりにも彼女がイタズラばかりするので、「イタズラを仕掛ける天使」として、
「トリエル」と、そう呼ばれるようになっていきました。
そしていつの頃からか、彼女自身も本当の名前を忘れて、トリエルを自認することに……
すると、赤と茶色のオッドアイはいつの間にか赤だけになり、
彼女はイタズラがエスカレートするように性格が急変。
今までよりも幼稚で幼くなりました。
「みんなー! トリエルが笑顔にしてあげる!」
今日もトリエルは神様の趣味の麻雀、その牌を隠して
「麻雀出来んのやけど!?」と慌てさせるなんて序の口。
天使達に「素敵な贈り物だよ」とびっくり箱を配って――
「ばあーーーー!!」
中からはおばけがビヨーン!
これには天使達はビッくらコッココケコッコー!
鶏小屋で走り回るニワトリのように、
両手と翼をバタバタさせて右往左往コケッコー!
「あはは! 面白いねー!」
それはもうやりたい放題です。
でも、彼女に悪気はないのです。
みんなが真面目過ぎて、笑ってほしかっただけ。
「ほらー! トリエルと一緒に笑お? 笑みが一番だよ!」
ですが、みんなは……あらら、苦笑い。
そうして、積もり積もって……
ある日、決定的なやばいイタズラをしてしまうのです。
神様のお気に入りの黄金のリンゴ。
それを、 こっそりチョコレートでコーティング。
そこから 「今日は美味しいチョコリンゴ祭りだよー!」と、
事もあろうに天界中に配ってしまいました。
神様、これには大激怒です。
「こりゃー! トリエル! お前はあまりにも度が過ぎる!
天使としての自覚が足りん! よって、罰として、お家から出ていきなさい!
反省してくるまで、帰って来たら……メッ!」
そうして、トリエルはぽーんっとお家から堕とされました。
それはもう、体育座りで。
「あーれー」
膝を抱えたまま、お空から落ちてる間、トリエルは泣きそうでした。
「確か……人間界って、すっごーく怖いところなんだよね……
暗くて、みんな冷たくて……誰も笑ってくれなくて……」
でも、あら不思議。来てみたら……?
「え……!? 聞いてたのと全然違う……?」
日本のお正月、魅惑の食べ物がいっぱいのコンビニ、おばけが出るという噂の廃墟……
全部が新鮮で、全部がキラキラして見えました。
どうやら天使にとっての「怖い」とトリエルにとっての「怖い」は全く別のようです。
「あはは! 楽しそう!」
これには神様大失敗のテヘペロ!
子犬に対してドックランを与えたようなものでした。
けれど、やった手前、今さら戻せません。
仕方なく見守ることに。
「ワシ……何かやっちゃいました?」
神様のそのボケに、側近の大天使ウリエル様は赤い髪を炎のように揺らし、
ゴミを見るような視線で睨みつけます。
「神様、一週間タバコとビール禁止です」
「そ……そんなあ……」
と言いつつも、神様はちょっと嬉しそうです。
「あと禁煙外来いい加減行ってください。次サボったら……その髭燃やしますよ?」
炎を立ち上がらせて見せて、神様を叱りますが、
いつもの事なのでしょう。
神様はちょっとときめいた表情です。
(このクソジジイ……)
ウリエル様は心の中で神様に褒美を与えないようにするのでした。
――――
一方、トリエルはというと……
あっちへふよふよ、こっちへふよふよ。
糸の切れた凧の様に空中をお散歩中です。
「向こうに面白そうなのあるー」と山の奥の廃墟へ飛んでいきます。
「わー! 面白そう!」
着いたそこは寂れた廃ホテル。
壊れたネオン看板が、もう輝けない寂しさを物語っているようです。
やがてトリエルはその中にためらいなく入っていくのですが、
そこに沢山の黒くて不気味な霊達が――
「お前の……力を……寄越せ!」
「いいよー」
何を思ったのか、トリエルはニコリと微笑み、シルクハットを上へ放り投げます。
すると天使の輪っか「ハロー」が出現し、周囲をパァァ、という眩い光が包みます。
10秒ほどでその光が収まり、辺りが見えるようになると、先ほどまでの黒い霊達は――
「わーい!」と無邪気に遊ぶ白いオタマジャクシおばけに変わっていました。
「みんなー、こーんにーちはー!」
「トリエルさーん!」
彼女は、笑顔一つであっという間におばけ達を手なずけます。
しかし、その時です。
「トリエルさん、奥にものすごい怖いのが……」
その時です。
ここで怖いもの見たさか、人間がお仲間三人と肝試しに来たようです。
「あの人、守ってくれる守護霊さんがいない。危ないかも!」
どうやらあなたには守護霊がいないようです。
彼女はあなたの胸に溜まる黒いモヤを見るなり、先のように断言しました。
「あの人達が危ないから、先にその子とお友達になっておこっか!」
トリエルはそう言って奥へと進んで行きました。
…………
廃墟となったホテルの奥、大浴場にそれはいました。
散乱するガラス、飛び交う黒いオーブ。
その中央に男とも女とも見えない、
もはや人の原型をなしていないものがいます。
「グオォォォ!」とそれはトリエルに襲い掛かります!
