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第六話 無限学園校則第一条 学園長に逆らうこと=極刑

作者から皆さんへ


半年ぶりの投稿になると思います。

プライベートの事情により投稿が遅くなってしまい楽しみにしていた皆さんを待たせてしまったこと深くお詫びいたします。

仕事も私の精神もだいぶ落ち着いてきたので執筆を再開しますが、仕事に関してはどうすることもできないので、また執筆が遅れることがあるかもしれません。

ですができるだけ早く投稿できるようにしていきたいと思っています。


こんな不出来な私でございますが、なにとぞ応援よろしくお願いしますm(_ _)m


【結希視点】


 今になって思うことがある。自称人魚を名乗るカレンさん、変な人天堂恭介さん、さらに勇者響子さん、この学園に通う人達はかなり変わった人が多い。こんなラノベに出てきそうな学園に思わず、「この学園はラノベか!?」と心の中で訳の分からないツッコミをいれた。

 さて、今の状況について説明しておこう。かなり変わった人の一人であるカレンさんの理不尽な制裁が終わったあと、カレンさんは「遅刻するから先に行くね♪」と言い、その場で別れた。

 僕も行こうと思ったが、恭介さんが「ここの学園長に挨拶しておけ」と言われ、現在恭介さん、僕、響子さんと共に、学園長の部屋に向かっている。

 響子さんが付いて来るのに対し「なんでお前まで?」と恭介さんは言った。響子さんは「べ、別にいいだろう! 私は……結希の保護者みたいな者だ!」と言った。響子さんは僕の保護者じゃないのにな……まあいいか。響子さんと一緒にいるだけで安心だ。でも彼氏(恭介と思い込んでいる)と一緒というのは複雑な気分だな……。

 校内の階段を上がり、三階まで辿り着き、それからしばらく廊下を歩く。なんでこの学校はこんなに広いのか考えていると、目的の場所に着いた。

 ボス部屋のような大きな扉がある部屋、表札には『学園長室』と書かれている。


「こ、ここが学園長室? なんかボス部屋みたいですね……」


「その認識はあながち間違っていないぞ」


「へ?」


「まあ入れば分かる。入るぞ」


 恭介さんは扉の前に立ち、ノックをした。


「由美、転校生を連れてきたぞ」


『どうぞ~♪』


 中から明るい女の子の声が聞こえてきた。その声を聞いた恭介さんは扉を開け、手招きをする。


「入れ」


 僕、響子さん、恭介さんの順番で入った後、恭介さんが扉を閉めた。

 そして室内をよく見ると、驚くべき光景が目に映った。

 まず驚いたのは部屋にいる女の子だ。肩まで伸びた茶髪、アイドルのような可愛い顔つき、そして笑顔が似合う。まさに美少女、もしくは天空から舞い降りた天使みたいだ。こんな可愛い女の子がこの世界にいたなんて……。すごく驚いたよ。

 次に驚いたのは部屋の状況だ。一体何があったのか、女の子の後ろの大きな窓ガラスが豪快に割れているのだ。誰かがあの窓から飛び出したような感じがするが、それはあるまい。そんなことがあったら、この高さだ。絶対に死人が出て大事になっているはずだ。


 そして一番驚いたのは……目の前の女の子の持っているものだ。あれは見間違いでなければ、木を伐採する際使うチェーンソーだ。なぜ可愛い女の子がニコニコ笑顔を浮かべながら、チェーンソーを持っているのか、その時の僕は理解できなかった。

 そんな時、隣にいる恭介さんが冷や汗をダラダラかきながら、ガクガク震え始めた。どうしたんだろう? 風邪でも引いたのかな?


