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転生令嬢、卒業パーティーで運命の告白を待っていたら、毒舌幼馴染しか隣にいませんでした  作者: 白波美夜


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1 乙女ゲームのヒロインのつもりが、攻略対象(仮)全滅寸前です

私には、学園生活における……いや、人生における目標があるーーそれは、学園の卒業パーティーでイケメンに告白されること!!


リエラ・アーヴィングとしてこの世に生を受け、3歳の時気づいた。

私!転生している!!


憧れた転生が自分の身に起きるとは!気づいて真っ先にしたことは、自分の全身チェックだ。

ピンク色のウェーブした髪、アクアマリンを思わせる瞳、抜けるような白い肌に、少しぽってりとした唇。


(勝った……!これ絶対、乙女ゲームか恋愛小説ヒロインへの転生だわ)


次に確認したのは、転生先の世界観。

Q魔法はある?ーーNo。

じゃあ、聖女パターンはなし。魔王とか魔獣いなくてほんとよかった……!

Q貴族社会?ーーYes

私は伯爵令嬢なので、庶民ヒロインが特別な力を発揮して……みたいなパターンじゃないわ

Q有力貴族が集う、伝統的な学園はある?ーーYes

…….と言うことは、ゲームだか小説だか知らんけど、この学園で、私はめくるめく運命の人に会うために転生したのねーーー!!


転生したからには、その世界観に則るべきである。

前世から、思っていた。

もし転生したら、自分の全てを賭けて努力し、その世界を堪能しようと!!

だからもう、そこからは一直線だ。

私は、運命の人(仮)のために、日々努力した。


美を磨き、教養を高め、ダンスに勤しみーー。

ちょっと庶民派なヒロインの方がいいかもしれないと思って、貴族に不要な料理の勉強をした(自分好みに作るクッキーは最高に美味しい)

顔だけはいい、すっごく嫌味な幼馴染が6歳でできた時も、無視したかったけど“幼馴染設定“は重要だと思って、渋々相手してやった(ほんとあいつは性格が悪い!)

幼馴染の取り巻きに囲まれた時は、いずれくる、ライバルとの恋愛バトルの練習ーーと思って、コテンパンにのした(武道だって身につけた。私は最強ヒロインよ!)

学園に入学してからは、好成績を常に維持し、友人を作り、イケメンたちをチェックして、親しくなった。


とにかく、ありとあらゆることをしたはずなのに…はずなのに……なんでこうなるのよーーー!!!


「マリア嬢、どうか僕の気持ちを受け入れてくれないだろうか?」

「……嬉しいです、シャル様」


目の前では、もーのすごいイケメン(シャル様)が、これまたモーレツに可愛い少女(マリア嬢。顔もかわいいがおっぱいがもうたまらん)に跪いて、花を差し出している。マリア嬢は、瞳に涙の膜を作り、嬉しそうにそれを受け取っていた。


「な、な、何あれ〜〜〜〜〜〜!!!!」


それを見て、私は小声で叫ぶことしかできなかった。

うそでしょ!?嘘でしょ!?シャル様が私の運命の人じゃなかったの……!!??

ついこの前「リエラ嬢といると落ち着きます」ってはにかんでたじゃない。え、勘違い……?


「……うるさい」


私の思考を邪魔するような気だるげな声。振り返らなくてもわかる。幼馴染として、何年も聞いたこの声ーー


「ジル!見てよあれ、どう言うことだと思う!?」

「どうもこうも、シャルは昔からマリア嬢一筋だったろ、気づかなかったお前が逆にすごいわ」

「え…….だってこの前、私とデートしたよ?カフェでお茶したんだよ?」

「……デートじゃない。マリア嬢の好きな雑貨店にお前が案内して、お礼としてシャルがお前にケーキをご馳走しただけだ」

「……でも、私といると落ち着くって言ってたよ!?」

「そりゃ、モテる男からしたら、自分の惚れた女の趣味嗜好をよく知っていて、自分に色目を使わない女は気が楽だろうよ」

「え!?私、シャル様狙ってたんだけど……」

「へー。具体的にはどんな感じで?」


ますい。

なぜかジルの機嫌がどんどん悪くなっている。出るぞ、不機嫌全開の毒舌モード……


「運命の人ならやっぱり告白は卒業パーティーで、でしょ?ロマンスが生まれるように、理想の卒業パーティーの過ごし方をレクしたり」

「それ、完全にマリア嬢との付き合いに向けたアドバイスだと思われてただろうな」


絶句、とはまさにこのことだ。

私は、将来シャル様が私に告白しやすいよう、さりげなーく、恋愛小説にありがちなネタを教えてあげてただけなのに!!


「そ、そんなバカな……!!」

「バカはお前だ、間抜け」


そう言って冷ややかな瞳で見てくるジルが憎らしい……!

こいつはいつもそうだ!この世界のヒロイン(自称)として日夜努力している私に難癖つけてくる。

そのくせ、他の女性には紳士的なせいで、こいつの悪口を言うと、私が悪い、みたいになる。もう許せん!!

