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救国の双子~聖女アリスは夢を見る~  作者: 日出祐祈
第二章

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湖畔会議(5) side:スワン 


 そういうことか。一連のクリスの不可解な行動の意味を理解する。が、一瞬ひやっとした。体調不良でなくて、よかった。


「皆様もご存知の通り、スクイレル産のベリーは鉄分豊富で、見事なまでの真紅の果実です。私も昔、怪我で出血をした際、よく食べるようにと勧められたのですが、どうにもあの血液に似た果汁が苦手でして……。ですが、今はそのようなことを言っている場合ではありません。どうでしょう、スクイレル国の外交官であるジョルチ殿。持参してはいませんか」


 それとなくベリーの特徴を知らせると、ルカン様とマスティフ様が察したように目を細めた。


「も、持っているわけないだろう……!」

「本当かねえ? ベリーくせぇんだがな、さっきから」


 否定するジョルチ殿を、逃さないとばかりにマスティフ様が追及する。

 ここは畳みかけるべきだろう。そう判断し、私はアレクトールに視線を送り、箱を持ってくるように告げた。

 心得たとばかりに円卓に歩み寄ってきた彼から箱を受け取り、私はそれを卓上に置く。


「いただけるベリーがお手元にないようで、残念です。ところで、傷はどれほど深いのでしょうか」

「な……か、関係ないでしょう! まだ出血が止まらなくて、早く帰国したいのだ、こちらは! 下手にごまかさず、さっさと真実を話していただきたいものですな!」


 手負いの獣ほどよく吠える。


「失礼しました。ですが、心配しているのです。と、言うのも、実は私共もここへ来る途中、奇襲に遭っていましてね」

「ふ、ふんっ、不利な立場になった途端、被害者になりすます魂胆か! 見え透いた嘘を、よくもぬけぬけと……」

「賊徒は護衛官が仕留めましたが、問題はやつらが乗っていた乗り物です。やつらは、この大陸では存在しないはずの飛竜に乗っていました。飛竜相手の戦闘は、我々としては想定外。そのため、会議内で情報共有し、注意喚起するつもりだったのです」


 説明しながら、私は手元の箱を開け、中身を掴んで掲げる。


「飛竜の脚です」

「ほう、禍々しいな」


 ルカン様がじっくり見たそうだったので、手渡す。焦げてはいるが、鋭利なままの爪を指先でなぞりながら、彼女は三国の代表者を見やる。


「まさか、おぬしらを奇襲した者も、飛竜に乗っていたのか」

「……え、ええ、そうです」

「飛竜を仕留めることはできなかったが……」

「ほう? では、その怪我は飛竜に?」

「…………い、一瞬のことだったので、はっきりとは……」


 仮面と黒髪の設定は、もういいらしい。





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