「ゆ、由美……? な、なぜチェーンソーを……?」


「お帰り恭介♪ それと……結希君だよね? ようこそ無限学園へ♪」


 笑顔でそのような挨拶をしたけど、手に持っているチェーンソーのせいで歓迎されている気分になれない。とりあえずどこか別のところに置きませんか、それ。


「私はこの学園の学園長、千堂由美。よろしくね♪」


「あ、これはどうもご丁寧に……って、学園長!?」


 さらなる驚き。目の前の女の子は学園長だという。しかし僕の中のイメージでは学園長というのはおじさん、おばさんといった年長者が勤めているから、目の前の彼女が学園長だと言われても信じられない。


「詳しい話をするから向こうの部屋に行って待ってくれないかな?」


 学園長が指差した方向に一つの部屋があった。あそこで待てということかな。僕は学園長の言うとおりに部屋に向かった。僕と響子さんが入った後、恭介さんも入ろうとしたが、学園長がいきなり恭介さんの首根っこを掴み、入らせようとはしなかった。恭介さんは冷や汗をかきながらゆっくり首を振り向く。するとそこにはニッコリ笑顔を浮かべている由美の顔があった。


「恭介♪ ちょっと用事があるんだけど♪」


「お腹の調子が悪いんで早退します!!」


 恭介さんは学園長の手を振り払い、出口のドアに向かって走る。だが学園長はすぐさまポケットからリモコンのような物を取り出し、ポチッとボタンを押す。すると押したと同時に、出口のドアからガチャという音が聞こえた。どうやら遠隔操作で鍵をかけたようだ。その証拠に恭介さんがいくらドアノブを回しても、扉が開かない。


「だ、出せぇぇぇぇーーーー!!! 学園長が暴挙に出たぞ! 生徒を拉致監禁しやがったぞ! 誰か助けてくれーーーー!!!!」


外に助けを求めている恭介さんであったが、悲しきことにその声は誰にも届かなかった。


「あ、あの……」


「結希君はそこの部屋に待っていて♪ すぐに終わるから♪」


「結希行くぞ」


「え!? 響子さん!?」


 響子さんは助けを求めている恭介さんを無視して部屋に入ろうとしている。勇者である彼女が助けを求めている人を見捨てるのはどうかと思うが。

 恭介さんはそんな響子さんを見て叫んだ。


「おいコラァ!! 響子! お前仮にも勇者だろう! 困っている奴を見捨てるつもりか!!?」


 僕と同じことを思っていたみたいだ。その恭介さんの言葉に対し、響子さんは言った。はっきりと。


「恭介よ。一体どこに困っている奴がいる? 私の目の前には喚いているゴm……変態がいるだけだが?」


「てめぇ今俺の事ゴミって言おうとしただろう!!? クラスメイトを、友達をゴミ呼ばわりする勇者なんて最低だ!!」


「? 一体いつお前と友達になったんだ?」


「コノヤロォォォォォーーーーー!!!!!」


 恭介さんの絶叫は学園長室全体に響き渡った。そして響子さんに食ってかかろうとしたが、由美学園長が素早い動きで恭介さんの首根っこを掴んだ。その時の由美学園長の顔は笑顔だったが、目が笑っていなかった。


「恭介、私をいつまで待たせるの? 私を焦らすつもり?」


「いや! 焦らすもなにも……!」


「ではごゆっくり行くぞ結希」


「え!? あ、はい」


 僕は響子さんと一緒に別の部屋に入った。そして響子さんが扉のドアを閉めようとした時僕は見た。恭介さんがこちらに手を伸ばしているのを。その様子はまるで僕たちに助けを求めているようだった。


「ちょ、助け……」


 しかし響子さんは無情にも彼の救援を無視して扉を閉めた。そして扉を閉めた瞬間、僕は確かに聞こえた。


『カレンちゃんから聞いたわよ!結希君の学校案内サボって響子ちゃんとラブラブしていたんですって!!!』


『なっ! ち、ちが……カレンの奴、誤解を招くようなことを……!』


『言い訳無用! どういうことか説明してもらうよ!!』


ブォォォォォン!!!


『ちょっ!? チェーンソーは……! ま、待て……ぎゃあああああああ!!!』


 チェーンソーの音と共に、恭介さんの絶叫が聞こえてきた。中で一体なにが行われているのか分からないが、想像するだけで恐ろしいことが行われているのは確かだ。ていうか恭介さん大丈夫か……?


