第4章 厄災の街 ナミヤ教グレデス教会③
「ブラインドの魔道を覚えておいてよかった。」
ルークは姿を消すことが出来た。但し気配
は魔道では消せない。ルークの腕を上回る達
人には気配を読まれてしまうかも知れない。
ルークは慎重に慎重に換気口を進むのだった。
途中いくつかの部屋の上を通った。幾部屋
かは誰も居なかったが人のいる部屋もあった。
少し緊張しながら通り過ぎようとすると部屋
に居る二人の人物の声が聞こえて来た。
「殺してしまうと、それはそれで拙い事態に
なるだろうに。」
「いや、殺しはそうですが、病死なら問題な
いのでは?」
「全員か。」
「そうですね、ここの秘密でも知られない限
りはそのまま返してもいいのですが。」
「記憶操作もしないでか。」
「できる魔道士が今ここには居りませんので。」
「肝心なときに役に立たないギルドだな。そ
れでは最恐の闇ギルドの名が泣くぞ。」
(闇ギルド?)
「その名はあまり口になされない方がお互い
の為だと思いますが。」
「判っておる。お前たちの儂の関係は絶対に
教会には知られるわけにはいかん。だが、奴
らを亡き者にするのは儂の手の者で、との思
いが強いのだ。儂はロスに儂の王国を作る。
お前たちはその手助けをして報酬を得る。そ
れでいいではないか。」
「ご布教の方はいかがなされますので。」
「布教?そんなものどうでもいいわ。兄が教
皇をやっているからこんな宗教の要職に就い
てやっているだけで儂は元々カース信者だ。
だからお前たちとも付き合うのだ。」
カースは闇、絶望、邪悪の神だ。闇ギルド
『終焉の地』も崇めている。邪教の一派が信
仰するシャロン十神の一柱だ。本来まともな
神経の者が信仰するものではない。破滅を呼
ぶ神なのだ。
(このままだと全員殺されてしまうな。)
来た部屋からのルートと脱出できるルート
を頭に叩き込んでルークは元の部屋へと戻る
のだった。