「ダメだよ! 悪いことは!」
トリエルはまたしてもシルクハットを投げます。
やがてハローが出現し、その権能を発動させます。
すると大きな霊は苦しみだし、
トリエルに対してまるで助けを求めるように手を伸ばします。
「頑張って! あと少し!」
トリエルは空中へ飛び上がるとそのものの手を掴み……
「おりゃあー!」と引き抜こうと全力で引っ張ります。
「た、助け……」
霊は次第に意識を取り戻し始め、トリエルはあと少しだと確信します。
そして――――
「うりゃあああああ!」
トリエルは渾身の力で霊の手を引っ張りあげます。
霊からは徐々に光が溢れ、人間の輪郭……少女の姿が浮かび上がって来てます。
「やっと黒いの取れたー! トリエルはね、トリエルっていうの! キミは?」
そこに立っていたのは白いワンピースを着た少女の霊でした。
可憐な見た目ですが、感じる力は強大です。
生前、よほど強い恨みや妬みの念があったのでしょう。
少女が立っていた場所からは黒い霧が床に飛び散った水のように霧散し、
そこからおびただしい数のオタマジャクシおばけが、
トリエルの権能により誕生していきます。
ここで、意識を取り戻したのか、少女の霊が口を開きます。
「わたくしはなんというのでしょう」
その声は風鈴の音色のように透き通っていてトリエルの心に響きます。
「ヒミ……ピピ……」とトリエルはその声を音でイメージしたようです。
「じゃあトリエルが付けてあげる……ピピ! 今日からキミはピピね!」
「ピピ……何故でしょう。ひどく懐かしい響きです」
少女の霊はその名が気に入ったのでしょうか。スカートを広げ、お辞儀します。
「お供いたします。トリエルさん」
「えへへっいくよ、ピピ」
トリエルはそうピピと改められた霊に微笑みかけました。
――――
一方、あなた達は薄暗い、旧ホテルの廃墟を懐中電灯片手に横一列でゆっくり、ゆっくりと、
少しずつ……少しずつ、歩いています。
まずエントランス。
辺りは瓦礫が散乱し、コンクリートや木の細かい破片が
まるで川辺の石のように転がります。
壁には誰かが描いた意味不明のサイン。
そして――
パチン!
とラップ音が辺りに響き、コンクリートに反射したそれは、
一層その恐怖を煽ります。
「今ラップ音した!?」
メンバーの紅一点、愛深さんがあなたの肩に手を置きながらビクビクと歩きます。
彼女はホラーが大の苦手です。
「大丈夫だよ。ほら」
そう言って、あなたは指をポキッ。
「これと同じ理屈さ。水分が抜けて木やコンクリートが縮んだ際に、
中の空気が押し出されて音がするんだ」と冷静に原理を説明します。
しかしそんな説明に――
「へへ、そういう割には結構ビビってんじゃねーの?」とあなたの悪友裕二君がツッコミを入れます。
彼はいつもノリが軽く、目立ちたがり屋です。
実際、あなたもそう言ったりはしたものの、
いざこういう場所に来ると音が鳴る度にドキリとし身構えます。
それに何かやたらと、周囲から異様なものを感じます。
いつの頃からか、あなたは霊感が強くなりました。
いわゆる見える人ではありませんが、そういうものを強く感じるのです。
あなたにとって、こうした危険な肝試しは初めてではなく、これで10回は超えます。
最初は悪ふざけ感覚で付き合ったあなたも、現在では悪友の裕二君に誘われるまま、
ズルズルと続けています。
今ではその霊感の強さを「慣れ」と受け取っています。
「やめてよ!」
愛深さんが抗議すると、もう一人のメンバーの俊樹君が何か見つけたようです。
彼は引っ込み思案で依存しがちな性格です。
「……ねえ、向こうで何か動いたよ。どうする……?」
あなたは一瞬、何か得体の知れない気配を感じ取りますが、
気のせいだと言い聞かせます。大丈夫ー?