「まああの変態は放っておいて、私たちはここで待つとしよう」


「……響子さん、恭介さんが大変な目にあっているような気がするんですけど……」


「気にするな。いつものことだから」


「いつものことなんですか!?」


 いつもあんな処刑のようなことをされているのに、本人は今日まで生きていたということなのか。恭介さんってある意味スーパー○イヤ人を超えているような気がする。


「それよりも結希、この部屋どうやらドリンクバーがあるみたいだ。なにか飲むか?」


 なぜこの部屋にドリンクバーがあるのかというツッコミはあえて言わないでおこう。


「じゃあコーヒーを」


「うむ。果汁100%オレンジジュースだな。ストローも付けておこう」


「あ、いや、僕はコーヒーでいい……」


「オレンジジュース100%だよな!!」


「……はい」


「よしよし! 任せておけ!」


 僕はコーヒーでよかったのに……。ていうかこんなこと前にもあったような……。

響子さんは上機嫌でドリンクバーを使い、コップの中にオレンジジュースを注ぐ。そばに置いてあるストローを入れ、果汁100%のオレンジジュースを作り、それを僕に差し出した。


「さあ結希! 遠慮なく飲め! チユーって飲め!」


なぜそんなにテンションが高いんだろうか? しかもニッコリ笑顔だけど……まあいっか。


「いただきます」


ストローに口をつけ、チューっと飲んでいく。うん、さすが果汁100%のオレンジジュースだ。とても美味しい。

そんな時、僕はあることに気がついた。響子さんが僕を見つめながらニヤニヤと笑っている。何でだ? いったいなにがおかしいんだ?

まさか……ストローの飲み方がおかしいのか!? ストローには正しい飲み方があって、僕はそれをしてないからおかしいのか!? ていうかストローの正しい飲み方ってなに!? なにが正解なの!? 誰か教えて!!!


《響子視点》


結希……やっぱりお前は可愛いなぁぁ!! 相変わらずストローでチューチュー吸っている姿がラブリーだよ!! お前のラブリーな姿を全国ネットで公開しても誰も文句は言わないよな!?

あぁ……今すぐ襲いたい……じゅるり……。っといかんいかん! 私としたことが、危うく結希を襲うところだった。この私をここまで狂わすとは……結希……恐ろしい子!!

しっかりしろ私! ……じゅるり……。



《結希視点》


……先程から響子さんはどうしたんだろうか? 僕の顔を見ながらよだれを垂らしたと思ったら、よだれを拭いて頭をブンブンと振っている。

もしかして……僕を襲って食べようとしている!?


……なんてそんなわけないか。


「ただいま〜♪」


ご機嫌な様子で扉を開けたのは由美学園長だ。先程は扉の向こうでなにが起きていたのかよく分からなかったが、由美学園長のほっぺについていた赤い液体を見て、なにが起きたか80%分かったような気がした。