ぎろり、と彼を睨みつけると、ジルの切れ長な紫の瞳がコチラを見ていた。


「くっ……!イケメンめ……!!」

「お前いっつも言うけど、それほんとなんなんだ?」

「うるさい、うるさーい!!見てなさい!私は絶対に、卒業パーティーで運命の人(確定)に愛の告白をされて、人生を謳歌するんだからーーー!」

「はいはい、残り1ヶ月、せいぜいがんばれば?残ってる運命の人(笑)候補、あと1人だけだろ?」

「違いますー!まだ3人いますーっだ!」

「ルシファーとカイン含んでるか?その2人はもうダメだぞ」

「……なんで!?」

「お前なんかに引っ掛かったら可哀想だろ?俺がお前のガサツで食い意地が張ってるとこ、きちんと教えてやったんだよ。あいつら、引いてたぞ」

「〜〜〜〜〜っ!なんて余計なことを。あなたのせいで、私の運命の人候補が減ったじゃない!!」

「こんなことでお前に興味失う男は、どっちにしろ運命の人じゃないし、いいじゃないか」


バカににしたようにジルが鼻で笑ってくる。

輝く金髪に紫の瞳、背が高くほっそりしたジルはまさに美男子。見た目だけなら運命の人候補ではある。だけど…こいつのこの性格の悪さ、こいつは絶対にない!!!

と言うことは……


「待ってて!エドガー様!あなたの運命の人が今そちらに向かいます〜〜」


私は最後の運命の人候補ーーエドガー様を探しに、校舎に戻った。

背後から、ジルのため息が聞こえるが、そんなことは知らん!!


ーーーーーー


鼻息荒く向かった先は、騎士科の訓練場。

エドガー様はこの時間、よく自主練習をしている。

放課後、ひとり黙々と剣を振る姿は男らしさに溢れ、見るものを魅了する。汗で額に張り付いた黒髪、引き締まった腕、真剣な横顔――間違いない、彼が私の…..「リエラ・アーヴィング」のヒーローだ!


「エドガー様! 差し入れ、持ってきました。水分補給をしてください」


騎士は、運動ができて、溌剌とした明るい女の子が好きだ(私調べ)。

前世の記憶を頼りに、蜂蜜とレモン、それに少しの塩を加えた飲み物を渡すと、エドガー様は顔を輝かせた。


「リエラ嬢!いつもすまない。助かるよ」


エドガー様が受け取る時に、腕から除く血管がたまらない。

普段、寡黙な彼が私にだけ見せてくれるこの満面の笑みーー見てなさい、ジル!私は今度こそ、うまくやるんだから。


(……にしても、エドガー様の笑顔が私の手元に……ドリンクに向かっている気がするのは、気のせい……よね?)


と、そこで気づいた。訓練場の隅、木箱の陰に隠れるようにして、誰かがこちらをじっと見ている。

地味な三つ編み、大きすぎる眼鏡、いつも俯きがちな女の子――同じクラスの、確かノエルさん。


「あら、ノエルさん、こんなところで何してるの?」

「ひぁっ……! い、いえ、その……」


わたわたと慌てるノエルさんの視線が、明らかにエドガー様の方に何度も泳いでいる。


(……おぉ!ライバルイベント、発生?)


これは、乙女ゲームでよくあるイベントでは。

このライバルイベントで恋敵と時に切磋琢磨し、時にガチンコでぶつかり合い……そこで勝利を収めれば、告白ルートまっしぐら、というやつね!

であれば、やることはひとつ。


「あなた、エドガー様のことが好きなの?」

「え!?ち、違います……私は、えーっと……その」


ノエルさんが私を上目遣いで見つめ、顔を真っ赤にさせる。

彼女の手元には、マフィンのようなお菓子が握られている。


「それ、差し入れ?」


彼女は気まずそうにそれを後ろに隠し「いえ、えっと…….その…..」ともじもじしている。

可愛い。

とっても可愛らしい。でも、許せないことが一つある。


「あなた、汗をかいた人に甘ーい、粉っぽいものを食べさせる気?」

「……え?」


これは、まずい。彼女の差し入れは明らかに訓練中の騎士に渡すものじゃない。

彼女の全身をじっと見る。

地味な三つ編み、メガネーー差し入れも微妙。


(ライバルとして役不足感が半端ない…..これじゃライバルイベントが発生しないじゃない!!!)


じろり、とノエルさんを見ると、彼女は怯えたように肩を振るわせた。


「あなた、エドガー様が好きで私と張り合おうと言うなら……」

「……え?なんの、ことです?」

「今のままじゃだめよー!私が、鍛えてあげるわ!!」

「……はい?」


こうして、私のノエルさんライバル化計画が、始まった。

前作「転生したら酒好きがバレて、王子に八年間こき使われました——それでも、嫌いになれなかった理由」もぜひお読みください、日刊ランク入りした作品です!

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