14話 王国の成り立ち
大変お待たせいたしました!!
読み書きは先生から合格を告げられた。そのため、残りの時間は別の勉強をするらしい。けど、何するんだろう?
「そうですね…今日は、歴史を学ぶ事にしましょうか。」
「はい!」
歴史っ!私は生粋の箱入り娘として育てられ、街にすら行ったことがないのだ。もちろん、この国の事などほとんど知らない。
私が知っているのは、乙女ゲームに出てきた設定のみ。具体的には国の名前がシェーンハイト王国であること、第二王子(つまりは第一王子も)がいるっていう事だけ。
言うまでもなく、周辺国の事も何も知らない。そもそも周りに国ってあるの?まあ、世界征服とかしてないだろうし、あるんだろうな。
あ、そういえば攻略対象に、『帝国からの留学生』っていう肩書きの人がいたな。きっと近くに―〇〇帝国―とかあるんだろう。
「アレックスは歴史はどこまで知っていますか?」
「ほとんど何も知らないです…。」
「分かりました。では、しっかり覚えていきましょうね。貴族として、仕える国と周辺の国については大切な知識なんですよ。」
「はい、頑張ります!」
「では、今日はまず私達の今いるこの国、シェーンハイト王国の成り立ちについてお話ししましょうか。」
おっ!建国記ってワクワクするよね!やっぱり英雄とか出てくるのかな?
「お願いします!」
「まず、この世界には『人族』と『魔族』2つの種族が住んでいます。その他に、知性を持たない『動物』と『魔獣』もいます。」
えっ!?この世界、『魔族』とかいるの?絶対に敵対してる奴だよね?これホントに乙女ゲームなの、ってそういうやつだったよ…。さすがデート中に魔獣とエンカウントするだけあるな。
「人族と魔族は昔から争い続けています。と言うと対等に戦っている様に聞こえますが、一方的に人族が蹂躙されてきました。魔族は人族に比べ、肉体能力においても魔法行使能力においても、圧倒的に優っているのです。」
うわあ…人類滅亡の危機って感じ。でも、今は普通に暮らせているわけだし…ん?実はずっと戦争中…な訳ないよね?平和そうだし。屋敷の外の事ほとんど知らないけど。
私が内心首を傾げていると、それを読み取ったらしい先生が答えてくれる。
「魔族との戦いは、今は行われていませんよ。魔族は魔族同士の争いで忙しいようですから。」
「魔族同士の争い…ですか?」
同族嫌悪ってやつかな?…違うか。適当な事考えるのはやめよう。うん。
「はい。そう言われています。そこに至るまでには長い長い歴史があるのです。
かつて、まだ人族に王が居らず、魔族には魔王がいた時代…」
魔王とかいるのか…。もう突っ込めないわ。
「人族は魔族に脅かされる毎日を送っていました。見つかったら最後、ひ弱な人族に生き残る道はありません。そこで彼等は小さな集団ごとにまとまり、魔族に見つからないよう祈りながら、びくびくと隠れ住んでいました。それでも、日々少なくない人数が犠牲になっていました。
そんな中で、1人の青年が立ち上がりました。彼こそ後のシェーンハイト王国初代国王となる、勇者フィリップ・シェーンハイト。
彼は戦闘能力の高い仲間を集めました。彼と共に戦いに赴いたのは、聖女 、魔導士、拳闘士、狩人の4人。彼等は人族の安寧の為に戦い始めたのです。
戦いは段々と壮絶を極めて行きます。しかし、彼等は諦める事なく戦い続けました。来る日も来る日も…。」
たった5人で人族に平和をもたらしたって事ね。勇者って言われるだけあるって訳か。
「彼等がどのような戦いをしたのか、残念な事に詳しくは分かっていません。記録が残っていない上に、彼等は多くは語りたがらなかったと言われています。ただ、その後に見つかった手記によると、筆舌に尽くしがたいものだったようです。」
そこまで言われると、聞きたいような聞きたくないような…。
「過程は分からずとも、結果は皆が知っている通りです。『勇者一行による魔王討伐』『人族が安全に暮らせる王国の建国』この2つの偉業と共に、英雄達は人族をか一箇所に集めました。その土地がここ、シェーンハイト王国となり、現在に続いているのです。」
うわあ…。次元が違いすぎてよく分からないけど、なんか凄いんだなって事だけ理解した。でも…
「セレス先生。質問なんですが。」
「はい。なんでしょうか、アレックス?」
「魔族が内乱しているとしても、なんでここまで来ないのですか?」
「それは、この王国の立地が大きな要因ですね。ここは陸地の端、しかも魔族の支配領域から1番遠い所にあります。さらにここからでは見えませんが、この王国は『魔の森』と呼ばれる深い森に囲まれています。名前の通り魔獣が多く生息しており、魔族にとっても厄介な場所なのです。」
「では、人族はどうやって住んでいるのですか?」
「人族は魔族から隠れ住んでいたと言いましたね?その時に、魔族以外に魔獣の襲撃を受けることも多くありました。そんな中で、魔獣の嫌がる匂いの研究や、魔獣に対抗する戦い方の構築などがなされました。今の人族があるのは、そのお陰ということです。
今も周囲の魔の森から魔獣は襲ってきています。しかし、初代国王が作り上げた職業である『冒険者』と、彼等をまとめる『冒険者ギルド』という組織によって効率的に狩っているんですよ。」
冒険者!ワクワクするね!
…でもあんまり関係無いかも?私は完璧令嬢目指すわけだし。
「あともう1つあるんですけど…
初代国王以外の人ってどうなったんですか?」
1ヶ月半程も期間が空いてしまい、すみません。
用事が立て込んでしまって…
これからも不定期投稿になってしまうと思いますが、続けてはいくので、暇な時にでもちらっと覗いてくれると嬉しいです!