 由美学園長はドリンクバーを使ってコップにコーラを注ぎ、それをゴクゴクと一気飲みをした。コーラを一気飲みして大丈夫なのかな? ゲップとか出たらかなり恥ずかしいよ。


「ぷは~……運動したあとのコーラは一味違うね♪」


 あれが……運動……? ゲップは出なかったみたいだけど、ある意味すごいかも。


「さて響子ちゃん。もうここはいいから、自分のクラスに行って授業を受けてきてください」


 響子さんにそう言った由美学園長であったが、響子さんは納得がいかない顔をしていた。


「え!? 学園長私も……」


「もう授業が始まっている時間じゃないかな? 響子ちゃんはここでは生徒なんだから、ちゃんと授業を受けないとダメだぞ」


 由美学園長の言い分は正しいのだが響子さんはそれでも納得していない様子だ。気のせいか、こちらをチラチラ見ているような気がする。


「ですが……」


「響子ちゃん、結希君が心配なのは分かるけど、あまりわがままを言っちゃダメだよ。どうしても言うことを聞けないというなら、お父さんの方に連絡して……」


「それだけは勘弁を!! わ、分かりました……」


「うん♪ 素直でよろしい♪」


 響子さんは残念そうな表情のまま部屋から立ち去ろうとしていた。部屋から出る際チラッとこちらを見たが、すぐにため息をついて出て行った。


「あ! そこのゴミ(恭介)も連れっていってね」


 由美学園長はおかしなことを言うことがあるんだな。ゴミも連れて行ってじゃなくて、この場合ゴミを捨ててと言うべきじゃないだろうか? ここからではどんなゴミなのかは分からないがかなり重そうなゴミみたいだ。その証拠に扉の向こうからズズっとなにかを引きつっている音が聞こえてくる。


「さて結希君、さっそくこの学園の説明をしようと思うけど」


「あ、は、はい!」


「そんなに緊張しなくても、取って食ったりしないよ」


緊張することはないのだが、僕の場合他人と話すときつい緊張してしまいうまく話せれないだよな。


「まずはこの学園から説明するね♪ この学園は無限の可能性を秘めた人達が集まる学園なの。だからここの生徒は普通の人とは違う人達が多いの。君が会ったカレンちゃんもその一人。人魚マーメイドなんて普通の学校にいないでしょ? 響子ちゃんも勇者だからこの学園にいるの」


つまり、学園長の話を分かりやすく言うと、この学園にいる生徒の殆どは普通とは違う、非日常的な人達がいるということだ。僕はとんでもない学園に転校したんじゃないだろうか? この調子だと鬼やら悪魔やら……魔王なんているんじゃ……。


「結希君、そんなに不安な顔にならないでよ大丈夫だよ♪ 確かにいろんな人達がいるけど、悪い人なんていないから」


「ホ、ホントですか……?」


「……一部暴力的な人はいるけど、うん! 大丈夫大丈夫♪」


 全然大丈夫じゃありません。暴力的な人がいるってやばいじゃないですか。転校初日からこんなに不安になるなんて予想にもしていませんでした。


「まあ住めば都という言葉があるじゃない。なんとかなる精神と慣れこそがこの学園でやっていくコツだよ! 頑張ろう! エイ、エイ、オーーーー!!!!」


「………………」


 この人はなぜこんなにも短絡思考なんだろう? 学園長の話を聞いてもまったく頑張れないし、安心もできない。むしろ不安が増したんだが。今からでも他の学園に変われないかな……?


「よしそれじゃあさっそく君のクラスに行こうと思うけど、その前に君のサインが必要な書類があるんだ。今から取ってくるからちょっと待ってね」


 学園長は僕を残し部屋から退出した。部屋には僕しかいない。


「ふう……」


 まだクラスにも行っていないのにため息が出てしまうとは、今後の学園生活はどうなってしまうんだろう? 不安は増すばかりでとても落ち着けない。

 果たして僕は日常とはかなりかけ離れた人達が居るこの学園でやっていけるのか? 生徒全員が響子さんのようにいい人とは限らない、前の学校の時みたいな苛める人が……。


『お前メソメソしてんじゃねえよ!!』


『男のくせにだらしない……。ホントは女なんじゃないの?』


『ねえ、なんでお前学校に来てんの? 明日から来んなって言っただろう?』


『女なのか男なのか分からない。もしかしてオカマ? キモーーー!!』


『なに? 泣いているのか? 泣き虫野郎だな』


『つうかうざいよお前』


『うざいよな』


『明日から来んな!!』


『お前、頼むから死んでくんない?』


『そうだ! 死ねばいいんだ!』


『死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね』



「……!」


 突然フラッシュバックのように過去の記憶が蘇った。毎日のようにいじめを受けて、とても辛かった学校生活。何度か転校を繰り返し学校を変えていたが、いじめというのは変わらなかった。どの学校でも僕をいじめの対象にし、暴言、暴力、カツアゲをされ、身も心ズタズタにされた挙句自殺も考えた。


 今度も同じなのか……。


 また僕はいじめを受けられるのか……。


 またあんな思いを……。


 もう……嫌なのに……!!