「よし……行こう」とうなずき、懐中電灯を前に向け、
俊樹君が指さした奥へと進みます。
――――
「よーし、人間さん達がもうすぐ来るよ? みんな、準備はいいね?」
トリエルはそう言うと周囲のおばけ達に指で配置の指示を出し、
おばけ達はすすーっと移動していきます。
みんなニヤニヤと笑ってます。
「そこでいいよー」とトリエルは小声でおばけ達を待機させ、息を殺します。
――――
「なんだよ……俊樹、何も無いじゃん」
一方のあなたはそう言って強がってみせますが、その足は微かに震えています。
「もう帰ろうよー……」
怖がりの愛深さんはあなたにしがみつきながら提案します。
しかし「何言ってんの……ここからでしょうよー! 愛深ー」と裕二君は悪ノリを見せた……
その時です。
奥でトリエルが指で指示を出しています。
そうしてそうっと、空中へ上がるとあなたの頭上へ……
トリエルはニヤニヤしながら、あなたの背後頭上に迫っています。
けれども、あなた達は前を見るばかりで、誰一人気付いていません。
そうして、そうして……
――――
「わーーーーー!!!!!!」
その声が聞こえた瞬間、あなたの心臓は飛び跳ねます。
――そして――
ガチャン!
その弾みで懐中電灯を落としてしまい、完全パニックです。
それを皮切りに待機していたおばけ達が一斉に飛び出します。
「ケケケケケケー!」
彼らは舌を出し、手を振り、ウィンクしてるものすらいます。
こっちはお尻ペンペンしています。
「あはは! 楽しいね!」
トリエルは「茶色い目」を輝かせて笑顔ですが、
あなた達にとっては空から突然来た恐怖の大王そのものです。
「まだまだー! えーーい!」
空から来た彼女、トリエルが指をかざすと、
周囲のおばけ達がまるでシンクロナイズドスイミングの様に綺麗に整列します。
そして、彼女の指の動きに合わせ、
空に虹色の軌跡を描きながら、魚のように宙を泳ぎます。
「ほらほら、綺麗でしょー!」
トリエルはにこりと笑い、さらにおばけ達に指示を出します。
おばけ達はトリエルに敬礼すると、
上空へ一斉に氷の上を滑るペンギンの様な仕草で滑空します。
そして――
「おばけミサイルー」
トリエルが茶色く輝く目でそう言うと、おばけ達は一斉にあなた達に突撃!
「ぎゃあああー」という叫び声が誰からともなく溢れ、
一瞬Gが掛かったような感覚が身体に走り、
何故か一瞬心が温かくなります。
――が、しかしそれも束の間。 すぐに不安に変わります。
おばけミサイルによって抜けたおばけ達、
彼らはあなた達の私物……ライター、ガム等を持っています。
今その内の一匹がライターに火を付けてそれを食べて遊んでいます。
ボウッと火を吹き、これには他のおばけもケラケラと笑い、拍手です。
それに続けと、他のおばけが奪ったガムを食べてぷくーっと風船を膨らませ、
自分も一緒に膨らんでいきます……そして――
パアン!
破裂したと思ったらジェット風船の様にピューっと音を立てて飛んでいき、
さらに小さなおばけが分裂して登場!
もうハチャメチャです!
「最後は……」と、トリエルがそういった時です。
あなた達はあなたを置いて一目散に逃走!
「え!? ちょっと!?」とあなたも逃げようとしますが、たじろぎ足が竦みます。
「ええい! クソ!」
あなたはそう叫び、足元の木の破片を投げつけますが、
目の前のおばけはそれをパク! と食べてしまいます。もぐもぐ。
そうして「おかわりー」と舌を出しあなたに迫ってきますね。
さすがのこれにはあなたも戦意喪失、メンバーの後を追いかけます。
――――
どれぐらい走ったでしょうか。
夢中で逃げ、最初のエントランスまで到着します。
……どうやら巻いたようです。背後に気配はありません。
「肝試しなんてするんじゃなかった……」
あなたは肩で息をしながら震える足を黙らせようと押さえつけます。
その額は汗でびっしょりです。
周囲を見ると、誰も彼も同じようです。
みな息を切らし、膝を支えて立っているのがやっとなご様子。
「誰さ……肝試しなんてしようって言ったの」
そうあなたが周囲のお友達を見渡した時でした。
裕二君、愛深さん、俊樹君、ワンピースの女の子、
それぞれのお友達は責任を押し付け合うように、首をクルクルと回します。
…………
ここであなた達は違和感に気付きます。
今ここにいるのは、あなた、裕二君、愛深さん、俊樹君――
そして……
――白いワンピースの女の子――
…………
一気に鳥肌が立ち、血の気が引くのが分かります。
「……誰、君……」
すると女の子はスカートを軽く広げ、ぺこりと礼儀良く挨拶をします。
「はじめまして、ピピと申します」
瞬間、あっという間に彼女はシーツのおばけに変身します。
「ばあー!」
ピピと名乗ったおばけが可愛く舌を出すと、どこからともなく
ケケケケケケケ……という声までが聞こえてきます。
「またかよー!?」
これにはあなた達は大絶叫です。
命の危険を感じたあなた達は猛ダッシュ。
脱兎の如く、三十六計逃げるに如かず、逃げるが勝ち。
とにかく逃げます。すたこらぴゅー!
