外界からの脅威 7
「おいおい、なんだぁ、これは……!!」
戦っていたポットバックは天井や壁すら溶かして流れ込んでくるこのエネルギーに困惑していた。しかし、弓聖ウェルベス・コットロルは警戒を解くことなく、弓をゲーブルに向けて構えていた。
しかし、ゲーブルもまた予想外の出来事のようで動きが完全に止まっていた。
(これほどの膨大なエネルギーを秘めた流体……何が起こってるのか分かんないけど、シャルチフ会長の仕業だろーねー。ダイモン以上の何かを生み出そうとしてこの結果かー。あのポットバックって奴も思考を乱してきて戦いにくいし、脱出したいんだけど……)
周囲を見渡すが、あちこちから流れ出るエネルギー……もう逃げ道はなさそうだ。
(まっ、人生こんなもんか。あっけない最後だったねー)
三人はこうして何が起こっているのかを理解することなく、飲みこまれていく。
このような状況だというのに、ザンクウとベスは激しい戦いを続けていた。……戦いとは言ってもベスはザンクウの攻撃を避け続けることしか出来ていなかったのだが。
ゴォン!と凄まじい勢いと殺気で振られていく刀を必死に避けながらベスは叫ぶ。
「おいおい、これはさすがに一時停戦すべきじゃないか、師匠!?」
二人の周囲にもどんどんエネルギーが流れ込んでおり、城の壁や天井がドロドロに溶けてきている。そしてとうとう、大きな波となって二人をエネルギーは飲み込もうとしたその時──
「ふんッ!!!」
それは一太刀だった。その一太刀だけで刀で波を断ち切り、押し寄せてきた全てのエネルギーを一斉に返してしまう。まさに神をも超えた業。
「これで問題なかろう。続けるぞ!!」
「マジかよ、この人!!」
ベスとザンクウは周囲が飲まれていく中、変わらずに戦いを続けていく。
こうしてエネルギーは城の外まで漏れ出ていく。どうやら壁がダムのような役割をしているようで、最初は解けた壁の一部からドロドロと、ゆっくり溶岩のように出ていた。しかし、壁がとうとう耐え切れなくなり、ドッ!と壁が決壊し、津波となって周囲へ広がっていく。
「なんだ、あれは!!」
「退避だ、退避!!」
多くの冒険者、兵士、敵味方関係なくそれは叫び、逃げていく。負傷した者やもう動かなくなってしまった者たちは置いていかれ、あっという間にエネルギーに飲まれていく。もう逃げ切れないと察した者たちは魔力砲台などの兵器の上に乗って少しでも高い場所へと避難する。
「早くのぼれ!」
冒険者が登ろうとしている者へと手を伸ばす。しかし、それは敵であるメイガス・ユニオンの兵士であった。先程まで殺し合いをしていた相手だ。信用、信頼などあるはずもない。だが、兵士は迷うことなく手を掴み、冒険者も迷いなく引き上げる。
もう争っている場合ではない。
あちこちで不安、恐怖、困惑が飛び交っている。まさに阿鼻叫喚の地獄だ。
一体、何が起こっているのか?
自分は生きて家に帰るのか?
共に戦っていた戦友はどうなってしまったのだろうか?
分からない。
だからこそ、彼らは何も言わずに助け合い始める。
ここから生き残るために。