『もちろん勇気や力といったことも勇者に必要な要素だ。だがそれと同じように……いや、力や勇気以上に必要なのは優しさなんだ。優しさがない勇者など勇者ではない。だから結希、自信を持て。自信をもって胸を張れ。なあに、君ならなんにでもなれるさ。自分の無限の可能性を信じろ』



 違う……今回は違うんだ。

 今までの自分は嫌だから、この転校を機に変わろうと決めたんじゃないか。

 あの響子さんのような……強い人間になろうと決めたんじゃないか。

 ここには響子さんがいるんだ。今までのようなことにはならないはずだ!!


「しっかりしろ僕!」


 気持ちを引き締めるために、自分のほっぺを両手で叩いた。気合を入れ、暗い気持ちにならないようにする為に。


「よし! とりあえずもう一回オレンジジュースを飲もう!」


オレンジジュースをおかわりしたところでなにも変わらないと思うが、何か行動をしないとまた暗い気持ちになってしまいそうだ。

ジュースを注ごうとドリンクバーに向かったが、その時あるものが目に入った。執務机の上に散乱しているファイルや資料の山だ。


「あの人って片付けられない人なのかな……?」


 学園長だからこういった資料等をきちんと整理している人かと思ったけどそうでもないみたいだ。

 ちなみに僕はこういった散らかっている場所を放っておけない性格なので……。


「……仕方ないな」


 つい片付けようと考えてしまう。

 執務机に散乱している資料、ファイル、本をそれぞれに分けて整理をする。ファイルはファイル、資料は資料、本は本と分けて整理すれば後で本棚に戻すときに楽に戻せるしね。

 もう少しで整理が終わろうとしていたとき、資料の山から一冊のノートがこぼれ落ちた。ノートは床に落ち、ページが開いた。


「おっと、いけないけない」


 ノートを拾おうと手を伸ばすが、その手はすぐに止まった。ノートの中身の内容が目に入り驚愕したからだ。そこには可愛らしい字でこう書いていた。



○月△日

今日は恭介が隣町の女の子をナンパしているという報告をカレンちゃんから聞いた。しかも相手の女の子はかなりの巨乳の美女だったみたい。もう!相変わらず恭介は胸がおっきい女の子にしか興味がないだから! 私だってちょっとはあるのに……なんで私には興味がないんだろう……。なんか腹が立ってきた! 帰ってきたらチェーンソーの公開処刑にしてやる!


○月×日

もうすぐ恭介がこの学園に来て一年になる。恭介とはこの一年でいろいろなことをしたよね。夏にはプールで遊んだし、秋にはいろんなご馳走を食べたし、冬には雪合戦もした。あと暴走族を追っ払ったりもしたよね。

恭介と一緒にいるととても楽しい。なんだか落ち着くというか、暖かいような感じがする。なにより一緒にいるととても安心できる。

恭介がここに来てこの学園も、ここの生徒も、そして私自身も変わったような気がする。

一番変わったのは私だ。最近になって恭介のことを考えると心臓がドキドキする。これってやっぱり……恋なのかな……? 私は恭介に恋をしちゃったのかな……?

でも学園長が生徒に恋をしてもいいのかな……?

………………まあいっか♪ 教師と生徒の禁断の愛とかドラマでやっていたんだから、学園長と生徒が恋愛をしてもいいよね♪

よし! 今年の目標は恭介に告白することに決定!!

頑張れ私! エイエイ、オーーーー!!!!!!!




「…………これって……」


 まさかと思い、ノートを一旦閉じ表紙の方を見ると、『由美の秘密の日記♪ 見たら殺すゾ♪』と書かれていた。

 間違いない。これはあの学園長の日記だ。ていうか見たら殺すって、見られたくないならちゃんと大事にしまってくださいよ。


「ん? 待てよ……」


 考えてみると僕はこの日記を見てしまった。そしてそれを由美さんが知ってしまったら……。


『殺すゾ♪』


 やばい……殺される……。早くこの日記を隠さなければ!

