第78話
第78話「調査とお隣さん④」
千乃さんにはベンチで待っていてもらって僕は近くの店に飲み物を買いに行くことにした。飲み物を買って千乃さんのところに戻るとよくわからない男の人が千乃さんに絡んでいた。
「ねぇ、姉ちゃん俺と一緒に遊ばない。一人でしょ」
「一人じゃないです。人を待っているんです」
「そう、そう嘘つくなって」
「しつこいです。やめてください」
周りの人達は面倒事に巻き込まれないように見て見ぬふりをしている。文也くんお願い早く戻って来て。
僕は今体が勝手に動いていた。そしてその男の腕を掴んでいた。
「千乃さんから離れてください」
「なんだお前?」
「俺は、……俺はこの人の彼氏だ」
「チェッ、男持ちかよ。もうそんな女興味ねえよ」
そう言って男は去って行った。そして周りの人達から拍手された。
「文也くんありがとう」
「大丈夫ですか?怪我はないですか?」
「うん、おかげさまで大丈夫」
「飲み物買って来ましたよ。飲みますか?」
「うん、ありがとう」
まだ千乃さんの体が震えている。よっぽど怖かったのだろう。当たり前か。自分より大きくて強い人に絡まれたらさぞ怖いだろう。そんな震える千乃さんの手を握った。
「大丈夫ですよ。もう大丈夫」
その瞬間私の中で何か緊張の糸のような物がプツンと切れた。そして涙が溢れてきた。私は文也くんを抱きしめて泣いていた。
「文也くん、文也くん、文也くん、文也くん」
「はい、僕はいますよ」
「怖かったのめっちゃ怖かったの」
「そうですね。よく頑張りましたね。千乃さんは偉いですよ」
それからどれくらいだろうか泣いている千乃さんの手を握り続けて背中をさすりながら泣き止むまで待っていた。だけど中々泣き止まなかった。今回の人はかなり大きくて怖い感じの人だったのが余計怖さに拍車をかけたのかもしれない。
「大丈夫ですよ。大丈夫。僕がついてますから。何があっても千乃さんは僕が守りますから」
そう言った瞬間千乃さんはピタッと泣き止んだ。そしてずっと僕のことを抱きしめていたがスッと離れた。
「今の言葉本当?」
「本当ですよ。何があっても千乃さんは僕が守りますから」
「絶対だよ。約束だよ」
「約束します。泣いてたらせっかくのデートが台無しになっちゃいますよ。だから次のアトラクション行きましょう」
「うん」
「そうですね〜、ゆっくりできそうなんで観覧車とか行きません?」
「いいね観覧車。行こう行こう」
今は私を気遣ってくれる文也くんの気持ちが何よりも嬉しい。
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