悪夢の再開 4
アナーヒターが何かしようとしている。それに気づいたミトラは光の球体による攻撃を受けながらも、剣を強く握り締め、歩き始める。どんどん攻撃速度が速くなり、威力が上がっていく。だが、一歩、また一歩とラツィエルへと接近していく。
「はははっ、必死ですねぇ!!ですが、無駄ですよ!!」
ラツィエルはさら自身の力をこの宇宙空間に広げていく。
そして、あちこちに輝く星からレーザービームのような光の線が発射。ミトラの体に穴を開けていく。
「ッ!」
皮膚を焦がし、筋肉を焼いて、内臓すらも溶かしていくその熱線。しかし、まだ諦めない。
彼女は止まらない。
「良い覚悟だ、ミトラ!このままゴリ押していくぞ!」
アナーヒターも、いつのまにかラツィエルの背後を取っており、杖を大きく振り下ろす。が、やはり彼に到達する前に杖は何かにぶつかったように、カァン!とはじかれ、ノックバックを受ける。
「もっと先輩は賢い方だと思っていましたが、そうでもないようですねぇ!」
ラツィエルが右手を振りかざした瞬間、アナーヒターの杖を持っていた右腕がぶちぶち、と嫌な音を立てる。どんどんその音は大きくなり、そして、とうとう付け根の部分から大きくちぎれてしまう。
「ァっ!」
アナーヒターは左手でちぎれた断面を抑えながら、うずくまる。
「これで先輩はしばらく動けないでしょう!あとは剣聖ミトラ、アナタだけです!」
そう言って再び光の線を放出。ミトラの体を串刺しにしていく。
痛い。
苦しい。
でも──
血だらけになっても、身体中から血が吹き出していても、ミトラはゆっくりと脚を動かしていく。そして、ラツィエルを睨みつけるその強い眼光は──
「……は、ははっ!強い執念、恐ろしい!けど、思いだけで私を倒せるとは思わないでください!!」
光による攻撃が止む。と思えば、今度はミトラに襲いかかるのは強い熱風。電子や粒子が擦れることでプラズマが発生。熱量だけでなく、雷も彼女を攻撃してくる。風圧だって、凄まじいもので、今にも吹き飛ばされそうだ。
だが、耐える。
前に進む。
こんな所で諦めるわけにはいかないから。
「必ず、お前を倒して進む……!」
その言葉に、ラツィエルは酷く怯え始める。
勝っているのは自分だ。
圧倒的優位に立っているのは自分のはずなんだ。
なのに……。
このミトラという人間の女のこの自信と言動は一体どこから──
「油断したな」
それは背後から聞こえてくる。そして、次の瞬間、声と共に胸を貫くのは一滴の赤い水。まるで弾丸のように、小さく、高水圧で放たれた水滴であった。
「ははっ、やっぱりな。お前の権能には穴があった!」
そう言って、どんどんちぎれた右腕から漏れ出る血を操作し、まるでガトリングのように勢いよく、発射していく。