 僕は辺りを見渡し日記を隠す場所を探した。そして目をつけた場所は執務机の引き出しの中だ。とりあえずこの中に隠しておこう。

 お願いします神様。どうかこの日記を隠すまでの間学園長が戻ってきませんように……!



「遅くなってごめ~ん結希君♪ 資料を探すのに手間取っちゃった♪ えっとね結希君、この資料のここにサインを……」


 どうやら神様は僕を見捨てたようだ。

 最悪なタイミングで学園長が戻ってきてしまった。話の途中で会話をストップした学園長。どうしてなのかはもちろん分かる。僕の持っている日記を見たからだ。

 学園長は持っていた資料を床に落とし、青ざめた表情で、声を震わしながら言った。


「え……? ゆ、結希君……? そ、それって……なにかな……? なんだか私の日記に見えるんだけど……? ていうか私の日記だよね……?」


「が、学園長……あ、あの……こ、これは……!」


「見たの……? 中身を見たの……!?」


「え、えっと……あの……その……なんていうか……その……」


 なかなか口に出せない僕であったが、次の瞬間学園長が素早い動きで僕の前まで来たのだ。ビックリした僕を無視して学園長は獲物を狩る獣ような恐ろしい目つきをしながら言った。


「ねえ、見たの? 見てないの? どっちなの? ていうか見たよね? 明らかに見たよね? 見たって言いなさいよ。見ましたって。正直に見ましたって言いなさいよ。見たって言えよコラァ」


「ヒィ!」


 僕は怖くなり、入り口のドアに向かって走り出した。すると学園長はポケットに入っていたリモコンを取り出しドアの施錠ボタンを押した。入り口のドアからガチャと音が鳴りドアが施錠されたので、ドアが全く開かない。先程の恭介さんと同じ立場になってしまった。


「そ、そんな! あ、開けて! 誰か助けて!」


「この部屋は防音機能がついているから外には聞こえないよ」


 後ろから声が聞こえたので振り返るとそこにはすでに学園長がいた。学園長は僕の肩を掴み逃げられないようにした。そして部屋全体に響くくらいの大声で学園長は言った。


「見たのか見てないのか、男ならはっきり言えぇぇぇぇ!!!!!」


「み、見ました!! 見ました!! ごめんなさい!!」


 僕は泣きながら必死に頭を90度下げ謝った。すると学園長は「ふ~ん……見たんだ……」と納得し、僕の肩から手を離すとフラフラと部屋に置いてあるクローゼットに向かった。


「見たんだ……見たんだね~……ふふふふふ……」


「が、学園長……?」


 学園長はクローゼット開けその中にある何かを探している。なぜだろう、とても嫌な予感がする。しばらくして学園長は笑顔で僕に振り返った。その笑顔に対し僕はぎこちない笑顔で返す。


「ふふふふふ……」


「あ、あははは……」


「ねえ結希君?」


「は、はい?」


 学園長はクローゼットから離れ僕の前まで来た。そして彼女は言った。

笑顔で…………チェーンソーを持ちながら……。


「私の為に死んで♪」


「いやあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!!!!!」


 学園長は突然チェーンソーを振り下ろし僕に斬りかかってきた。寸前のところでチェーンソーの一撃を避けたので、チェーンソーンの刃は床に刺さった。そして学園長の一撃を避けた僕を見ながら舌打ちをした。