――――
途中木の枝に足をかけ転んだり、俊樹君がスマホを落として発狂したりしましたが、
ややあって、ようやく廃ホテルの外に止めた車の前まで来たあなた達。
背後からの気配はなし! 裕二君の車に乗り込みますが……
「早く出せよ!」
「わかってるよ!」
「大声出さないでって!」
とまあ……もう皆パニック寸前です。
ですがここで「キュルルルルル……」と不幸にもエンジンが駄々を捏ねてしまいます。
ガソリンが少なくて、お腹でも減っているのでしょうか?
ちゃんと給油しましょうね?
「クソ! こんな時に!」と裕二君は焦るばかりでエンジンちゃんは
「キュルルルル」と、まるでお腹の虫の様に音を立てます。
これには女の子の愛深さんは「助けてー!」と泣き出してしまい、
俊樹君は「愛深、大丈夫だから」と肩を支え励ましますが、
彼自信も震えています。
ここで、やっとエンジンちゃんはご機嫌復活!
裕二君は勢いよく車を走らせます。
「これでもう大丈夫……」
そう安心したあなた達は、途中コンビニ寄り、
それぞれの家まで送り届けます。
「帰ったら塩撒いとけよ」
「お前もな」
…………
「やれやれ、飛んだ1日だ」
震える手であなたはドアノブをひねり、きい……と
ドアはやや鈍い音を立ててあなたを迎え入れます。
靴を雑に脱ぎ、上着を玄関のハンガーにかけま、念の為外に塩も撒いて……
「よし……」
これでいいはず……あなたは力なく歩き、
キッチンでコーラをもう一発キメて部屋へ。
「あー………大変だったー……」
「そーなんだー? 大変だったねー」
(もー! 一言だと思って……)
あなたがそう言い返そうとした時です。
「……ん? え? 一人暮らし………なんだけど……」
あなたは恐るおそーる、顔を上げます。
目の前に何やら良くない影が見えます。
あなたは目をパチクリ、パチクリとします。
目の前のソファに座っていたのは廃墟で会った女の子っぽいなにか……
「いや待て……」
「トリエル、憑いて来ちゃった!」
トリエルと名乗ったそれでした。
なお彼女はテレビのリモコンを両手で持ち、
「おー」と言わんばかりに興味津々でアニメを見ています。
ポカーンとあなたは言葉を失ってると、
「あれー? もう驚かないんだー? まあいいや」
トリエルは「よいしょ」とソファから降りると、
トリエルは空いたポテチの袋を突き出し……
「おかわりー」と催促してくるのでした。
(は? なに? なんでいるの? え?)
「憑いて来た」って言った?
などと、あなたの頭脳はフル回転で思考を走らせます。
けど、それとは別に完全にあなたは呆気失語。
あまりに予想外すぎて言葉を失っています。ぽかーん。
「ねえ、おかわりー」
「いやその前に塩撒いとけよ!? 変なの来たらどうすんだ!?」
やっと出た言葉が変なツッコミでしたとさ。
今まさにその変なのが来ているのですが……
あなたの夜はまだまだ、長くなりそうです。
――――
【次回予告】
――BGM――
♪ディン ディディディディディンディディーン
ついに降りてきた恐怖の大王!
あなたは諭吉を手にコンビニでポテチを買う!
大王にポテチ買収は通用するのか!?
なに!? コーラも必要!?
大変だ! コーラはないぞ!
次回! 落ちてきた天使と同居することになった件。
「天使は一度守護(取り憑く)と離れられないそうです」にご期待ください。
聞いてないよー! (言ってないもーん)