「チッ……もう結希君、避けちゃだめじゃない♪」


「今のは誰でも避けますよ!! ていうかいきなり何すんですか!?」


「うっさい死ねぇぇぇぇーーーー!!!」


「うわああああああああああああぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!」


 狭い部屋の中でブンブンチェーンソーを振り回す学園長に対し、僕はなんとかそれを避けながら逃げる。我ながらなかなかの反射神経である。

 ここでチェーンソーは振り回すものではありません、木を切る機械です! と言っても止まることはないだろうと僕は思った。

 しばらく避けること三分、とうとう僕は部屋の隅に追い詰められてしまった。


「もう逃げられないわよ……」


「あの……日記の内容は……全部忘れますから!!」


「そうなの♪ じゃあ日記の内容を忘れて私の為に死になさい♪」


 ダメだ……もうこの人に何を言っても無駄なようだ……。

 チェーンソーを振り上げた学園長は涙目で僕を見つめながらブツブツ呟いた。


「どうせ……私が恭介のことを好きだということを学園中にバラスんでしょう……? そして社会問題にして私と恭介を追い詰めて、学園から追い出して、学園を乗っ取ろうとかいう計画を立ててるんでしょう……? そうよね? そういう魂胆よね!? 可愛い顔をして恐ろしい子っ!!! でもあなたの思い通りにはならないわ!! ここであなたを殺して、私と恭介も死んでやるっ!!」


 思い込みが激しいのにも程がある。ツッコム内容が多いがとりあえず一言。一人余計な被害者がいると思いますが……。


「観念して……死ねぇぇぇぇーーーー!!!!」


ブォォォォンという機会音を出しているチェンソーを振り下ろす学園長。不思議とその振り下ろす動作がゆっくり感じてしまう。これが死ぬ直前の人間の見ている世界だというのか。

もう少しで切られる、そう思った瞬間、僕はある一つの事実を思い出した。


「ちょ、ちょっと待ってぇぇぇぇーーーー!!!!」


僕が大声でそう言うと学園長のチェンソーが僕の顔の寸前の位置に止まった。あと1cm動かしたら僕の顔が真っ赤に染まるところだった。


「なに? 遺言なら十文字以内に収めなさい」


「あ、あの……学園長……」


「十文字以上じゃない。死ね」


「ま、待って! お願いします! 僕の話を聞いてください!」


「……なに?」


ようやく学園長は僕の話を聞いてくれるようだ。チェンソーを下ろし、僕の顔を見た。


「で? なんなの?」


「あ、あの……恭介さんのことが好きなんですよね? で、でも恭介さんと付き合うのは無理かと……」


「!? な、なんで!?」


「だ、だって……」


 僕ははっきり言うことにした。この学園長に、人の話を聞かない学園長に、何も知らない学園長に、僕が知っている真実を伝える。そうすれば少しは状況が変わるかもしれない。




「だって……恭介さんと響子さんは……付き合っているから!!!」


















「え? 恭介と響子ちゃんは付き合っていないよ?」















 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?


「え? 付き合って……ないんですか?」


「うん♪ もし浮気をして付き合っているんなら、今頃この学園に通ってないよ♪ 切り刻んで墓穴にぶち込んでやるだから♪」


「…………」


 え? もしかして……一人で勘違いしていた!?


 この日、僕が知ったことは三つある。無限学園の学園長、千堂由美さんは天堂恭介さんのことが好きだということ、響子さんと恭介さんは付き合っていないということ、そして……この千堂由美さんに逆らうこと=極刑ということ。特に三つ目は今後の僕の学園生活…いや、今後の僕の人生に関わることなので記憶だけでなく心にも深く刻んで覚えておこう。


響子

「勇者響子の後書きコーナー。わーい(棒読み)」

結希

「響子さん、勝手に僕達が後書きコーナーをやっていいんでしょうか?」

響子

「致し方あるまい。前回の後書きコーナーで由美学園長は泣いてどっか行ったし、恭介はその由美学園長の捜索に行ったし、作者は仕事のストレスで頭がおかしくなっているから後書きコーナーに出ないから私達が出るしかないだろう」

結希

「それはそうですけど……」

響子

「しかしかなり更新が遅れたな。どうなっているんだ?」

結希

「聞いた話だと作者の職場でいろいろあって、仕事が忙しいかったり、上司との人間関係が最悪になって仕事が楽しくないって呟いたり、職場の女の子を食事に誘おうとしたら上司に邪魔されて腹が立ったりして執筆に集中できなかったみたいですよ」

響子

「殆ど仕事関係だな……」

結希

「で、久々の後書きコーナーはどうします? いつものようなグタグタな感じでいきます?」

響子

「待て結希、いつもグタグタな感じならここでちゃんとした後書きコーナーをやるべきだと思う。由美学園長がいないうちにな」

結希

「さすが響子さん! で、ちゃんとした後書きコーナーって?」

響子

「うむ! 今回の話の見所を説明するという感じはどうだ?」

結希

「なるほど! 確かにそれだったらまともですよね!」

響子

「うむ! では今回の見所を結希に説明してもらおう!」

結希

「え!? ぼ、僕がですか!?」

響子

「なんだ? 嫌なのか?」

結希

「嫌というか……なんというか……」

響子

「まさか……恥ずかしいのか?」

結希

「うっ! そ、そうです……ごめんなさい……」

響子

「……(シュンとしながら謝っている結希は可愛いよ〜(≧∇≦)っていかんいかん!)そ、そうか。ならば私が代わりに言おう」

結希

「え!? いいんですか!?」

響子

「うむ! 任せておけ! 今回の見所は…………」

結希

「………………? 響子さん?」

響子

(あれ〜〜……よくよく考えたら今回の見所ってどこだ? 私から見たらどうでもよかったところが多いんだが……。強いてあげるなら結希のオレンジジュースを飲む場面だな。あの結希はとてもとても可愛かった。このシーンをアニメ化したら皆がペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロとコメントするに違いない。しかし結希の前でオレンジジュースを飲む場面と言ってもいいのか? ていうか詳しく説明したら私が変態と疑われてしまう。う〜む……どうしよう……)

結希

「響子さん……?」

響子

「……結希、突然ですまないが見所を説明するのを、やっぱりやめないか?」

結希

「え!? な、なんでですか!?」

響子

「な、なんでって……その……あ、あれだ! 大人の事情だ!」

結希

「大人の事情?」

響子

「そうだ! 大人の事情といったら大人の事情だ! 第一、なんで私達が説明しなくちゃならない!? 今回の見所なんぞ自分で探せ!!」

結希

「それでいいんですか!?」

響子

「いいんだ!! どうせこの後書きコーナーはグタグタな感じが主流なんだ!! 真面目な感じに戻さなくてもいいだろう!」

結希

「さっきと言っていることが違うじゃないですか!?」

響子

「とにかくもう今回の後書きコーナーはここまで!! はい! お疲れ!!」

結希

「ええええええええぇぇぇぇぇーーーーーー!!!!?」

響子

「さっきと次回予告を済ませて帰るぞ!! 次回予告だ!! 次回は学園長と結希が変な契約を結んだり、変な先生と出会ったり、変なクラスに行ったりするなど、とにかく変な話だ!!」

結希

「変なが多いんですが!!」

響子

「結希が変なことに巻き込まれそうだが大丈夫だ!! 結希は私が守る!! では次回もお楽しみに!!」

結希

「こ、こんな次回予告でいいのかな……?」















ここからはお知らせです!

活動報告でもお伝えしましたが、今度ラジオ小説『由美ちゃんの部屋拡大版!!』を行おうと思います!

いつもの後書きコーナー由美ちゃんの部屋のようなグタグタな感じでラジオ小説をやりますよ〜(≧∇≦)

そのラジオ小説で新コーナー『みんなに聞いてみよう!』というコーナーをやろうと思います。内容は読者の皆さんからの質問を私、天城や恭介や結希や由美や響子がお答えするという内容です。

私たちに聞いてみたいこと、質問などがありましたらメッセージ等で質問の内容、匿名の有無を書いて送ってください。

質問にはできる限りお答えしようと思っていますんでみなさんよろしくお願いします!

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